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今度は分光器に挑戦

紫外撮影を行ったついでに、簡単な分光器を作ってみました。目的は紫外領域でのスペクトルも測ってみたいなと思ったからです。

準備するものは、透過型回折格子フィルムという薄いフィルムと紙で作ったスリットです。



スリット(左)は黒画用紙にカッターナイフで切り込みを入れて作りました(いい加減です)。回折格子フィルム(右)はエドモンド・オプティックスから500本/mmというのを買いました。15cm×30cmのシート2枚で1200円だから、写真に写っているフィルム1枚だと12円位です。さらに、黒画用紙で四角の筒を作り、その片側にスリットを、もう片側にフィルムを貼りました。これで分光器は出来上がりです。

このまま回折格子フィルム側から覗いてもスペクトルは見えるのですが、写真に撮ってみようと思いました。



真ん中の筒が手作り分光器です。右に置いてあるのは携帯用の蛍光灯で、今は、殺菌灯が入っています。左に一眼レフカメラをセットしました。カメラがちょっと斜めになっているのは、スペクトルが斜めの方向に見えるからです。カメラと分光器の上を、黒いTシャツを暗幕代わりに覆って、撮影しました。

その結果が次の写真です。



カメラはNikon D90、これにMicro Nikkor 60mmを取り付け、ISO400、F8の30秒露出の条件で撮りました。実はレンズは、あまり望遠でなければ何でも構いません。また、コンパクトデジカメでも焦点さえ合えばOKです。上の写真では何本かの輝線が見えてますが、水銀の発光線です。線がとぎれとぎれだったり、太さが一定しないのは、黒画用紙にカッターナイフで筋をつけただけのいい加減なスリットだったからです。この写真から適当なところを抜き出し、フリーソフトのImageJでグレイスケール強度を計算しました。その結果が次の図です。



カメラの縦軸は8ビットの255までしかないので、30秒露出だと強い線は飽和してしまいました。しかし、弱い線も見えるので図に載せています。下は1/2秒の露出時間です。紫外側は水銀の404nmの線くらいまでかろうじて見えています。水銀の発光線の位置と波長から、横軸を換算し直して、光の波長に直すことができます。この分光器で分解能はだいたい1nmくらいです。たった12円の回折格子フィルムでも、結構、測定できるでしょう。

次に40Wの白熱電球を測定してみました。




スリットの出来不出来が露骨に見えてしまいますね。しかし、構わず、綺麗な部分を使ってスペクトルに直してみました。


非常に奇妙な格好です。でも、何度撮影してもこうなるので、おそらくカメラの中のフィルターのせいだと思います。白熱電球は、本来は赤い方が強くて青に向かって滑らかに減少します。そのスペクトルはプランクの輻射公式で計算したものとほぼ合うはずです。そこで、フィラメントの温度を2500Kとして計算して、上の結果を割って比較してみることにしました。



理想的な検出器だと波長によらず一定になるはずですが、カメラを用いると、とてもとても一定とは言えません。450-500nmの青色部分がやけに強く出ていて、また、600nmの付近の赤色もちょっと強めに出ています。さらに、420nmあたりに紫外カットが、690nmあたりに赤外カットが入っているようです。手作り分光器とカメラを使った分光測定もまだまだ前途多難ですね。

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