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廊下のむし探検 ウスバカゲロウを見分ける

廊下のむし探検 第679弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は午前中の早いうちに歩いたので、虫が比較的たくさんいました。でも、相変わらず名前調べはなかなか進みません。とりあえず終わったところから出してみます。



この日はウスバカゲロウが2種いました。最初はこの写真の個体で、翅に模様があるので、ホシウスバカゲロウだということはすぐに分かります。



問題はこちらです。いつも見ている個体よりちょっと小型なので、コウスバカゲロウかなと思うのですが、ウスバカゲロウとの違いがよく分かりません。そこで、今日はこの違いを調べてみようと思いました。

「原色昆虫大図鑑III」によると、両者の違いは次のように書かれていました。

Hagenomyia属では、1)前翅が縁紋部付近で幅広く、2)翅の基部から見るときRsとCu分岐とはほぼ同じ距離のところから起こり、3)縁紋部より基方の数本の前縁小脈に横脈を有する

Myrmeloeon属では、1)前翅は前種のものよりやや細く、2)そのRsはCu分岐より翅縁に近く起こり、3)縁紋部より基方の前縁小脈に横脈を欠く

Hagenomyia属は以前ウスバカゲロウが含まれていた属で、現在はBaliga属になっています。従って、上がウスバカゲロウ、下のMyrmeloeon属がコウスバカゲロウの説明になっています。違いは上の1)から3)までの3点です。そこで、手元にある標本で調べてみました。



これはウスバカゲロウだと思われる個体です。AはRs分岐、BはCu分岐の位置を表しています。また、Cは縁紋部より基方の前縁小脈を表し、左側にその拡大図を載せました。まず、1)については確かに縁紋部辺りで前翅は幅広いのですが、それほどはっきりとはしません。2)については、AとBは翅の基部からほぼ等距離の位置にあります。さらに、3)については拡大図を見ると分かりますが、前縁小脈には横脈がついています。



次はコウスバカゲロウだと思われる個体です。1)については、ウスバカゲロウに比べると確かに翅が細い感じがします。翅が一番幅広い部分よりもやや外側に縁紋がありそうですが、はっきりとはしません。それよりも、2)については、AのRs分岐の方がBのCu分岐より明らかに外側に位置しています。さらに、3)の縁紋部より基方の前縁小脈には分岐は見られますが、横脈は見られません。

どうやら翅の幅で見るよりも翅脈で見る方が簡単なような気がします。そこで、先ほどの写真についても翅脈を頑張って調べてみました。



すると、上の写真のようにAのRs分岐の方がBのCu分岐よりも明らかに外側にあり、Cの前縁小脈には横脈はありません。従って、初めの予想通りコウスバカゲロウだったようです。

写真を撮った時に、この両者を見分けるのにこれまで翅の幅を見ていたので、なかなか分かりませんでした。でも、翅脈を見ればよいということが分かったので、ちょっとだけ前進です。

追記:ウスバカゲロウとコウスバカゲロウの前翅の前縁部分が合うように重ねてみました。



赤色がウスバカゲロウ、黒がコウスバカゲロウです。翅型が違うのでぴったりとは合わないのですが、コウスバカゲロウの方が、確かに翅の細いことが分かります。ただ、差はこの程度です

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