虫を調べる ウシアブ?
マンションの廊下でやっと雌アブを見つけました。まだ、脚をばたばたさせていたのですが、強引にビニールの袋に入れて、そのまま冷凍庫に入れておきました。先ほど検索表で調べてみたら、どうやらウシアブらしいことが分かりました。そこで、顕微鏡写真を撮って要点をまとめてみました。
検索表はこの間アカウシアブで用いた次の2つの文献を用いました。
河合禎次、谷田一三著、「日本産水生昆虫」(東海大学出版、2005).
早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10、35 (1990). (ここからダウンロードできます)
まず、見つけたアブの写真を載せます。
外観はいつもよく見るアブのようです。両方の複眼が接していないので雌ですね。まず、属の検索表のうち、アブ属に至る項目を列挙します。
この間と同じようにそれぞれの項目に関係するところには、写真に番号と項目を書き入れました。まず、最初は触角についてなので、その拡大写真を載せます。
変わった形をしていますが、鞭節は第3節から先端までを指すので、全部で5節になっています。従って、①はOKです。次は後脚脛節についてなので、その部分の写真を載せます。
後脚脛節には距棘はありません。これで②はOKです。③については、Fig. 1に示すように翅は透明というよりはくすんでいるというべきかな。④は触角の背突起ですが、Fig. 2に示すように背突起があります。これが短いというのは、もっと長い種を除くためで、これはこれでOKです。⑤については次の写真を見てください。
これは頭部の写真ですが、単眼瘤はなく、また、複眼に微毛はありません。これで⑤はOKです。⑥はFig. 1の通り、頭幅はほぼ胸幅と同じです。また、複眼は黒褐色です。最後の⑦は、また、触角鞭節の背突起についてです。比較の問題になりますが、大きいというのでOKとなります。これでアブ属になりました。
次は種への検索表で、この個体はウシアブだと思われるので、その部分だけを書き出しました。また、順番に見ていきます。⑧と⑪は翅脈についてなので、翅の写真を載せます。
⑧に書いてあるR5とM1脈は、上の写真のように翅縁で離れています。従って、OKです。⑪のR4脈の小枝も矢印で示してありますが、はっきりとした小枝があります。⑨、⑩、⑫は中額瘤についてです。Fig. 4をみると、中額瘤は下額瘤から長く伸びた黒い隆起であることが分かります。この形から⑨と⑩はOKになります。⑫はこれが額の半ばを越えるというので、これも写真を見れば分かります。
次は⑬の腹背の模様についてです。腹背の中央の三角形を中央三角斑というようですが、その両横に長三角形の斑(亜側斑)があるとハタケヤマアブになります。この個体にはないのでOKです。また、各節の後縁にある斑は狭いということも見ると分かります。最後の⑭は額三角区の色についてです。次の写真を見てください。
触角と複眼で囲まれた三角形の部分を額三角区というようですが、ここが白いとウシアブになります。この写真では白いように見えます。これで白いというのか、もっと白くなる必要があるのかはちょっと判断しかねるのですが、たぶん、ウシアブで合っているのではないかと思います。
ついでに検索には関係ない写真も撮ったので、載せておきます。
口吻の部分です。この尖った部分で刺すのでしょうね。(追記:通りすがりさんから、「アブは刺すのではなく、皮膚を切り裂いて出てきた血を吸っています。切り裂くとは言っても傷口は小さいので、刺されるのと変わりませんし、痛いことにも変わりませんがね…。」というコメントをいただきました。これはちっとも知りませんでした。また、知識が増えました。どうも有難うございました)
それから、先程の額三角区の拡大です。これを見ると白く見えますね。
ウシアブらしい個体の検索をしてみました。検索表は♀用しかないので♀を探していたのですが、やっと見つかりました。アブは日本に100種程度なので、少し頑張って調べてみようかなと思っています。
検索表はこの間アカウシアブで用いた次の2つの文献を用いました。
河合禎次、谷田一三著、「日本産水生昆虫」(東海大学出版、2005).
早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10、35 (1990). (ここからダウンロードできます)
まず、見つけたアブの写真を載せます。
外観はいつもよく見るアブのようです。両方の複眼が接していないので雌ですね。まず、属の検索表のうち、アブ属に至る項目を列挙します。
この間と同じようにそれぞれの項目に関係するところには、写真に番号と項目を書き入れました。まず、最初は触角についてなので、その拡大写真を載せます。
変わった形をしていますが、鞭節は第3節から先端までを指すので、全部で5節になっています。従って、①はOKです。次は後脚脛節についてなので、その部分の写真を載せます。
後脚脛節には距棘はありません。これで②はOKです。③については、Fig. 1に示すように翅は透明というよりはくすんでいるというべきかな。④は触角の背突起ですが、Fig. 2に示すように背突起があります。これが短いというのは、もっと長い種を除くためで、これはこれでOKです。⑤については次の写真を見てください。
これは頭部の写真ですが、単眼瘤はなく、また、複眼に微毛はありません。これで⑤はOKです。⑥はFig. 1の通り、頭幅はほぼ胸幅と同じです。また、複眼は黒褐色です。最後の⑦は、また、触角鞭節の背突起についてです。比較の問題になりますが、大きいというのでOKとなります。これでアブ属になりました。
次は種への検索表で、この個体はウシアブだと思われるので、その部分だけを書き出しました。また、順番に見ていきます。⑧と⑪は翅脈についてなので、翅の写真を載せます。
⑧に書いてあるR5とM1脈は、上の写真のように翅縁で離れています。従って、OKです。⑪のR4脈の小枝も矢印で示してありますが、はっきりとした小枝があります。⑨、⑩、⑫は中額瘤についてです。Fig. 4をみると、中額瘤は下額瘤から長く伸びた黒い隆起であることが分かります。この形から⑨と⑩はOKになります。⑫はこれが額の半ばを越えるというので、これも写真を見れば分かります。
次は⑬の腹背の模様についてです。腹背の中央の三角形を中央三角斑というようですが、その両横に長三角形の斑(亜側斑)があるとハタケヤマアブになります。この個体にはないのでOKです。また、各節の後縁にある斑は狭いということも見ると分かります。最後の⑭は額三角区の色についてです。次の写真を見てください。
触角と複眼で囲まれた三角形の部分を額三角区というようですが、ここが白いとウシアブになります。この写真では白いように見えます。これで白いというのか、もっと白くなる必要があるのかはちょっと判断しかねるのですが、たぶん、ウシアブで合っているのではないかと思います。
ついでに検索には関係ない写真も撮ったので、載せておきます。
口吻の部分です。この尖った部分で刺すのでしょうね。(追記:通りすがりさんから、「アブは刺すのではなく、皮膚を切り裂いて出てきた血を吸っています。切り裂くとは言っても傷口は小さいので、刺されるのと変わりませんし、痛いことにも変わりませんがね…。」というコメントをいただきました。これはちっとも知りませんでした。また、知識が増えました。どうも有難うございました)
それから、先程の額三角区の拡大です。これを見ると白く見えますね。
ウシアブらしい個体の検索をしてみました。検索表は♀用しかないので♀を探していたのですが、やっと見つかりました。アブは日本に100種程度なので、少し頑張って調べてみようかなと思っています。
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