廊下のむし探検 蛾いろいろ
廊下のむし探検 第582弾
一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日も「むし」が多かったので、とりあえず蛾だけまとめてみました。
分かりにくい蛾が登場しました。以前だと、フキノメイガかアワノメイガかというところだったのですが、その後、似た種が増えてさっぱり分からなくなりました。これについては次の論文に見分け方が書いてありました。
服部伊楚子、六浦晃、「日本産アワノメイガ属(Ostrinia)の種の同定と寄生植物」、植物防疫41, 62 (1987).
この論文を昨年、科学技術振興機構というところに複写依頼を出して手に入れました。この中で、アワノメイガ属5種の外見上の見分け方についても載っていました。それをまとめてみたのが次の表です。
論文には図が載っているのでもう少し分かりやすいのですが、実際に手元の標本で調べてみると、かなり難解でなかなか一意的には決まりません。まず、♂の場合は中脚脛節の形状が違うので、左2種と右3種を分けるのは比較的簡単ですが、それ以後は外横線や色で決めなくてはいけません。実際やってみても、何ともいえない個体がいて行き詰まってしまいました。
上の個体の場合は、Cu1とCu2脈のほぼ中心で外横線が鋭く内側に曲がり(矢印の部分)、一定の距離を走った後、再び鋭く曲がり下に向かっているところが判断材料になります。これからフキノメイガかなという感じですが、はっきりとは分かりません。アワノメイガ属は相変わらず難しいですね。
このノメイガはまた別の種で、ホシオビホソノメイガだと思います。これから夏になるとノメイガがいっぱい出てくるので、見分けるのが大変になります。
こちらはハマキガの仲間で、アトキハマキです。これも時々見ますね。色がはっきりしていて遠くからでもよく目立ちます。
この蛾はヒトリガの仲間で、カクモンヒトリだと思います。記録を見てみると、一昨年の6月に見ていました。(追記2015/05/20:ささきさんから、「『カクモンヒトり』はセスジヒトリのようですよ。」というコメントがありました。写真を見ると確かに「胸部背面の黒色縦線」がありますね。これまで、カクモン、スジモン、セスジの区別がはっきり分からなかったのですが、図鑑を見直して少し理解しました。カクモンは前縁近くの黒点、スジモンは前縁基部の黒条、セスジは胸部背面の黒色縦線がポイントのようです。ささきさん、どうもご指摘有難うございました)
(追記2015/05/26:ささきさんから、「スジモンヒトリ・カクモンヒトりにも胸部背面に黒条をもつ個体があります。特にカクモンヒトりでは稀ではありませんのでご注意ください。」というコメントをいただきました。なかなか厄介ですね。私の標本箱を調べてみると、確かにカクモンらしい個体で背筋のある個体がいました。結局、1)前翅基部から前縁に沿って黒条のあるのがスジモン、2)前翅前縁近くに黒紋があり、♂ならば長い櫛歯状の触角をもつものがカクモン、3)以上のようではなく、胸背に黒条を持つのがセスジということでしょうか)
生きているのやら、死んでいるのやら分かりませんが、とりあえず写してみました。模様から、ナカグロモクメシャチホコではないかと思います。「廊下のむし探検」初登場だったので、もう少し綺麗だったらよかったのですが・・・。
ヒメシャクも難しいですね。この個体は外横線が飛び飛びなので、たぶんオイワケヒメシャクかなと思うのですが・・・。
これはホソスジキヒメシャクですね。
こちらはヤガ科のトビスジアツバです。
そして、ソトウスグロアツバですね。
これはシロズアツバかな。下唇鬚が長いですね。
最後はこの幼虫です。ものものしい格好をしていますが、たぶん、カシワマイマイの幼虫ですね。
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