廊下のむし探検 ツチハンミョウ、ヒメヤママユなど
廊下のむし探検 第418弾
今日の「廊下のむし探検」の結果です。数はそれほど多くはなかったのですが、名前調べの難しい種が多かったです。まだ、分からないものもいるのですが、とりあえず出すことにします。
今日の最初はこの虫です。マンションの外壁に止まっていました。体長9.2mm。かなり小さいですが、ツチハンミョウです。昨年は10月30日に初めて見ているので、今年はちょっと早目です。この辺で見られる種類としては、ヒメツチハンミョウとキュウシュウツチハンミョウがいるので、いつものように触角を調べてみました。
触角の途中にこんな塊のあるのは♂の方です。触角第1節と第2~4節の長さの和を比較して、ほぼ同じならばヒメ、第1節のほうが明らかに短ければキュウシュウということになっています。上の写真では明らかに短いです。また、第7節が心臓形はヒメ、腎臓形はキュウシュウです。写真ではあまりはっきりとは分かりませんが、少なくとも心臓形ではなさそうです。ということで、どうやらキュウシュウツチハンミョウのようです。キュウシュウを見たのは初めてです。
これはヤサイゾウムシです。ブラジル原産の外来種で、野菜の害虫です。
フタモンクサカゲロウのようですが、小腮鬚と下唇肢が部分的に黒いこと、触角の柄節の外側が褐色になっている点、胸部の側辺の模様などが違います。というので、どうやらフタモンではなさそうです。早速、塚口茂彦著"Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)"(1995)の検索表を使って、検索をしてみました。その結果、ニセコガタクサカゲロウ属のクロヒゲフタモンクサカゲロウにたどり着きました。(追記:口肢が強く色づくというところから、クロヒゲフタモンを選んだのですが、頬の模様はむしろミナミクサカゲロウに似ています。ミナミの説明を読むと、小腮鬚第3節の基部側面が色づくというので、ひょっとしたらミナミの方かもしれません。ただ、分布は鹿児島、沖縄なので合わないのですが。もう少し検討してみます)(追記:上記の本の説明を詳細に見てみました。口肢の色、頬の紋の位置、翅脈の色など、ほとんどクロヒゲフタモンと一致します。おそらく、クロヒゲフタモンクサカゲロウでよいのではないかと思っています)
これはアメバチの仲間です。中胸背に目立った模様がありません。これも以前用いた検索表を用いて調べてみました。結局、オオアメバチではないかというところです。
これはアオバハゴロモですね。
それにオオホシカメムシです。
蛾もいろいろといました。
壁にかけてある消火器の裏にいました。ヒメヤママユです。よく見ないと分からないようなところに潜んでいますね。昨年は10/15と10/22に見ていました。ちょうど今頃なのですね。
これはワイギンモンウワバです。銀色の模様がY字型なので付けられた名前でしょうね。昔は普通に見られたのですが、どういうわけか「廊下のむし探検」初登場です。
こちらは以前から見ているニジオビベニアツバです。
これはいつものエゾギクトリバです。
そして、これはまた別の種です。翅の中央部分の下に大きな黒い三角形が見えています。これは第3羽状翅の先端に付いている鱗粉塊です。この特徴からおそらくブドウトリバだなと思うのですが、後胸背面の白い部分があまり顕著ではありません。ひょっとすると、イッシキブドウトリバの方かもしれません。
翅の模様はパッとしないのですが、縁毛が薄茶色だったり、触角の先端が白かったり、立派な下唇鬚があったりと、何となく魅力的な種です。でも、図鑑を何度見ても見つかりません。
最後はクモですが、これも名前が分かりませんでした。名前調べは結構大変ですね。
(追記:今日は写真がちょっとスランプでした。最初のツチハンミョウの写真、触角に一様にピントが合うように撮るのに、実に40枚も撮るはめになってしまいました。オートフォーカスだとどうしても背景や脚に合ってしまうし、マニュアルフォーカスだと対象が小さ過ぎて合っているかどうかも分からないし・・・。結局、3度も出直して撮影しました。それから、クサカゲロウの顔の拡大写真がまったくうまくいきません。実体顕微鏡下、深度合成の方法で撮影しているのですが、背景との境界部分が汚くなってしまい、特に口肢の部分がよく見えなくなってしまいます。背景を変えたり、照明を変化させたりして、何度も撮り直しているのですが・・・)
今日はその他に地域の文化祭の展示のために、カメムシを標本にして標本箱に入れました。特に、標本にしようと思って捕まえていたわけではなかったのですが、何となくたまっていたものを整理したのです。だから展足などはしていないのですが、全部で60匹もあってなかなか大変な作業でした。
スポンサーサイト