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クチキムシ?を調べる

今日は雨。どうせマンションの廊下には虫がいないだろうなと思って、先日、採集したクチキムシを調べてみました。ただし、甲虫の素人がやっていますので、そのつもりで見てくださいね。



先日いたクチキムシというのはこんな虫です。



採集してきた個体の表と裏を撮影してみました。体長は11mm。体と翅は黒くて、脚や触角は赤褐色です。おそらくクチキムシ科のクチキムシだと思うのですが、図鑑の説明や科・属への検索表を手がかりにその特徴を調べてみました。




まず、「原色日本甲虫図鑑 I」に載っている科の検索表で、クチキムシの属しているクチキムシ科の周辺からの抜粋です。その内容からクチキムシの特徴を調べてみました。関連する部分の写真を次に示します。





まず、科の検索からで、①は腹部第1から第3節までが融合しているという内容です。腹側を見ますと(Fig. 2)、腹部は全部で5節から成り立っていて、そのうち第1から第3節までは融合しているようにも見えます。図で科①という部分を見ると切れ目が見えますが、それ以前では見えないからです。

②と③はFig. 3に関連するのですが、用語が難しいので、はっきりとは分かりません。②の前胸腹板突起は科②と書いた部分に相当するのではないかと思いますが、側方には拡張していないようです。③の前基節窩は科③と書いてある部分だと思うのですが、後方に開いているようには見えません。ということで、広義のゴミムシダマシ科と一致しているようです。

次はゴミムシダマシ科とクチキムシ科を分ける決定的な特徴です。



これは脚の爪の部分を拡大したものです。例によって、生物顕微鏡の10xの対物鏡を用いて写しました。以前のクシコメツキとよく似た櫛歯状の爪をしています。比較すると、クシコメツキよりは櫛の目が少し細いような感じです。

次は属の検索表を見ていきます。



これは、「原色日本甲虫図鑑 III」に載っていた属の検索表で、クチキムシ属に至る部分の抜粋です。関連する部分の写真を載せます。







まず、属への検索の①ですが、Fig. 5の属A①に示すように、複眼はえぐられたようになっています。この特徴は以前、キマワリで見たものと似ています。A②はFig. 2の属A②を見ると、腹部第1節の基縁と第1から3節の側縁は縁取られたようになっていることが分かります。A③はFig. 2の属A③で示すように、前脚、中脚などは基節がはっきり分かるのですが、後脚はほとんど隠れてしまって見えません。そのことを指しているのではないかと思いました。

次のBはFig. 6を見ると分かりますが、爪のついている第5節の手前の節の下側が葉状になっています。この図は中脚の場合ですが、第3,4節が葉状になっています。これに対して、後脚の跗節は4節から成り立っていて、第3節だけが葉状になっていました。

検索表のC①は触角に関するもので、Fig. 7を見て下さい。第2節は確かに短くなっています。Dは小あごひげに関するもので、Fig. 5の属Dで示すように、先端節は盃状になっています。Eは外形に関するもので、最終的に、クチキムシ属になりました。



クチキムシという種に関してはそれほど詳しくは載っていません。上の表は、「原色日本甲虫図鑑 III」と「原色昆虫大図鑑 II」の記述です。両者はほとんど同じですので、前者に従って調べていきます。





まず、①に関してはFig. 5に示すように頭部は深く点刻されています。後頭の後ろ側が点が連なって盛り上がっているように見えるのですが、これが⑤の小顆粒を意味するのでしょう。②は前胸背板についてですが、基部凹陥というのがよく分からなかったのですが、Fig. 8の種②に示したものだとすると、話は通じます。⑦については前胸背板が曲がって両側が落ち込んでいることを指しているのかなと思っています。最後の③は上翅についてですが、Fig.9の種③に示すように点刻が条溝にも間室にもあることが分かります。

ということで、ここに書いてある内容からクチキムシで合っているかなと思いました。甲虫もこうして1種ずつ詳しく調べていくと、だんだん分かるようになるかもしれませんね。ただし、日本にいる甲虫は1万種ですから、毎日、1種ずつ調べていっても、27年もかかってしまいますが・・・。

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