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ヒメカゲロウ科のまとめ

手作りの「成長し続ける図鑑」でヒメカゲロウ科をまとめてみようと思って、過去のブログを見てみたら、これまで調べようとはしていたのですが、一度も種レベルまで検索をしたことはなかったみたいです。それで、これまでのブログをまとめただけだと何となくまとまりのない話になるので、一度、検索表をきちんと見直して検索をやり直してみようと思いました。



まず、ヒメカゲロウというのはこんな感じの虫です。この写真はアミメカゲロウ目ヒメカゲロウ科のチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusだと思われる個体で、2014年7月11日に撮影したものです。「日本昆虫目録第5巻」によると、こんな感じの虫が日本には9属45種もいるそうです。私のマンションでも数種は確実にいるのですが、きちんと検索をしたことがなかったので、この際、検索表を整備してみようと思いました。



この間も出したのですが、「日本昆虫目録第5巻」に記録された属がどの文献の検索表で扱っているかを調べてみたものです。左から3列目までは目録に載っていた亜科、属、種数です。右の3列は次の3つの文献に載っていた検索表で扱かわれているかどうかを〇印で表しています。

[1] W. Nakahara, "On the Hemerobiinae of Japan", 日本動物学彙報 9, 11 (1915). (ここからダウンロードできます)
[2] S. Kuwayama, "A revisional synopsis of the Neuroptera in Japan", Pacific Insects 4, 325 (1962). (ここからpdfがダウンロードできます)
[3] J. D. Oswald, "Revision and Cladistic Analysis of the World Genera of the Family Hemerobiidae (Insecta: Neuroptera)", J. New York Entomol. Soc. 101, 143 (1993). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これらの文献のうち、[1]と[2]は古いので、分類体系が変化し、また、扱っている属や種の名称も変化している可能性があります。それらを調べたのが"synonym"と書いた欄です。いずれにしても文献[2]と[3]の検索表を用いればほとんどの属の検索ができそうです。特に、文献[2]は種の検索表も載っているので便利です。

そこで、まず、文献[2]の検索表を現在でも使えるように改変してみました。どこをどう変えたかというと・・・。

Paramicromus→ Micromus
Eumicromus→ Micromus
Oedobius→ Drepanopteryx
Kimminsia→ Wesmaelius

属に対してはこの上のように直しました。これでMicromus属は3つの属が合体したことになります。これにより不必要な検索項目を削除しました。

Sympherobiidae→Hemerobiidae, Sympherobiinae+Notiobiellinae

さらに、現在はヒメカゲロウ科 Hemerobiidaeの亜科になっているSympherobiinae、Notiobiellinaeの2亜科が当時はSympherobiidae科になっていたのでこれを変更して、Hemerobiidae科とSympherobiidae科の二つの検索表を合体しました。そうしてできたのが次の検索表です。


だいたいは意味が通るのですが、"funestella"が最初よく分かりませんでした。辞書を引くと、「小窓」という意味なのですが、論文の図を見ると前翅後縁に三角形や細長い溝状の色が白あるいは透明な窓のような切れ込み模様があるのを指しているようです。同じようなことを種の検索表についても行いました。出来上がった種の検索表については手作り図鑑の方に載せることにします。こうやって作り直した検索表を以前ブログに出したチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusとアシマダラヒメカゲロウMicromus calidusの標本写真で試してみることにしました。



上に書いた属の検索表と種の検索表から必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。この中にはcalidusとnumerosusが共に含まれるようにしてあります。これを以前の標本写真で調べてみます。



検索はほとんど翅脈に関するものなので、こんな写真だけでも脚の脛節を見る必要のある⑥を除いてほとんど調べることができました。検索表の番号を写真に書き入れたので、この写真からだいたいは追いかけることができると思います。実際に調べてみると、確かにチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusでよさそうなことが分かりました。



この標本も検索の途中まではまったく同じなので、⑥aの項目だけを書き入れてみました。前翅後縁の不規則な雲状模様というのがはっきりしませんが、そのほかはほぼ書いてある通りです。また、脚がわずかに写っていて黒い環状斑があることが分かります。従って、アシマダラヒメカゲロウMicromus calidusでよさそうです。ということで、検索表に従って種を調べることができました。




この表は「日本昆虫目録第5巻」に載っている種と文献[2]に扱われている種の対応を表したものです。Kuwayama氏の論文でnumerosusのところに2種が載っていますが、後に、sauteriがnumerosusのシノニムであることが分かったからです。「日本昆虫目録第5巻」に載っているほとんどの種が文献[2]にも載っていますが、2種だけが載っていません。分布を調べてみると、そのどちらも本州には分布していないことが分かりました。他の属でもほぼ同様のことが言えるので、たぶん、Kuwayama氏の論文で種レベルまでかなり検索できるのではと思っています。

生態写真でも検索を試みたのですが、翅脈や翅の斑紋がはっきり分からないものがほとんどで、なかなか生態写真だけからでは判断が難しいことも分かりました。今のところ、生態写真でだいたいの種の見当をつけておいて、今度は採集してこんな展翅標本を作っておくとかなり確実に種の決定ができそうです。



ついでに文献[3]についても属の検索の構図を調べてみました。番号は検索表の番号です。例えば、Psectra属に至るには1→27'→28→29→30'→32→33と進む必要がありますが、こうやって日本産だけに限ると分岐するところ以外の検索項目は特に必要としないので、結局、黒字で書いた数字の部分だけを訳していけば日本産の検索表にすることができます。なお、赤字は目的地を表していますが、その項目も書く必要がある場合にはアンダーラインを引いてあります。赤字で書いた部分には属の性質が含まれていることも多いので、ある程度書き込んだ方がよい場合もあるだろうと思っています。それにしてもこれら全部を訳していくとなるとかなりしんどい作業になります。もう少し後でやるかなぁ。
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