FC2ブログ

虫を調べる ニセケバエ科Apiloscatopse属?(続き)

昨日の続きでニセケバエ科の検索です。昨日は族の検索まで行いScatopsini族だろうというところまで達しました。今日はその続きで属の検索です。



対象としたのは12月21日にマンションの廊下で採集したこのニセケバエです。これは毎年12月中旬から1月中旬にかけて見られる種で、ニセケバエにしてはやや大きめの種です。この個体の体長は2.2mmで、体長は小さいのですが、翅が大きいので結構大きく見えます。

属の検索は以下の本の検索表を用いました。

[1] J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).(以下、CPMDと略します)

実は、Scatopsini族まで達すると、後の選択肢はそれほど多くはなくなります。従って、検索表も簡単になります。



⑩と⑪の二項目を調べることで属まで到達します。調べた結果、たぶん、Apioscatopse属だろうということになったのですが、それを写真と見比べながら確かめていきたいと思います。



まず、⑩はこの写真でも分かりますが、M1とM2脈はほぼ対称で分岐してから滑らかに湾曲しています。それで、⑩はOKです。次の⑪は翅長の2/3のところに線を描いたのですが、R4+5はその線をはるかに越えて伸びています。これで⑪aもOKです。



これは腹部末端を腹側から写した写真ですが、腹板は光沢を持っています。その腹板にまばらに毛が生えていて、初めこれをミクロトリキアかなと思いました。でも、よく見ると、毛の根元に孔が空いていてソケットがあることが分かります。それで、これはマクロトリキアということになり、光沢があることからもミクロトリキアはないと思われます。次の交尾器前方の節はs7あたりを指すと思うのですが、「いろいろに変形」の意味が分かりませんでした。でも、残り二つの項目がOKなので、⑪aはたぶん大丈夫でしょう。ということで、この個体はApioscatopse属の可能性が高くなりました。ただ、CPMDに載っていない属の可能性もあるので、以下の二つの文献に載っている検索表でも調べてみました。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)

あまりちゃんと見たわけではないのですが、この二つの検索表でもやはりApioscatopse属になりそうです。たぶん、大丈夫かなと思うのですが、この属の情報が少なくて、本当に東アジアに分布するものかどうかさえ、よく分かりません。

検索ついでにこれまで写してきた写真も調べてみました。



まずはこの個体です。これは2月下旬から4月初旬と11月にマンションの廊下で見ています。個体数は比較的に多いのですが、上の個体に比べると小形です。外見的には脚まで黒く、黄矢印で示した部分に白い斑紋があります。



これは連結した個体です。



これは4月初めに見た写真ですが、数匹のニセケバエがクモの糸のようなものの下でうずくまっていました。



このニセケバエの特徴はM1脈で、黄矢印で示したようにこんな角を作っています。



R4+5脈は翅長の2/3よりほんの少し長いだけでした。これらの特徴から先ほどの検索をしてみると、今度はScatopseになりました。「日本昆虫目録第8巻」によると、Scatopse属の日本産で記録されているのはnotata一種です。この種は旧北亜区に広く分布している種で、ネットで探すと上の写真と同じ場所に白い斑紋がありました。たぶん、Scatopse notata(クロツヤニセケバエ)で間違いないのではと思っています。





最後は2年前の9月に河原で見つけたニセケバエです。この時はヒメジョオンの花にアザミウマと一緒にいるところが見られました。1匹だけ捕まえて調べてみました。



このときは写真がうまく撮れなかったのと、採集した個体の翅が破れてしまったのではっきりしたことは分かりませんでした。体は全体的に黒で、脚は暗褐色です。翅脈の写真からRs/R4+5脈が前二者に比べるとかなり短いことが分かります。この時もMNDで検索をしたのですが、今回改めてCMPDで検索してみると、以前と同じ、ニセケバエ亜科(Scatopsinae)で、今回はナガサキニセケバエ族(Swammerdamellini)のQuateiella, Coboldia, Rhexoza3属のどれかであろうという結果になりました。たぶん、この辺りであることは確かそうです。ということで、これまで撮った写真では合計3種のニセケバエが見られていたことになります。ニセケバエも少し分かるようになってきました。

雑談)今回調べたニセケバエ科とこの間調べたクロバネキノコバエ科を「手作り図鑑」風に作ってみました。これまでに作ってきた「手作り図鑑」をどのようにHPにアップしたらよいか迷っていたのですが、科別にすることによりファイルサイズを小さくしてアップすることにしました。試しにハエ目2科をHPに載せてみました。まだ、写真と画像リストのリンクが張っていないなど未完成なのですが、ぼちぼち充実させていこうかなと思っています。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

廊下のむし

Author:廊下のむし

カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
カウンター
月別アーカイブ