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廊下のむし探検 雑談

雑談1)このところやったら寒いので、たぶん、虫はいないだろうなと思って「廊下のむし探検」を休んでいます。その分、文献を調べたり、虫を調べたりとデスクワークに没頭しています。今日は12月21日に採集したニセケバエを調べてみようと思ってその準備をしてみました。



ニセケバエというのはこんなハエの仲間です。体長2-3mmの小さなハエですが、♂♀が連結したままうろうろしているところをよく見かけるので少し気になるハエです。ただ、「日本昆虫目録第8巻双翅目」に載っている種はsppを含めてわずか5属6種。驚くほど記録されている種が少なく、ほとんど日本では手が付けられていないのではと思われるハエの仲間です。



以前にも出したのですが、その後、文献を送っていただいたので、それも含めて文献に載せられている属をまとめてみました。それぞれの文献は以下の通りです。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)
CMPD: J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).
CIJ: 日本昆虫目録編集委員会、「日本昆虫目録第8巻双翅目」、櫂歌書房 (2014).

MCADが最も新しく多くの属が載っていたので、それを中心に書いて、残りの文献では扱っている属を〇印で書きました。今回は"Palaearctic"、つまり旧北亜区(ユーラシア、北アフリカ、東アジアなど)を扱っているCMPDの検索表を使い、この日に撮った写真を使って検索をしてみました。



こちらは翅脈です。翅脈の名称はCMPDに載っている名称をそのまま用いました。



そして、これはR4+5とMの分岐のあたりの拡大です。これらの写真だけで結構検索ができました。若干不明なところもあるのですが、一応、検索してみると、Scatopsinae亜科Scatopsini族のApiloscatopse属になりそうです。ただ、この属が果たして東アジアで観察されているのかどうか、その辺りはよく分かりません。検索自体は翅脈だけで結構何とかなりそうです。詳細はまた今度出すことにします。

こんなことを雑談に書いたのは実は・・・。試料は冷凍庫に入れています。こんなに小さな虫だと出してしばらくすると乾燥が始まります。そうすると顕微鏡写真を撮っても、しわくちゃになり綺麗に写りません。それで、いつもこのくらいの前準備をしておきます。そうして、短時間のうちに必要な写真を全部撮ってしまいます。結構、忙しいんですよ。

雑談2)ニセケバエ科と同時に7日に撮った甲虫の名前を調べようと思って苦労しています。



まだ、ブログには出してはいないのですが、こんな甲虫です。体長は4.2mm。全体の形からマグソコガネの仲間であることが分かります。マグソコガネについては「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に検索表が載っていて、また、「日本産コガネムシ上科図説第1巻食糞群」に詳細な部分写真が載っています。まず、外観から候補を絞ってみました。候補に挙がったのはいずれもマグソコガネ属 Aphodiusに入っていました。Aparammoecius亜属のチャグロマグソコガネ、Agrilinus亜属のヌバタママグソコガネ、Planolinus亜属のマキバマグソコガネの3種です。いずれも亜属が違うので、亜属の検索表で何とかなるかなと思ったのですが、採集をしていなかったのが失敗のもと。今のところ、チャグロが最有力候補になっているのですが、肩歯という上翅の肩部にある小さな歯がどうしても見つかりません。やはり採集をしておくべきでした。



これは翅を横から見たものですが、なかなか面白いですね。数字が振ってあるのは条溝で、第1、2、6、7、8条溝は先端の尖った隆起線状になっています。また、翅端まで達しているのは第1、2条溝ぐらいで、残りはいくつかの条溝が先端で融合しています。黄色の矢印で示したのは間室で、矢印で示した部分は間室も途中で隆起線状になっています。また、赤矢印は肩歯ではないかと思ったのですが、これがよく分かりません。2日後にひょっとしてまだいるかもと思って採集に行ったのですが、やはり見つかりませんでした。(追記2019/01/13:立西さんから、「決定打にはなりませんが,本州でこの時期に活動しているという点からもチャグロに絞れるかもしれません。」というコメントをいただきました。これは心強いコメントです。たどり着く先がよく分からないので検索過程を出すのはやめようかと思っていたのですが、もう少しじっくりと調べてみてみることにします。どうも有難うございました

雑談3)16年間使っていた電子辞書の液晶部分の支えにひびが入り、画面に筋が入り始めてしまいました。どうにも見にくいので、昨日とうとう新しい電子辞書を注文しました。購入したのはやはりカシオのXD-Z9800という英語重視の電子辞書です。以前、使っていたのもカシオ製で論文を読むときにはもっぱらリーダーズ英和辞典を使っていたので、今回もこの辞典だけは入っていることを条件に探しました。今日午前中に届いたのですが、使ってみると、多くの辞典の一括検索ができるので便利ですね。胸部側板の名称である"katepimeron"や"katepisternum"が載っているのには感激しました。これからどんどん論文が読めるようになるかな。ちょっと期待しています。
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決定打にはなりませんが,本州でこの時期に活動しているという点からもチャグロに絞れるかもしれません。

遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。

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立西さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

これは心強いコメントです。たどり着く先がよく分からないので検索過程を出すのはやめようかと思っていたのですが、もう少しじっくりと調べてみてみることにします。どうも有難うございました。
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