廊下のむし探検 ハエ
廊下のむし探検 第1053弾
12月14日にマンションの廊下で見つけた虫の続きが残っていました。ハエばかりなんですけど・・・。
これはたぶん、以前も見たオオクロバエだと思われます。捕まえればよいのですが、これだけ大きなハエだとどうも苦手で・・・。代わりに以前もしたように胸背の刺毛を調べてみました。
刺毛を調べるときは横線前にある赤矢印で示した刺毛を見るとよいようです。特に、外側にある刺毛がそのすぐ前の刺毛(黒矢印)より外側にあるとニクバエ、内側だとクロバエになります。あまりはっきりとはしないのですが、この写真の個体ではやや内側なので、やはりクロバエでよいのかな。
次はこのハエです。これはヤドリバエかなと思うのですが、これも胸背の刺毛を見てみました。
やはり横線前の赤矢印の刺毛に着目します。外側の刺毛がその少し前の刺毛(黒矢印)より外側に位置しています。内側の矢印の刺毛がないとアシナガヤドリバエになるようです。青矢印の刺毛は少し系列を外れていますが、これを肩後刺毛(ph)に入れるべきか、翅間刺毛(ia)の系列に入れるべきかよく分かりませんでした。いずれにしても、生態写真では刺毛がうまく写らなくて、はっきりとは分かりません。やはり、採集必須ですね。小盾板がちょっと変な感じです。
次はこの小さなハエです。胸背の色が違いますが、共に、クロバネキノコバエではないかと思います。そのうち、属を調べてみたいと思っているので、どの文献で検索すればよいか調べてみました。
CIJは「日本昆虫目録」の英語名の略で、従って、左欄は日本産として知られている属です。MNDとMCAはそれぞれ"Manual of Nearctic Diptera"と"Manual of Central American Diptera"の略です。この二つの本には検索表が載っていますが、〇で記したようにあまり満足できるものではありません。後半の三つの文献では検索表は載っていない代わりに個々の属の特徴が載せられています。特に、Menzel (1999)ではすべての属について載っているので、使えるかもしれません。まず、検索表で見るべきポイントをつかんでおいてから、個々の属を調べていくのがよいのではと思っています。
最後はニセケバエです。ニセケバエについては以前にも検索を試みたことがあったのですが、「日本昆虫目録第8巻」にさえ、たった5属6種。そのうち、2種はspp。ほとんど調べられていないのと同じです。それで、検索に使えそうな文献を探してみました。
CIJ、MCA、MNDは先ほどと同じです。ニセケバエに関してはMCAに世界に分布する属に対する検索表が載っていてかなり使えそうです。それと比較すると日本産リストはやけに貧弱です。(追記2018/12/21:文献をお送りいただいたので、表に追加しておきます。MPDは"Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera vol. 2"の略です。どうも有難うございました)
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