観察会で見たシダ
12月1日にシダ観察会が開かれました。私は会員ではなかったのですが、誘われて参加してみることにしました。場所は高槻市のポンポン山の登山道沿いを途中まで行って引き返し、次いで、神峰山寺側に降りるというコースです。下見では40種ほど見つけられたとのことでしたが、私は以前シダの写真をいくつか撮っていたので、今回はできるだけ撮っていない種を中心に撮ろうと思ってついていきました。でも、あまりにたくさん出てきたので、途中で頭がパンクし、後半はほとんど聞き流してしまいました。とりあえず、写真を整理してまとめてみました。
まずはこのシダです。道路脇に生えていて、長さが15cmから20cm位だったので、幼シダだろうと思っていたら、ちゃんと胞子嚢群(ソーラス)がついていたので、私の植物のお師匠さんに聞いてみると、ホソバシケシダだそうです。ついでに観察会のリーダーにも聞いてみたら、イヌシダとのことです。どちらか分からなくなって、家に戻って調べてみたら、両者はソーラスが全く違っていました。
私の見たシダはこんなソーラスでした。一方、イヌシダは辺縁に筒状のソーラスができるので、全く違っていました。ただ、ホソバシケシダのソーラスは細長いのですが、鉤状に曲がったものも見られます。文献を見てみると、稀に鉤状になることがあるというので、やはりよいのかもしれません。なお、シダの説明は文献によってかなり異なるので、次の4つの図鑑を参考にしました。
[1] 岩槻邦男、「日本の野生植物シダ」、平凡社 (1992).
[2] 野草検索図鑑編集委員会編、「野草検索図鑑シダ」、学習研究社 (1985).
[3] 池畑怜伸、「写真でわかるシダ図鑑」、トンボ出版 (2008).
[4] 光田重幸、「検索入門しだの図鑑」、保育社 (1997).
写真の中に書き入れた説明にはその文献番号を載せておきました。上の写真に写っている中軸には鱗片やら毛などは生えていないような気がします。ついでに、ソーラスを顕微鏡で拡大してみました。
この黒矢印のソーラスをさらに拡大してみました。
胞子を覆っているものを包膜というのですが、その辺縁が避けるというのは文献[1]―[3]に書かれていました。黒矢印のあたりのことを言うのかなと思ったのですが、若い葉でないとはっきりしないのかもしれません。
次はイブキシダです。これはすでに写真を撮っていたのですが、羽片の基部に通気孔があるというのを思い出して、撮ってみました。
これは葉の羽片の拡大です。イブキシダは中軸が黄色くて、これが目立つというのが私の印象です。
これはソーラスです。もう包膜が破れて胞子が顔を出していました。辺縁側にあるというのは良いのですが、包膜についてはもう分かりません。
次は問題の通気孔です。羽軸の基部に白矢印で示した突起があるのが通気孔みたいです。これが分かってちょっとした収穫になりました。でも、孔が開いているのだろうか。
次はハカタシダです。ハカタシダはもう何度も撮っていたので、雑に撮っていたらこんな写真しか撮っていませんでした。頂羽片がはっきりしていて、側羽片が4-5対、それに最下羽片の下向第1小羽片がやけに大きいなどで見分けられます。
これはソーラスです。ソーラスの位置はほぼ中間。
次はミゾシダです。歩いていて、これにはまったく気が付きませんでした。それほど目立たないシダです。これまでも何度か撮っていたはずなのですが・・・。
これは最下羽片のあたりの写真です。
羽片の裏を見るとソーラスの痕跡が見えています。裏から葉脈がはっきり分かるとか、羽片の切れ込み方などを見ると、何となくミゾシダかなと思います。
次はキヨスミヒメワラビです。たぶん、前にも見たことがあったのではと思うのですが、ほとんど記憶に残っていませんでした。
これは羽片の拡大です。
このシダの特徴は中軸や葉柄にこんな白い鱗片がついていることです。
これはもっとはっきりしています。ただし、この白い鱗片は時間とともに褐色になっていくようです。
それからソーラスです。ソーラスは明らかに中肋よりです。ただ、文献[1]には「辺縁近く」と書かれていました。文献[2]には「中肋とふちとの中間まで」となっているのでよいのかもしれません。いろいろと見てみないと分かりませんね。まだまだあったのですが、とりあえずここまでにして、残りは次回に回します。
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