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虫を調べる ナミネアブラキモグリバエ(続き)

冬になったらマンションの壁に小さなハエが大量に集まります。このハエを調べてみたいと前から思っていました。先日、このハエの属しているキモグリバエ科の検索表をいただいたので、早速、検索をしてみました。前回は各部の名称と亜科の検索を出したので、今回はその続きで、属と種の検索です。



調べたのはこんなハエです。属の検索には次の論文に載っている検索表を用いました。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その2)」、Korasana 84, 155 (2016). 



調べてみると、ネアブラキモグリバエ属になったのですが、その過程を書くとこのようになります。これを写真で確かめていきたいと思います。今回はだいたい検索順に見ていきます。



この写真では脚に特に異常がないことを見ます。本当は腹面を撮った写真だったのですが、ついでに脚のようすも見ることができました。



この写真では④と⑨を見るのですが、どちらも長さを測らなければいけないので、ちょっと厄介です。実は、額、側顔(本文では亜側顔になっているのですが、英語のparafrontaliaは側顔と訳してよいのでは・・・)、それに、頬の寸法をどこで、どのように測るのかよく分からないからです。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その1)」、Korasana 83, 165 (2014). 

この論文に測定する場所の図が出ていて、それに合わせるように測ったのが上の写真です。④については額が突出しているわけではないのでまず大丈夫だと思われます。⑨も側顔や頬の測る位置さえ合っていれば、検索としては問題なさそうです。ただ、数字が出てくるので、そもそもどこを測るか、このように2次元に投影した写真で測ってよいのか、それとも曲面に沿って測らなければいけないのかなど、いろいろと疑問が残りました。測り方についてはもう少し検討してみますので、それによって値は変化するかもしれません。



⑤、⑥、⑧は触角についてです。触角刺毛が細くて、縁毛を伴うというのは問題なしです。触角第3節の幅を1とすると長さは0.93になりました。この写真は触角第3節の広い面が平面に写るように角度を調整したので、まず大丈夫かなと思っています。



⑦と⑨は単眼三角区についてです。この上に額内刺毛が黒矢印で示したように2から3列並んでいます。これで⑦もOKとしました。三角区の先端は赤矢印で示したところですが、先端は尖っています。これで⑨もOKです。



これは小盾板を写したものです、小盾板は平面状で、黒矢印で示したように側縁には稜があります。これですべての項目をチェックしました。数字に若干不安が残りますが、ネアブラキモグリバエ属であることは確かそうです。



次は種の検索です。これには次の本の検索表を用いました。

K. Kanmiya, "A Systematic Study of the Japanese Chloropidae (Diptera)", Memoirs of the Entomological Society of Washington No. 11 (1983).

この2項目を調べることで、ナミネアブラキモグリバエ notataであることが分かります。これも写真で見ていきます。



またまた寸法です。今度は頬の幅と触角第3節の幅の比較です。触角第3節が少し面からずれているのですが、気にしないでこのまま測ってみると、頬の幅は触角第3節の幅の0.22倍になりました。この値が⑪の範囲から少しはずれているのが気になりますが、きっと測り方がまずいのでしょう。もう少し、検討してみます。でも、⑪にはほかの項目もあるので、たぶん、大丈夫だと思われます。



⑩の前半はこの写真からすぐに分かります。後半は黒矢印で示した翅後領域の黒斑とそのすぐ上の斑紋が離れていることを言っています。⑪は問題ないでしょう。



触角の幅と長さは先ほども見たのですが、⑪はOKだと思われます。




これも先ほど見ましたが、単眼三角区内の額内刺毛が2~3列あるのは黒矢印で示した通りです。三角区の横縁がやや凸というのは赤矢印で示した付近のことをいうのかなと思うのですが、よくは分かりません。ということで、種の検索についてもほとんどすべての項目を確認したので、たぶん、ナミネアブラキモグリバエ Thaumatomyia notataで合っているのではないかと思っています。このハエはヨーロッパからアジアまで広く分布する種で、冬になると多数の個体が集中して越冬することで古くから知られています。また、砂糖大根の害虫として知られるネアブラムシの天敵としても知られています。これらの話についてはいくつか論文を読んだので、今度、紹介します。それから、このハエは腹部末端の形から♀です。





ついでに顔面の写真も載せておきました。実は、初め、頬や側顔の寸法を面に沿って測るのかなと思って、撮っておいた写真ですが、結局、使いませんでした。
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