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虫を調べる ナミネアブラキモグリバエ

冬になると、決まってマンションに多量の小ハエがやってきます。何だろうと何だろうと思っていたのですが、調べても、キモグリバエ科以上のことが分からず、いつも挫折していました(こちらこちら)。先日、キモグリバエ科の検索の資料をいただいたので、今度こそ名前を突き止めようと思って、ハエのやってくるのを待ち構えていました。



やってくるのはこんなハエです。一見、綺麗なハエなのですが、これが網戸や窓にいっぱいついて、冬の間は窓がまったく開けられません。



これは2日前にベランダの天井を写したものですが、数日前はこの数倍の数がいました。最近、暖かいので、あちこちに散らばっていったようです。

検索に移る前に、いつものように各部の名称を調べてみました。それには次の論文の図を参考にしました。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その1)」、Korasana 83, 165 (2014). 



まず、体長は2.7mmでした。



これは胸部背面と側面の名称です。特に、普通のハエと違いはなさそうです。



頭部では三角形の額三角板(単眼三角区)が顕著です。ついでに、剛毛の名称もつけてみました。vtiとvteは内頭頂刺毛と外頭頂刺毛、ifは額内刺毛、ocは単眼刺毛、orsとoriは上眼縁刺毛と下眼縁刺毛です。目立った刺毛はvtiとvteくらいです。



次は中胸背板の刺毛です。ntは背側刺毛、paは翅後刺毛、dcは背中刺毛、asとsasは小盾板端刺毛と小盾板亜端刺毛の略称です。ntとpaの辺りはよく分からなかったので、次の論文の中でこの種の候補になっているThaumatomyia notataの記述を参考にしました。

K. Kanmiya, "A Systematic Study of the Japanese Chloropidae (Diptera)", Memoirs of the Entomological Society of Washington No. 11 (1983).



これも同じ場所を斜め前から撮ったものです。



最後は翅脈です。説明を読むと、どうやらSc脈が退化しているようです。よくよく見るとその痕跡のようなものが見られます。また、通常Sc脈がC脈と交わる付近にあるsc切目も残っています。また、第2基室(dm)と中室(dm)が分かれていた時の名残りの屈曲点があります。その他、翅後半にあるはずのCu脈やA脈がすべて退化しているのもこの科の特徴です。



先ほどの二つの論文に載っている検索表を用いて、まずは亜科の検索をしてみました。その結果、キモグリバエ亜科になったのですが、まず、その過程を見ていきたいと思います。



ほぼ検索順に見ていきますが、まず、①の初めの部分は、眼縁刺毛が短く、すべて後傾しているのが写真から見て取れます。これでOKです。



つぎは背中剛毛(dc)が黒矢印で示した1本だけあることを確認します。



この肩瘤についてはちょっと注釈が要りそうです。日本語の原文では「肩瘤に1本の刺毛」となっていますが、肩瘤には目だった刺毛がありません。強いて言えば弱い毛が2本くらいはありそうです。同じ個所の英語の記述を見ると、"humerus with at most 1 seta"となっています。"at most"と書かれているので、ここは「肩瘤にはせいぜい1本の刺毛」としておいた方がよさそうです。英語の論文でThaumatomyia notataの種の記述の欄を見ても、"h hairlike and pale"となっているので、刺毛と言えるほどのものでないことが分かります。いずれにしてもここはOKとします。



最後は翅脈です。前縁脈はR4+5脈を少し過ぎたところまで伸びていることが、右下に入れた拡大図で分かると思います。これですべての項目を調べたので、このハエはキモグリバエ亜科でよさそうです。

ちょっと長くなったので、属と種の検索は次回に回します。
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