廊下のむし探検 意外に虫が多い
廊下のむし探検 第159弾
最近、雨で冷たい日が多かったので、しばらく、「廊下のむし探検」はお休みでした。昨日は、久しぶりに晴れていたので、郵便局に行くついでにちょっと歩いてみました。どうせあまりいないだろうなと思っていたのですが、意外にたくさんの虫がいました。
一番多かったのは、このツヤアオカメムシでした。一つの階に数匹ずついたので、マンション全体では何十匹かになるでしょう。それに加えて、クヌギカメムシも増えてきました。秋になると、カメムシが暖かいマンションに向かってどんどん集まってきます。
オカメコオロギのメスです。オカメコオロギには何種類かあるのですが、メスについては、図鑑に区別の仕方が出ていないので、ちょっと前に文献を調べてみました。ネットで調べてみると、松浦一郎氏の「日本産オカメコオロギ属近似種の分類」 New Entomol. 37, 17-23 (1988)という文献のあることが分かりました。New Entomol.は信州昆虫学会会誌のことで、以前は「新昆虫」と呼ばれていました。さらに、1996年からは北隆館が継承し、今では「昆虫と自然」という雑誌になっています。
残念ながら、ネットではダウンロードができないので、所蔵している図書館を調べると、国会図書館、岡山大、鹿児島大、岐阜大・・・などでした。コピーを取りに行くのも面倒なので、今回はJ-GLOBALという科学技術振興機構が運営しているサイトにコピーをお願いしました。郵送の場合、基本料金が838円、コピー1ページ9円で少し高い感じがしますが、図書館に出かけるときの交通費を考えるとむしろ安いかもしれません。
コピーは数日で届きました。この論文では、日本産のオカメコオロギは4種で、そのうち2種を新種として記載するというものでした。その4種は、ハラオカメコオロギ、タンボオカメコオロギ、モリオカメコオロギ、ネッタイオカモメコオロギです。でも、読んでみると、この4種の識別点は、雄では前翅末端の網状部、若齢幼虫の触角の白色部の有無、鳴き声の特徴により判別することができるが、「雌ではこれといった識別点はない」というものでした。ちょっとがっかりです。
そして、これはいつものツユムシです。ツユムシは天井に止まっていることが多いので、いつも逆向けに写ってしまいます。(追記:知り合いの先生から、ツユムシではなく、ヒメクダマキモドキであると教えてもらえました。南方系の昆虫で分布を拡大しているようです。)
廊下の隅にベッコウハゴロモが止まっていました。ストロボをたいたら、翅のあちこちが光って結構綺麗です。
後は蛾ばかりです。
似た種類がいて、いつも迷う種です。オオアカマエアツバとニセアカマエアツバです。2種は、頭の部分にある下唇鬚で区別します。「大図鑑」によれば、雄では尖っていて、メスでは極端に太くなっているのがニセアカマエアツバとあり、写真が付してありました。今回の写真の下唇鬚はだいぶ太いので、ニセアカマエアツバの方かもしれません。
中央にある白い点が目印です。ヤガ科のナシケンモンです。
翅の筋を除くと、模様がはっきりしないのですが、ヤガ科のオオウンモンクチバではないかと思います。
奇妙な角度からの写真ですが、地下駐車場に止めてある黒い車の屋根に止まっていました。ヤガ科のヒメエグリバです。
同じ車の横腹にはこんな蛾も止まっていました。カレハガ科のクヌギカレハです。自分の車に、こんな蛾が止まっていると、きっとぞっとするでしょうね。
廊下の蛍光灯のところにヒメヤママユが止まっていました。新鮮な個体です。
これはウスキツバメエダシャクです。白い壁に止まっていると、まるで保護色ですね。
ツトガ科のクロモンキノメイガです。よく見る蛾ですが、「廊下のむし探検」では初登場です。
この間も登場したムラサキトガリバです。
ちょっとエキゾチックな蛾ですが、似た蛾がいていつも迷います。アシベニカギバとオキナワカギバです。オキナワカギバは沖縄だけでなく、本州南部や四国、九州にも生息しています。「大図鑑」によると、オキナワカギバは、前翅の黄色の帯がそれほど顕著でなく、前翅外縁の中央部がほとんど出っ張らない、前翅横脈上の白い点が点状なのですが、アシベニでは「く」の字の形をしているという点です。以前、採集していた時もよく分からなくて、30数頭展翅をしたのですが、中間的なものも多くて、明確な区別は分かりませんでした。この写真の個体は、おそらくアシベニカギバだと思います。
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