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虫を調べる イエバエの各部の名称

先日、イエバエ科イエバエらしきハエの検索を行いました(こちらこちら)。ついでに各部の名称を調べてみようと思って勉強してみました。



まずは刺毛です。刺毛は1枚の写真ではうまく写らないことが多いので、角度を変えて何枚も写しました。





また、略称の意味は次の通りです。



刺毛については勉強のために事あるごとに名称をつけるようにしているのですが、いつも迷ってしまう刺毛があります。それはAと書いた刺毛とBと書いた刺毛です。人によって名称の付け方がまちまちなので、困っていたのと、刺毛についての知識がほとんどなくて、ただ、その位置から何となくつけていたのが原因でした。

大石久志、村山茂樹、「日本のイエバエの同定」、はなあぶ 37、100 (2014)

今回、この論文を読んでみると、刺毛配列(論文には剛毛配列とあるのですが、名称を「新訂原色昆虫大図鑑III」に合わせたので、刺毛と書いておきます)について詳しく載っていました。まだ、完全には理解できないのですが、一応、理解したところだけ書いておきます。まず、イエバエ科では肩後刺毛(ph)を翅内刺毛(ia)の系列として考えます。それで、横線(sut)の前にあるAという刺毛についてもそのまま横線前にある翅内刺毛(ia)と考えます。



これは以前写したクロバエ科オオクロバエだと思われるハエの刺毛です。この場合、肩後刺毛(ph)は翅背刺毛(sa)の系列と考えるのです。なぜそうなのかは分かりませんが、たぶん、肩後刺毛が肩瘤に沿って側面方向に伸びているせいだと思われます。同じ肩後刺毛が科によって翅背刺毛系列になったり、翅内刺毛系列になったりします。それで、「新訂原色昆虫大図鑑III」の刺毛配列の図では二つの系列が重ねて書かれているのだと思われます。さらに、科によって横線前後の刺毛に特別な名前をつけて呼ぶことがあるようです。それが、AとBになります。Aは「絵解きで調べる昆虫」に載っている笹川氏の検索表ではクロバエ科、ニクバエ科、タンカクヤドリバエ科について横線前刺毛(prs)(大石氏の論文では前横線翅背刺毛)と書かれています。一方、イエバエ科について、篠永氏の「日本のイエバエ科」の図には単に翅内刺毛(ia)とだけ書かれています。これに対して、翅背刺毛の横線後最初の刺毛は翅前刺毛(pra)とされています。これがBです。こんな風に科によって名称が違うのは歴史的な要因があるのでしょうが、気をつける必要があります。

また、翅脈の系列を破線で結んでいて少し気になった刺毛がありました。それがCです。翅内刺毛(ia)の系列とするには余りにも端にあって、翅後刺毛の生えている瘤のすぐ脇にあります。上の写真ではiaの系列として破線で結んだのですが、論文を見ていたら、intrapostalar setaと書かれているものもありました。

S. S. Nihei and C. J. B. de Carvalho, "The Muscini flies of the world (Diptera, Muscidae): identification key and
generic diagnoses", Zootaxa 1976, 1 (2009). (ここからダウンロードできます)

少し検討すべきかもと思いました。

それで、これらのデータを篠永氏の「日本のイエバエ科」のイエバエの解説に載っているデータと比較してみました。



presentと書いたのが今回のデータです。また、「+」の前後の数字は横線前と後の刺毛数を表します。大体は合っているのですが、気になる点を右欄に書きました。iaのところでは、再び、prsという名称が登場しました。一般的なイエバエ科の解説図ではiaとなっているのですが・・・。著者も混乱しているのかもしれません。また、私の気になったCという刺毛については触れられていないようです。私はそれを含めてしまったので、数字が違うのでしょう。また、asと書いた刺毛は小盾板先端刺毛なのですが、本には小盾板亜先端刺毛になっていました。この違いについてはよく分かりません。





刺毛のついでに胸部側面の各部の名称を入れてみました。



略称の意味はこの表の通りです。この略称は「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っている英名を略したので、一般的なものではないと思います。気になるのは、中副基節(mm)と中胸下後側板(mkem)が分かれているように見えることです。これが分かれているとすると、大石氏の検索表では剛毛列が下後側板にあることになっている点が気になります。



最後は腹部の節です。篠永氏の本の絵には第2背板から書かれていたので、第1背板はどうしたのだろうと気になりました。



腹板の方は第1節から書かれているので、それに対応する第1背板が見えないかと思ったのです。なお、黒矢印は気門です。



これはその部分を拡大したものです。平均棍の下に暗色に見えている部分が、腹部第1腹板ですが、それに対応する第1背板がどれだかよく分かりません。(追記2018/09/01:フトツリアブさんから、「イエバエやハナアブのような短角亜目では腹部第1背板と第2背板が融合しており,第1+2背板等と表記されます。第1腹板もグループによっては退化して膜質となります。」というコメントをいただきました。そうなのですか。第1背板と第2背板が融合しているのですね。初めて知りました。やはり、その辺にいるハエでも詳しく調べてみるものですね。いい勉強になりました。コメントをどうも有難うございました

家の中を飛んでいたハエですが、調べてみると、分からないことだらけですね。とりあえず、ここまで。
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イエバエやハナアブのような短角亜目では腹部第1背板と第2背板が融合しており,第1+2背板等と表記されます.第1腹板もグループによっては退化して膜質となります.

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フトツリアブさん、コメント有難うございました。
そうなのですか。第1背板と第2背板が融合しているのですね。初めて知りました。やはり、その辺にいるハエでも詳しく調べてみるものですね。いい勉強になりました。
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