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廊下のむし探検 雑談(微小甲虫とコバチ)

この間、名前の分からなかった虫を少し調べてみました。でも、検索するところまではいかなかったので、とりあえず雑談ということにしておきます。



これは8月20日のブログに出した甲虫です。そのときはキスイムシ科のオオナガキスイあたりかなと思ったのですが、立西さんから、チビヒラタムシの仲間のように見えると教えていただきました。その後、通りすがりさんからは、オオキバチビヒラタムシのメスとかその辺だと教えていただきました。ただ、「原色日本甲虫図鑑III」の図版を見ても写真が小さくて判断できません。何とかならないかなと思っていたら、六本脚で、平野幸彦氏の「日本産ヒラタムシ上科図説第1巻」を売っているのが分かりました。この中に、チビヒラタムシ科も載っています。ただ、64ページで3000円もするので、どうしようかと迷ってしまいました。でも、結局、思い切って買ってみました。

この図説はヒメキノコムシ科、ネスイムシ科、チビヒラタムシ科のいわゆる微小甲虫を扱ったもので、なかなか文献が見当たらない領域なので、その意味では利用価値の高いものだと思いました。写真も大きくて見やすいので図鑑としても役立つし、さらに、検索表も載っているので、同定にも役に立ちそうです。ただ、科や属の特徴を図をプラスした、もう少し突っ込んだ内容の説明があるといいなと思ったことと、検索表に是非とも図が欲しいなと思いました。

チビヒラタムシ科は従来ヒラタムシ科チビヒラタムシ亜科になっていたのですが、1980~1990年代あたりから、チビヒラタムシ科として独立して扱われるようになったそうです。



この図鑑を用いて触角の先端3節の節の形(A)と前胸背板(B)の形状、特に側縁の形状に注目しながら探してみると、通りすがりさんに教えていただいたオオキバチビヒラタムシ Nipponophloeus dorcoidesか、ヒレルチビヒラタムシ Placonotus hilleri辺りかなと思いました。そこで、属の検索表でこの2属に関係する部分を見てみました。



この2つの属は①の項目で分けられます。つまり、頭盾と前頭が横溝で分かれるかどうかです。頭盾は写真の矢印で示した部分で、横溝があるような感じがしますが、これが完全な横溝ではなく、単なる頭盾会合線だとすると①bでもよいことになります(この二つ、どう違うのかよく分かりませんが・・・)。さらにその後の項目はこの写真ではまったく分かりません。ということで、検索表を使ったアプローチはここで挫折です。ただ、オオキバチビヒラタムシの解説には、Placonotus属とは、触角第9節から第11節は球桿を作らないことと、末端節の長さが幅の2.5倍と長いので区別できるとのことでした(ヒレルは球桿ではなく、また、末端節は2倍)。この写真の個体では球桿になっていないことは確かだし、末端節の比を測ると2.34になり、2.5に近いので、今のところ、オオキバチビヒラタムシ♀の可能性が高いかなと思っています。いずれにしても、今度いたら是非とも採集したいです。



次は8月11日見つけたこの奇妙なハチです。



体長は1.9mmでとにかく変な恰好のハチです。これは、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で調べてみました。その結果、トビコバチ科になりました。翅に特徴があるので、「新訂原色昆虫大図鑑III」の図版で探してみると、同じような翅の斑紋を持つヒゲトビコバチ Encyrtus aurantiiが候補に上がりました。

トビコバチ科については次の論文に日本産の種リストが載っています。

G. Japoshvili, Y. Higashiura, and S. Kamitani, "A review of Japanese Encyrtidae (Hymenoptera), with descriptions of new species, new records and comments on the types described by Japanese authors", Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae 56, 345 (2016). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

ここには日本産トビコバチ科として150種が載っています。このうち、ヒゲトビコバチと同じEncyrtus属には4種。ただ、分布からは他の3種は近畿地方にはいないと思われ、ヒゲトビコバチだけが候補になりました。属の検索表が見つからないので、何とも言えないのですが、「新訂原色昆虫大図鑑III」のヒゲトビコバチの解説を読むと、頬には隆起線、小盾板の先端部には多数の黒色長剛毛の房を生じるとのことです。



これは顔の側面ですが、頬には複眼に沿って確かに隆起線が見られます。



さらに、小盾板には黒い剛毛の房が1対見られます。ということで、たぶん、ヒゲトビコバチで大丈夫なのではと思っています。さらに、触角の棍棒状部の形状から♂みたいです。顕微鏡写真もいろいろと撮ったので、トビコバチ科への検索を含めてまた今度載せることにします。なお、このハチはヒラタカタカイガラムシ、ツバキワタカイガラムシに寄生するそうです。(追記2018/09/04:こちらに♂と♀の写真がでていました。比べてみると、この個体は♀のようです



最後は腹部背板を写したものです。背板が曲がり、通常腹端あたりに生える尾毛が腹部側面の前半部に生えています。こんな形はトビコバチ科の特徴みたいです。
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