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虫を調べる イエバエ科イエバエ?

この間も雑記として書いたのですが、22日に家の中を飛び回る比較的小さなハエを見つけました。うるさいので捕虫網で採集した後、ついでに調べてみようと思って毒瓶に入れておきました。昨日、検索をしてみたのですが、イエバエ科のイエバエ Musca domesticaではないかと結論になりました。顕微鏡写真も撮ったので、とりあえずまとめてみました。間違っているかもしれませんけど・・・。



採集したのはこんなハエです。体長は6.8mm。やや小型のハエです。



これは背側から撮った写真です。腹部にこんな模様がありました。また、胸背には黒い帯が4本見られます。小さいけれど、意外に特徴の多いハエです。イエバエ科の検索は久しぶりなので、まず、科の検索からしてみました。検索には「新訂原色昆虫大図鑑III」のハエ目の科への検索表を用いました。



有弁翅類は確かそうなのですが、その有弁翅類のところから始めます。①~⑤の5項目を調べると、イエバエ科であることが分かります。これを写真で調べていきます。



翅下瘤と基覆弁は矢印で示した部分です。



翅下瘤はちょっと拡大しておきました。



鬚剛毛は写真に示した通りです。口器は発達しているのが分かります。②の項目は口器の退化したウマバエ科、ヒツジバエ科、ヒフバエ科を除外する項目です。



触角梗節の縫線はいつも探すのに苦労するのですが、これははっきり見えました。黄三角で示した線のことです。



翅脈の名称は「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているイエバエ科の図を参考にしてつけました。①、④、⑤はいずれもこの写真を見たら分かると思います。特に、④と⑤はイエバエ科であることを確かめるのに重要な項目です。



中脚の副基節は矢印で示した部分ですが、よく見ると2本ほど短い毛がありますが、ほとんど目立ちません。それで、③はOKとしました。これですべての項目を確かめたので、まず、イエバエ科は確かそうです。

次は亜科の検索です。亜科の検索表は次の本に載っています。

篠永哲、「日本のイエバエ科」、東海大学出版会 (2003).

この本は日本産イエバエ科が1冊の本で扱われていて、非常に貴重な本ですが、いざ検索に使おうとするといろいろと困ったことが出てきました。特に、亜科の検索はどうもうまくいきません。そんな折、次のような論文が出ていることに気が付きました。

大石久志、村山茂樹、「日本のイエバエの同定」、はなあぶ 37、100 (2014)

この論文は「日本のイエバエ科」の検索表を使うにあたって注意すべき点が出ていて大変役に立つ論文です。特に、うまくいかなかった亜科の検索表の絵解き修正版が出ていて、大変、使いやすくなりました。これを使って亜科の検索をしてみました。



実際に検索をしてみると、このような手順でMuscinae亜科になることが分かります。赤字はこれを補っておいた方がよいと思ったところです。これも写真で見ていきます。



上の③に出てきた中脚の副基節と⑥に出てくる下後側板は同じ部分を指していると思っていました。でも、「新訂原色昆虫大図鑑III」には「下後側板+中副基節」と書かれているので、厳密には違うようです。ただ、短角類の一部では中副基節は基節本体から完全に分かれて、下後側板と副基節は融合しているということなので、ここでは同じ場所を指していると考えてよいのではと思っています。

この部分には黄矢印で示したように2本の短い毛が見られます。2本くらいだと、あると言えばあるし、ないと言えばないので、⑥aと⑥bの両方の道を進むことにしました。⑥aの方に進むとすると、⑦、⑧へ進むことになるのですが、まずはそれを写真で見ていきます。



M1+2脈が曲がっていることは間違いありません。



この写真のように上後側板には少数の毛が生えています。それで、Muscinae亜科になります。一方、⑥bの方に進むとすれば、⑨→⑩→⑪と進みます。これも写真を見ていきます。



⑨は上で確かめたので、⑩を調べます。小顎肢は矢印で示した部分だと思うのですが、細長くなっています。それで、これはOKとしました。



次は平均棍近くにある後気門に関する項目です。この写真のように気門の下縁には毛が生えていますが、剛毛は生えていません。この項目は分かりにくいのですが、論文の検索表は絵解きだったので、よく分かりました。結局、こちらも先ほどと同様にMuscinae亜科になりました。今回、到達するはずの属はMusca属なのですが、⑥aを進むと「Musca属の一部」とあるので無事に到達します。ところが、⑥bを進むと、「Musca属の一部」とは書かれていないのであれっと思いました。検索表の他の場所には「Musca属の一部」というのはないので、たぶん、ここに書かれるべきものが抜けていると思い、補充しました。

属と種の検索は「日本のイエバエ科」の検索表を用いました。ただ、ついでだからと思って、各部の名称を調べ、さらに、剛毛配列も調べて、イエバエの記述と比較しようと思って始めたのですが、よく分からないところもあってなかなか進みません。それで、属と種の検索は次回に回します。
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