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虫を調べる 有翅オオアリ属(続き)

昨日、羽アリを調べてみました。



調べたのはこんなアリです。頭が大きいので、♀有翅アリは確かそうです。昨日、属の検索をしてみてオオアリ属らしいことが分かりました。今日はその続きで種の検索です。

検索には「日本産アリ類図鑑」の検索表を使っています。ただ、ここに載せられているのは基本的には働きアリ用なのですが、ところどころで女王アリにも使えるような表現が使われているので紛らわしい感じです。当初、イトウオオアリかなと思ったのですが、外観を「日本産アリ類全種図鑑」で見ているとどうも違うのではないかと思うようになりました。むしろ、クサオオアリに似ている感じです。検索表は働きアリ用なので、ほとんど当てにならないのですが、とりあえず写真で調べていきたいと思います。



検索表のうち、関連する部分を抜き出したものがこの表です。赤字の部分が働きアリか、兵アリに関するもので、今回は使えない部分です。ただし、Ⓐは頭部が四角形のヒラズオオアリ類を除外する項目なので、特に調べなくても大丈夫だと思われます。また、Ⓓは大型のクロオオアリやミカドオオアリなどを除外する項目なので、やはり大丈夫ではないかと思います。それで、その他の項目を調べていきたいと思います。



まず、ⒷとⒸを確かめます。Ⓑは色に関するものなので、これはまず大丈夫でしょう。次のⒸは前伸腹節についてです。背面と後面は特に角をなしてはいないのですが、まあ、鈍角というのもうなずけます。



Ⓒは前・中胸部背面の立毛に関するものですが、有翅アリは中胸が大きく発達しているので、働きアリとはかなり形状が異なります。それで、あまり比較ができないのですが、立毛はどうみても数本以下は確かです。



次は問題のⒺです。この項目は働きアリに関するものなので、♀有翅アリに適用できるかどうかは不明なのですが、こういう構造的なものは♀有翅アリでも変化しないだろうと思われます。初め、頭盾の前縁中央部は直線的だと思って最終的にはイトウオオアリになったのですが、よく見ると、中央部が少し凹んでいます(黄矢印)。それで、今回はⒺbの方を選択することにしました。



Ⓗbの胸部背面の立毛についてはすでに見ました。実は3本ほどは見られました。これを「ある」とすべきか、「ない」とすべきか分からなかったのですが、ここでは「ない」という方にしました(実は「ある」を選ぶと、ヨツボシオオアリになってしまう)。腹柄節については次の写真を見てください。後半の腹部の斑紋についてはヨツボシオオアリを除外する項目です。



これは腹柄節のあたりを拡大したものですが、腹柄節に目立った立毛はありません。



最後は前脚腿節に関するものです。矢印で示したように、中脚腿節と比較すると確かに幅広いことが分かります。実は、これがクサオオアリかもと思った一つの根拠です。後胸溝は矢印で示した部分を指していると思われますが、翅が生えているので何とも言えません。ということで、かなり怪しいのですが、クサオオアリが今のところ第1候補になっています。「日本産アリ類全種図鑑」によると、分布に奈良、大阪、兵庫が含まれているので、可能性はあるかもしれません。有翅アリについてはまだ勉強を始めたばかりなので、間違っていたらすみません。

ついでに撮影した写真も出しておきます。





頭部と胸部を背側から撮った写真です。結構、綺麗なアリですね。



最後は前翅翅脈です。いつものように翅脈の名称は次の論文を参考にしました。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

この論文では有翅アリの翅脈をいくつかのタイプに分類しているのですが(詳細はこちら)、このアリの場合はIIIdタイプということになります。ポイントは黄矢印1に翅室があること、黄矢印2がほぼ1点で交わっているところです。ヤマアリ亜科はIIIdとIVeという2つのタイプになるのですが、ほかの亜科にも同じタイプのものがあるので、これだけからではどの亜科かは分かりません。
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