虫を調べる 有翅オオアリ属
この間から、有翅アリを調べようと思って頑張っているのですが、なかなか進みません。♂有翅アリは「日本産アリ類画像データベース」に絵解き検索表が載っていて、属まではいけるのですが、♀有翅アリについては働きアリの検索表がそのまま使えるのかどうかはっきりしなくて、いつも曖昧のまま検索をしています。(追記2018/07/29:種の検索をしていて、イトウオオアリに疑問が出てきました。それで、とりあえずタイトルをオオアリ属に変えておきます)
今回は♀有翅アリです。25日に採集しました。検索でいくつか怪しいところもあるのですが、とりあえず、イトウオオアリがその候補に挙がっています。(追記2018/07/29:種の検索をしていて、イトウオオアリに疑問が出てきました。それで、とりあえずこの文章を消しておきます)
検索には「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014)に載っている検索表を用いました。まずは属の検索です。
検索は①から⑥までは順調に進むのですが、⑦でストップしてしまいます。というのは、この検索表は基本的に働きアリ用で、♀有翅アリでは翅が生えているため、この項目が使えなくなるからです。。それで、⑦aのオオアリ属と⑦bの両方に進まないといけなくなるのですが、⑦bの方に進んで、⑧a→⑨と進むと、⑩で選ぶものがなくなり、一方、⑧bも違うので、結局、⑦aを選んでオオアリ属かなということになりました。それを写真で見ていきたいと思います。なお、赤字は選択に困る項目、青字はこの個体の特徴と異なるところを示しています。
まずは横から撮った全体像です。体長は8.9mmでした。この写真では②の腹部の節がくびれていないことを見ます。
次は頭部です。①と⑤は共にこの写真で分かると思います。
次は触角です。全部で12節でした。
①、②、④は腹柄節に関するもので、いずれもOKだと思います。この写真では中胸気門も写っています。働きアリと異なり、翅があり、さらに中胸が大きく発達した♀有翅アリではその位置もかなり違うのではないかと想像できます。
これは腹部を腹側から写したものですが、背板と腹板が見えています。それで②はOKです。これで⑦の項目を除いた①から⑥までを確かめたことになるのですが、⑦については今のところ消去法に頼るしかありません。
それで、⑦bに進んだとして、⑧を調べてみます。
これは前伸腹節気門を撮ったものです。とりあえず円形ではないので、⑧bではなく、⑧aの方が可能性があります。
⑨はOKですが、次の⑩では、この写真で示すように、軟毛(たぶん、小さな毛のことを指すと思うのですが・・・)はそれほど密に生えていません。検索表ではもう一方の選択肢は、「軟毛間の距離は軟毛の長さと等しいかそれ以上」ですが、ただ、高山帯に生息する種なので、ここで行き詰ってしまいます。それで、オオアリ属の可能性だけが残りました。オオアリ属だとして種についての検索は次回に回します。
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