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家の近くのむし探検 チョウやトンボの眼の撮影

家の近くのむし探検 第411弾

来週、市役所で自然展が開かれます。それにパネルを出そうと思っています。主題は虫の眼にして、モンシロチョウやシオカラトンボの眼も出そうと思って、14日の日中に河原に採集に行きました。この日も最高気温は36度くらいにまで上がりました。それで、最初、さっさとチョウとトンボの採集をして、その後は日陰で虫探しをしました。それでも1時間半ほど外に出ていたら、暑さでふらふらになってきたので、慌てて家に戻りました。



これは家に戻ってから写したモンシロチョウの複眼です。中心にぼんやりとした黒い点があり、その周りにぼんやりとした斑紋がいくつかあります。このような紋を偽瞳孔(pseudopupil)と呼んでいます。中心の黒い部分は個眼の中にある視物質や色素により入ってきた光が吸収されて黒くなるのだと説明されるのですが、問題は黒い紋が表面になくてやや内部にあるような感じを与える点です。この現象はdeep pseudopupilと呼ばれているようです。何度か本を読んでようやく少し原因が分かってきたのですが、その周りに散在する暗い紋についてはまだ分かりません。



こちらはシオカラトンボの眼です。これにも暗い紋が散在するのですが、フラッシュで光ってしまい中心の黒い紋ははっきり見えません。周辺の複雑な模様の原因が気になりますが、展示では、複眼の上の部分と真ん中から下の部分で個眼の大きさが違うことを書こうと思っています。



個眼を線で結んでみました。途中で分岐する点が何か所かあります。列で数えてみると、上は8列、下は11列。確かに下の方が個眼が小さくなっているようです。この間、トンボの複眼の上と下とで検出される色が違うと書いたのですが、やはり上と下では個眼のサイズも違っていました。まさに、ミズアブと同じですね。

さて、この日はモンシロチョウとシオカラトンボを採集してから、いつもの道路わきの茂みで虫探しをしました。



これはクサギカメムシの幼虫です。「図説カメムシの卵と幼虫」(養賢堂、2004)に出ている絵と比較すると、4齢幼虫の様です。



イタドリの葉にカシルリオトシブミがいるので写したら、近くに別の虫もいました。



まず、カシルリオトシブミの方の拡大です。



こちらは成虫の写真と比べてみると、顔の部分が何となくウスグモスズに似ている感じです。その幼虫でしょうか。





これはいつも見ているセグロカブラハバチかなと思っていたのですが、一応、検索しておこうと思って、「大阪府のハバチ・キバチ類」に載っている検索表を見てみました。ところが、最初の「小盾板は黒色」というところで引っかかってしまいました。セグロカブラハバチの小盾板は黒色ですが、この写真の個体は橙色です。おかしいなと思って写真をよく見てみると、触角が3節です。これはミフシハバチ科。それで、ミフシハバチ科の検索表を調べてみると、アカスジチュウレンジになりました。これかな。





これは先日検索したトウキョウキンバエだと思われます。昨年は検索しようと思って、採集に行ってもなかなか見つからなかったのですが、今年は数が多いです。



これはヤブクロシマバエではないかと疑っているハエです。この日も2匹見たので、そのうち、1匹を採集してきました。顕微鏡写真も撮ったのですが、老人大学の準備やら、市役所での展示の準備やらでそのままになっています。



最後はシギアブ科だと思うのですが、これから先、どうやって調べていったらよいか分かりません。一応、採集しました。

追記2018/07/24:フトツリアブさんから、「シギアブ科と推測していますが,ナガレアブ科にも似たような斑紋の仲間が多いです.」というコメントをいただきました。そんな可能性もあるのですか。検索表によれば、下小盾板の発達の有無で分かりそうですが、シギバブ科は頭盾に特徴があるみたいなので、顔を見ると分かるかもしれません。早速、見てみます。ということで、調べてみると、

1)下小盾板は目立ったほどは飛び出していない
2)R1とR2+3はほぼ一点で交わる
3)頭盾は著しくは膨れていない

ということで、1)が引っかかるのですが、それ以外はナガレアブ科を示唆しているみたいです。さらに、詳しく調べてみると、下小盾板もはっきり見えました。それで、「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表を使って、初めから検索してみたのですが、やはり、仰ると通り、ナガレアブ科になりました。さらに、Nagatomiにより属の検索もしてみました。その結果、Asuraginaになりました。

A. Nagatomi and B. R. Stickenberg, "Insecta: Diptera, Athericidae", in "Freshwater Invertebrates of the Malaysian Region", (2004). (ここからダウンロードできます)

翅の模様といい、額に黒い模様もあるので、たぶん、クロモンナガレアブ Aruragina caerulescensではないかと思っています。どうも有難うございました



まだ、いろいろといたのですが、次回に回します。道路わきにオニユリが咲いていました。

雑談)市役所の展示の準備がやっと終わりました。タイトルは「虫の眼の不思議」です。これをどのように展示しようかなと迷ったのですが、結局、パワーポイントで作った原案をポスター印刷でA3の4枚に印刷して、セロテープで裏面をくっつけた後で、展示用のコルクボードに大きめのホッチキスの針で打ち付けて止めました。こんなパネルが3枚です。例年はジグソーパネルを入れる大型のパネルに印刷した紙を貼り付けて出していたので、今年はちょっと小さ目のパネルになりました。家族はちょっとグロテスクだから小さい方がいいんじゃないと言っていますが・・・。ともかく、これで、7月の主な行事であった原稿の執筆と老人大学での話、市役所の展示のすべての準備が終わりました。とりあえずほっとしました。
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No title

素晴らしい展示になりそうですね。近くなら見に行きたいです。
私も昆虫の複眼は好きです。トンボは特に綺麗だと思います。
イトトンボなんかも綺麗で見入ってしまいます。
複眼の一つ一つは6角形なのにどうして球面状になるのか不思議でした。列が分岐するとは・・納得です。

No title

信州の案山子さん、こんばんは

眼ばかりを出したので、かなりグロテスクな展示になってしまいました。それで、最初のパネルは成虫の写真を出すことにしたのですが、それでも何となく眼がいっぱいで気持ち悪いという人がいるかもと心配しています。そうですね。イトトンボは綺麗な眼ですね。それも出せばよかった~。複眼も調べてみると、その仕組みはなかなか複雑みたいです。

No title

シギアブ科と推測していますが,ナガレアブ科にも似たような斑紋の仲間が多いです.

No title

そんな可能性もあるのですか。検索表によれば、下小盾板の発達の有無で分かりそうですが、シギバブ科は頭盾に特徴があるみたいなので、顔を見ると分かるかもしれません。早速、見てみます。どうも有難うございました。ここから先はMNDしかないですかね。

No title

今から外出するので、あまり、詳しくは見れなかったのですが、

1)下小盾板は目立ったほどは飛び出していない
2)R1とR2+3はほぼ一点で交わる
3)頭盾は著しくは膨れていない

ということで、1)が引っかかるのですが、それ以外はナガレアブ科を示唆しているみたいです。帰ってからもう一度見てみます。ご教示、どうも有難うございました。

No title

下小盾板ははっきり見えました。初めから検索してみたのですが、やはり、仰ると通り、ナガレアブ科になりました。さらに、Nagatomiにより属の検索もしてみました。その結果、Asuraginaになりました。翅の模様といい、額に黒い模様もあるので、たぶん、クロモンナガレアブ Aruragina caerulescensではないかと思っています。どうも有難うございました。
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