家の近くのむし探検 ハエ、ハチなど
家の近くのむし探検 第410弾
7月11日に家の近くにある道路わきの茂みで探した虫の続きです。
これは前にも見たことがありました。ミスジガガンボというヒメガガンボ科でした。ガガンボで名前の分かるのはほとんどないので、貴重な存在です。
奥まったところに止まっていたので、「影とり」を外して直接フラッシュをたいて撮りました。かなり大きなハチだったのでヒメバチ以外も検討したのですが、該当する種がいないので、やはりヒメバチかなと思っています。
アリが何かの幼虫みたいなものを捕まえていました。アリも分からないし、幼虫も何だか分かりません。
フキバッタです。それも幸い、オスのようです。それで腹部末端を拡大してみました。
尾肢が強く曲がっています。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」の絵と比較すると、まず間違いなく、オマガリフキバッタ Parapodisma tanbaensisのようです。
いつも見ているヒメシロモンドクガの幼虫です。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のヒメシロモンドクガのページを見ると、バラ科、クワ科、ブナ科、ヤナギ科、ハンノキ科、マメ科、アサ科、アオイ科。かなりの雑食性です。
(追記2018/07/24:通りすがりさんから、「ヒメシロモンドクガの幼虫はツツジ科も好きですし、サクラソウ科も食草とします。まだまだいろいろ食べてそうですね。」というコメントをいただきました。そうでしたね。公園では確かにツツジについていました。以前、アブラムシの勉強をしたときに植物の偏ったアミノ酸から動物に必要なアミノ酸を作り出すのに、腸内細菌が一度アミノ酸を分解して、再び合成しているというような話を読みました。都合のよい腸内細菌を持っているかどうかで食草が決まるということだった気がします。チョウや蛾の幼虫もたぶんそうじゃないかなと思っていたのですが、雑食性というのはどういうのでしょうね。いろいろな種類の腸内細菌をもっているということか、特別な仕組みを持っているということかと書いたら、さらに、「食草は腸内細菌か消化酵素を持っている物しか消化できないだろうから、その辺の事情で決まりそうですよね。確かハスオビヨトウだかヨトウガは、どんどん排泄していくことで、分子の大きな毒は消化しないで排泄していくと言う荒業的な対応で克服していた記憶が。」というコメントもいただきました。雑食性というはなんでもかんでも食べて消化できるものだけ消化するという訳ですか。何だかすごいですね)
前翅横脈上の黒環があります。いずれにしても分からないマダラエダシャク類の一種です。
こちらはヨツスジトラカミキリ。
こちらはコスカシバみたいです。これは「廊下のむし探検」初登場かもしれません。翅が青く光って綺麗でした。
これはワキグロサツマノミダマシかな。
最後は「日本産カミキリムシ」で検索をしてみました。たぶん、ナガゴマフカミキリでよいのでは。これで7月11日分は終わりです。この頃はまだ涼しくてよかったですね。今はまるで地獄です。
雑談)今日は市役所に展示するパネルの原案を作りました。「虫の眼の不思議」というタイトルにして、いろいろな虫の眼の拡大とちょっとした説明を載せたのですが、かなりグロテスクなパネルになってしまいました。このまま出してよいのかなぁ。ちょっと迷っています。
その準備で動物の眼について書かれた本を拾い読みしました。
M. F. Land and D.-E. Nilsson, "Animal Eyes", 2nd ed., Oxford Univ. Press (2012).
この本は以前衝動買いをして、そのままにしていました。読んでみると、なかなか面白い内容です。特にクモの眼について書かれたところは面白かったです。
ハエトリグモは全部で8個の眼があるのですが、そのうち、前の2つは大型です。大型といってもクモの眼は比較的に小さいので、その分、レンズを厚くすることができて、広い角度から光を取り込むことができます。カメラレンズで言えば、F2に相当し、かなりの広角レンズになります。ただし、受光部がかなり狭いので、狭い範囲しか見ることができません。この部分での視力を計算してみると、0.4くらいには達するみたいです。昆虫でもっとも視力の高いトンボの視力が0.06くらいなので、それよりもだいぶ良いみたいです。ただし、クモはヒトのようにレンズの厚さを変えたり、眼を動かしたりすることができません。その代わり、網膜に6個の筋肉がついていて、受光部の位置を動かすことで、見る方向や距離を変えているようです。また、ヒトの眼では網膜上にR、G、Bの3種の視物質が並列に並んでいるので、一か所ではR、G、Bのどれかしか検出できないのですが、ハエトリグモでは4種の視物質が層になって重なっているので、一か所で4色を同時に見ることができ、色の検出能力や空間分解能も高いと思われます。これに対して、残る6個の眼については分解能は低いのですが、さらに広い角度を見ることができ、もっぱら動きを検出しているとのことです。
この本には複眼を見たときに見える黒い点とか模様についても書かれていました。これは偽瞳孔(pseudopupil)と呼ばれているようです。基本的には個眼の中に入った光が内部にある視物質や色素によって吸収されて光が出てこないので、黒くなるということなのですが、暗い模様が広がったり、まだらになったりする場合はかなり複雑です。どうやら個眼が光の導波路(光ファイバーみたいなもの)になっていて、漏れた高次のモード(光ファイバーを横から見ても光が少し見えること)と色素の空間分布がそのようなパターンを作るという話のようです。かなり本腰を入れて読まないといけないみたいです。
スポンサーサイト