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廊下のむし探検 雑談

雑談1)毎年、7月になると老人大学で1回だけの話をすることになっています。もう10数年くらいは続いているのではないかと思います。初めのころはいろいろな話をしたのですが、最近は虫に夢中になっているのでもっぱら虫の話をしています。それに備えて、ここ数年、今頃になると「廊下のむし探検」で見た虫の集計を行っています。今年もやってみました。これまで「廊下のむし探検」に出してきた写真のデータがEXCELに入れてあるので、集計は比較的簡単です。



最初は分類別にこれまで分かった動物の種数を書いています。今年は田んぼの虫を調べたので、鰓脚綱なんていう変な綱が増えました。ホウネンエビです。カメムシ目が二つに分かれているのは、「原色日本カメムシ図鑑」で扱っているトコジラミ下目とカメムシ下目が「陸生カメムシ類」、その他の下目が「その他」になっています。2年前にマンションの改修工事があって、「廊下のむし探検」ができなくなってから、マンション外でも観察を始めたので、鳥綱とかチョウ、トンボの数がだいぶ増えました。




昆虫綱合計は最新の種数の和
%は最新の種数との比をとったもの
1) 日本産生物種数調査(2002) 
2) List-MJ 日本産蛾類総目録 version 2 βバージョン 2016.07.18
5) 日本産クモ類(2009)
6) 日本昆虫目録 第8巻 双翅目(2014)
7) 日本昆虫目録 第7巻 鱗翅目(第1号 セセリチョウ上科 - アゲハチョウ上科)(2013)
8) バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑(2006)
9) 日本のトンボ(2012)
10) 新訂原色昆虫大図鑑III(2008)
11)石綿進一、竹門康弘、陸水学雑誌 66, 11 (2005)
12) 竹松葉子、家屋害虫 28, 29 (2006)
13) 町田龍一郎、増本三香、家屋害虫 27, 73 (2006)
14) "Earwigs of Japan"
15) 日本列島の甲虫全種目録(2018)
16) 日本産昆虫目録 第4巻 (2016)
17) 日本産昆虫目録 第5巻 (2016)

この表は観察した種数を日本産の種数と比較したものです。一番右の欄の「日本産」はできるだけ最新のデータを載せようと思って文献を探したものです。その一番下の昆虫綱合計はそれらの数字を足し合わせ、データのないものは「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているデータを足し合わせたものです。だから、かなりいい加減です。薄い黄緑色になっている欄が今までに観察した種数と、できるだけ最新の種数との比を取ったものです。

蛾は以前収集していたので見たら名前がだいたい分かるし、種数も多いので、統計的には一番信頼できるデータだと思います。後でお見せしますが、「廊下のむし探検」初登場の蛾の種数はこの1、2年でほぼ頭打ちになっているので、ここに出ている14%くらいがほぼ限界値に近いのではないかと思います。そういう目で全体を眺めてみると、カメムシの異翅類、バッタ、カゲロウ、チャタテムシなどは結構いい線を行っている感じです。これに対して、ハエ、ハチ、カメムシのうち同翅類、甲虫などの大票田が2-4%というのはまだまだこれからだなぁという感じを与えます。また、アザミウマとか、トビムシなどはまったく手の出せていないこともよく分かります。



これは蛾の月別の初登場数と累計種数を表したグラフです。EXCELにデータを入れておくと、こんなグラフもそれほど苦労せずに作れます。まず、データをブログの日付でソートします。それで、観察を始めた最初からある月の終わりまでで種数を調べます。種名には重複がいっぱいあるのですが、重複を除いて種数を調べる方法は以前書きました。ネットで見つけただけなのですが・・・。とにかく、こうやって毎月終わりまでの累計種数を調べて、前の月との差を取れば棒グラフができますし、そのまま折れ線グラフにすると累計種数の変化になります。2016年前半にマンションの改修工事があり、「廊下のむし探検」ができなくなり、それ以後は公園や道路わきの茂みで探すことが多くなったのですが、それほど違和感なくつながっています。でも、最近は増え方が少なくなってそろそろ限界に近付いているかなという感じです。なお、棒グラフのところに書いた数字は棒グラフの一番高いものの値です。



ついでに甲虫もやってみました。こちらはブログを始めた頃には名前がほとんど分からない状態だったのですが、その後、皆様のおかげで少しずつ知識も増えてきて、今まで分からなかった種も次第に分かるようになってきました。グラフを見ると、最初の年の増え方が蛾に比べるとかなり少なく、その後も少しずつ増えている様子が分かります。全体として見ると、最近になっても累計種数がほぼ直線的に増加しているので、まだまだ伸びしろが大きいことが分かります。蛾と同じ14%になるには1820種まで行かなくてはならないので、当然でしょうけど。

雑談2)この老人大学と一緒の頃に市役所ロビーで自然展が開かれます。これに協力して毎年パネルや標本などを展示しているのですが、今年もその季節がやってきました。蛾を出したり、カメムシを出したり、昨年は「すすきの葉はなぜ切れる」などの植物を出したのですが、いよいよネタ切れになってしまいました。それで、今年は虫の眼について出そうかなと思っていて、コカゲロウのターバン眼、クロバネキノコバエの眼橋、ハエトリグモの眼、トビムシの小眼、ツマグロキンバエの縞模様のある眼、この間撮った上下で異なるミズアブの眼などの写真を集めました。後、通りすがりさんから教わったモンシロチョウ、ヤマトシジミ、アミメカゲロウなどと、トンボの眼を写そうと思って、今日は網を持って採集に行こうと思っています。眼の写真と全体の写真、それに簡単な説明を入れたパネルにしようと思っていますが、期限はあと1週間。間に合うかな。

雑談3)この間、ちょっと変わったハエを見つけました。



よく見かけるハエなのですが、6月9日に用水路脇の茂みで見つけたものです。ネットで検索するとヤブクロシマバエ Minettia longipennisというのによく似ている感じです。実際にそうなのか、まずは属の検索をしてみようと思って意外な苦戦を強いられています。シマバエ科の属の検索には、いつも株式会社エコリスのホームページにある「日本のシマバエ科 属への検索試案」を使わせていただいているのですが、これ、意外に難しいです。例によって絵が載っていないのは仕方がないとして、MND以外には文献が手に入らないので、まさに検索項目を文章だけで理解していかなくてはなりません。昨日は「中胸側板の過剰剛毛」という言葉に引っかかってしまいました。これはMelinomyiaに関係する項目で出てきたのですが、過剰とはなんぞや。それで、Melinomyiaについて書かれている文献を探しました。笹川氏の論文が見つかり、中胸側板の前腹側に剛毛が一本あり、通常後縁部にある剛毛の3/4の長さを持つとのことです。その剛毛の有無を尋ねているみたいです。これでやっとその意味が分かりました。次は中胸背板の剛毛の名称です。普通、剛毛が列をなして並んでいるので、比較的容易に名付けられるのですが、このハエはぽつっぽつっと1本だけ生えている剛毛が多いので、どれに帰属してよいのやら分かりません。Minettiaの剛毛についてある論文を探しているところです。ハエ1匹に何日かかっていることか。
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