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虫を調べる ミズアブ科Sarginae亜科

タイトルは「虫を調べる ミズアブ科Sarginae亜科」となっていますが、実は、先日検索をしたCephalochrysa属♂Microchrysa属♀の検索をもう一度ほかの文献に載っている検索表で試みてみたという内容です。この文献はフトツリアブさんから教えていただいたもので、本の中の一節です。

R. Rozkosny, "2.24 Family Stratiomyidae", in "Contributions to a manual of palaeartic diptera" Vol. 2, eds. L. Papp and B. Darvas, Science Herald, Budapest (1997). 

前回まではNagatomi氏の次の論文を用いていました。

A. Nagatomi, "The Sarginae and Pachygasterinae of Japan (Diptera: Stratiomyidae)", Transactions of the Royal Entomological Society 126, 305 (1974). (ここからダウンロードできます)

この論文はSarginaeとPachygasterinae亜科に関するものだけだったので、亜科の検索表が載っていませんでした。今回は亜科の検索から試してみたいと思います。写真はすべて先日のものを用いました。実は、昨日出そうと思って準備していたのですが、若干、引っかかるところが出てきたので、今日まで持ち越しました。例によって私の拙い語学力で訳しているので間違っているところもあるかもしれませんが、悪しからず。



Cephalochrysa属Microchrysa属に関係する部分だけを抜き出したものです。若干、翅脈の名称などが前回までとは違うので、翅脈が出てきたときに説明します。



まず、Cephalochrysa stenogaster♂ではないかと思っている個体です。この場合は上に書いてあるように①→②→③→④aという手順で検索を進めていきます。前回までの写真を使ってそれらを見ていきたいと思います。



まずは翅脈です。翅脈や翅室に括弧書きしてあるものが今回の名称で、括弧のないものは前回と共通の名称です。また、dmは中室のことです。①はM4(CuA1)がこの写真の矢印で示したように脈でつながるか、それとも中室に直接につながるかという点ですが、この写真の場合は脈でつながっているので①はOKです。③はR4脈がR5脈から十分な角度をなして離れているかということだと思います。また、この本の翅脈の名前の付け方ではM脈は全部で3本です。これで、③もOKです。



次の②は小盾板の後縁に突起ないし隆起が見られないかという項目ですが、これに対抗する項目では2つの明瞭な突起か先の尖った隆起があるということなので、そんなものは見られません。それで、②もOKです。この①から③までを調べることでSarginae亜科であることが分かりました。



次は触角鞭節がいくつに分かれるかということで、番号を振ったように3小節に分かれ、先端に触角刺毛が出ています。これで、Cephalochrysa属であることが分かり、日本産はstenogaster一種なので、これで決まりです。

次はMicrochrysa属の方を調べてみます。



こちらは①→②→③→④b→⑤aという具合に検索は進んでいきます。これも先日の写真で確認していきたいと思います。実は、若干問題がありました。



①と③は先ほどと同じで、共にOKです。問題は⑤です。肛室はcua(cup)と書いた翅脈で囲まれた翅室のことです。肛室の幅と長さの比を測るのに、Aと書いたように一番長い距離と一番幅の広い距離の比を取ると3.52倍になりました。検索表の表現では長さが幅の約2倍だったらMicrochrysa、2倍以上ならそのほかの属になります。それで、⑤b→⑥→⑦a, bに進んでみたのですが、⑦でそれ以上進めなくなってしまいます。上のRozkosny氏には翅脈の絵が載っており、Nagatomi氏の論文には写真があるので、同じ方法で測ってみました。



ついでに検索表の⑦で出てくる属についても調べてみました。Aと書いた欄が長さと幅の比です。実は、Rozkosny氏の論文の絵もNagatomi氏の写真でも共に2倍をはるかに越えてしまいます。それでも、その他のPtecticusやSargus、Chrysochromaが5倍前後なので、それと比べるとMicrochrysaはかなり小さな値だと言えます。ついでに、最初に調べたCephalochrysaについても最下欄に載せておきました。これと比べてもやや小さいことが分かります。

2倍というのはいったいどこを測ったのだろうと思って翅脈をつらつら眺めていたのですが、長さとしてbm室とcua(cup)室の境にある脈の長さを測って比を取ってみました(上の写真でBと書いてあるところ)。そうして求めた結果がこの表のBの欄の値です。そうすると、Microchrysa属はすべて2倍以下になり、その他の属では2倍以上になるので、2倍という基準で区別することができます。実際にはどの値を測るのかは知りませんが、とりあえず、このように測るとMicrochrysa属だけを分離できそうです。ということで、cua(cup)室が論文の絵や写真に比べるとこの個体は若干狭いのですが、たぶん、Microchrysaでよいのではと思いました。



小盾板後縁の突起はありません。



最後は触角鞭節の小節の数です。Nagatomi氏の論文では3節と数えていたのですが、今回のは先端の黒い毛のある部分も数えて4節としているようです。また、触角刺毛は先端ではなく、そこから少しずれた位置から出ています。これが亜末端という意味かと思われます。ということで、この個体はMicrochrysa属だろうということになりました。確かに、フトツリアブさんの言われるようにこちらの方が簡単な感じがします。

ところで、ちょっと気になることが出てきました。Nagatomi氏の論文ではMicrochrysa flaviventris♂の鞭小節は数が少なく、これがjaponicaとの区別点になっていました。そのことはRozkosny氏の論文の検索表には触れられていません。



それで、赤字で書いた④bに注釈をつけておいた方がよいかもと思いました。下に書いたように、( )内に但し書きで入れておいたらよいかなと思ったのですが、どうでしょう。検索も複数の検索表で試すといろいろと勉強になっていいですね。検索結果にも確信が持てるようになるし・・・。

雑)今日は朝から晴れで、昨日までの雨がうそのようです。3日間ほど強い雨が降ったり、弱まったりが続いていました。その間、危ないので外出を控えておりました。何度も何度もびっくりするような音でスマホの緊急速報が鳴っていましたが、ようやくそれも終わりました。と思ったら、突然、緊急速報がけたたましく鳴りだしました。土砂災害警報が解除になり、一部地域の避難指示が避難勧告になったそうです。解除するのにあんなに大きな音は要らないのですけどねぇ。
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