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虫を調べる アメイロアリ

最近、「図鑑もどき」を作ったり、小学校の校外学習の準備などで、顕微鏡を覗いて虫を調べることから遠ざかっていました。でも、これまで撮影した記録も何匹分か残っているので、そろそろまとめようと思って虫調べを始めました。まずは記憶の新しい分からで、6月1日に校外学習の下見に行ったときに見つけた小さなアリを調べてみました。



こんなアリです。体長は2mmほどだったのですが、きちんと測ってみました。



体が折れ曲がているので、どうやって測ればよいかと迷ったのですが、図の黄色の線に沿って測ってみると、体長は1.8mmになりました。頭部と腹部が黒っぽく、後は赤っぽい色をした二色性のアリです。

いつものように、「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014)に載っている検索表で調べてみました。その結果、ヤマアリ亜科アメイロアリ属アメイロアリになったので、その過程を見ていきたいと思います。



まずは亜科の検索です。この3項目を調べればヤマアリ亜科になります。赤字は写真を撮ったと思ったのですが、うまく写っていなくて保留の項目です。特に腹部第1節の背板と腹板が融合していないことが写真ではよく分かりませんでした。後でもう一度確かめてみます。いつものように検索順ではなく、部位別に見ていきます。



これは頭部の拡大ですが、図で示した頭盾の前縁側方には特に突起と言えるものは見られません。



次は胸部を側面から撮ったものです。腹柄節は矢印で示した部分ですが、1節だけで小さく幅狭いというのも何となく分かります。



次は腹部の写真です。アリはハチの仲間なので、腹部第1節と後胸が結合して前伸腹節を作り、また、腹部の一部である腹柄節があるので、節の数え方が複雑です。ここに書かれた数字は見かけの腹部の節(後体節)を表しています。第1節と第2節の間にくびれはありません。



これは後体節を腹側から写したものです。腹部末端に噴火口みたいなものが見えます。これがヤマアリ亜科の特徴です。ということで、若干調べていない項目はあるのですが、ヤマアリ亜科は確かそうです。



次は属の検索です。この8項目を調べることでアメイロアリ属であることが確かめられます。これも部位別に見ていきます。



まずは大腮の部分を拡大してみました。大腮は三角形状で、歯が6本あります。これで、⑤と⑪はOKです。



⑩は複眼の位置ですが、測ってみるとちょうど中央にありました。また、⑪の立毛は触角柄節について示しています。矢印の部分に立毛が見られますが、コントラストが弱くでよく分かりません。これは後でもっと鮮明な画像をお見せします。とりあえず、⑩も⑪もOKとします。



触角は12節。これはOKです。



④はたぶん、OKだと思います。⑧は矢印で示した部分ですが、何となく円形というのも分かります。ここが長い楕円形だとヤマアリ属になります。⑨はヒゲナガアメイロアリ属を除外する項目で、このアリでは前胸は普通の長さなのでこれもOKです。


⑦の中胸気門は背面側に寄っています。これが側面にあるとオオアリ属になります。⑩と⑪は立毛に関するものです。このアリでは前胸と中胸背板にそれぞれ2対ずつ長い立毛があります。でも、前伸腹節背面にはありません。この辺りの特徴がアメイロアリ属の特徴かなと思われます。これですべての項目を調べたので、無事にアメイロアリ属になりました。



最後は種の検索です。この5項目を調べればアメイロアリになります。これも部位別に見ていきます。



まずは外見上の色についてですが、⑭も⑯も項目に書いてある通りだと思われます。



次は何となくすっきりしなかったところです。まず、⑫の前半は触角柄節の長さですが、頭部後縁を越えていますが、柄節の長さの1/2以上が越えているということはないので、これはOKです。次は複眼の大きさです。直径をどちら向きに測るかはよく分かりませんが、上の写真のように測りました。複眼後縁から頭部最後縁までの距離を直線的に測ると1.93倍、面に沿って測ると2.08倍。いずれも項目の約3倍には達しません。ただ、対抗する項目が1~1.5倍なので、たぶん、大丈夫かなと思いました。ひょっとしたら、面に沿って首の付け根まで測るのかもしれないなと今書いていて思いました。

追記2018/06/12:通りすがりさんから、「検索表の表現を見ると、触角柄節の長さの表現の時の「頭部後縁」と、複眼の直径との比の時の「頭部最後縁」と言う違いがあるので、後から感じた「面に沿って首の付け根まで」が正解でしょうね。言葉による表現だけだと、どうしても分かりにくいところもあるんで、図があると良いんですけど、全てに図を入れるのは膨大な量になりすぎて無理ですよね。」というコメントをいただきました。それで、ちょっと測ってみました。



図のように複眼の後縁から「頭部後縁」まで面に沿って測ると複眼直径の2.08倍、首の付け根までを「頭部最後縁」だとして面に沿って測ると3.19倍になりました。確かに後者は約3倍という表記と合っています。やはり、「頭部最後縁」というのは首の付け根の部分までのことだったのかもしれません



⑭は頭部の丸いヤエヤマアメイロアリを除外する項目です。矢印部分あたりを見ればよいのですが、本に書かれている絵と比較しても、これは丸みの弱い方みたいです。



触角柄節の立毛がうまく写らないので、透過照明に少し横からの照明も加えて撮りました。こうすると立毛はよく見えました。確かに柄節の直径よりは短いようです。これで⑮はOKです。伏毛というのは矢印で示した毛だと思うのですが、多いか少ないかは相対的なので、この写真だけでは判断できません。この⑯はクロアメイロアリと言って体全体が黒褐色のアリを除外する項目なので、たぶん、大丈夫でしょう。



最後が先ほども書いた前胸、中胸背面の立毛で、それぞれ2対ずつあります。これですべての項目をチェックしたので、項目の内容を誤解していなければ、たぶん、アメイロアリで合っているのではと思っています。

図鑑によると、アメイロアリは体長2~2.5mm。日本全土に分布して、本州平野部の林床部での最普通種の1つだそうです。
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No title

検索表の表現を見ると、触角柄節の長さの表現の時の「頭部後縁」と、複眼の直径との比の時の「頭部最後縁」と言う違いがあるので、後から感じた「面に沿って首の付け根まで」が正解でしょうね。
言葉による表現だけだと、どうしても分かりにくいところもあるんで、図があると良いんですけど、全てに図を入れるのは膨大な量になりすぎて無理ですよね。

No title

「頭部最後縁」はそういう意味ですか。そうなると十分に3倍はありそうです。

私は検索表に図は必須のように思います。大きいだとか長いだとか四角いだとか、相対的な表現が多く、作者と一部の慣れた人にしか分からないような気がします。まぁ、自分も慣れればよいだけなのですが・・・。
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