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廊下のむし探検 ハエ、カゲロウ、トビケラなど

廊下のむし探検 第1006弾

5月14日の午後、マンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。これまで、甲虫と蛾を出したので、残りの虫です。



見た順に出していきます。最初はユスリカでした。ユスリカはたいてい見ただけでは分からないのですが、腹部にこんな帯状の模様のあるのは「日本のユスリカ」に載っている絵を見るとだいたい分かります。これはナカグロツヤユスリカ♂だろうと思います。



これは大型のユスリカです。セスジユスリカ辺りのユスリカだろうと思いますが、ヒシモンユスリカという似た種があり、見ただけでは分かりません。以前、♂を調べたら、ヒシモンユスリカらしいことが分かりました。♂であってもかなり微妙な違いを見ないといけないので、ユスリカはなかなか大変です。



これはアカマダラカゲロウという小さなカゲロウの♂です。今頃は廊下の壁にいっぱい止まっています。



これはエサキモンキツノカメムシ



このカメムシはこの間検索してみました。その結果、ツヤアカヒメヒラタカメムシになったので、たぶん、これもそうでしょう。



羽アリの♂ですが、見てもよく分かりません。以前調べた翅脈からはIIId型にはなるのですけど・・・。



これはキマダラカメムシ



ユスリカ♀ですが、何だか分かりません。



これはマダラヒメグモ♂。



翅脈からはクロバネキノコバエか、タマバエかというところです。前縁脈が翅の全周を回っているような感じなので、ひょっとしたらタマバエかもしれませんが、よく分かりません。





これは両方ともクロオオアリだと思われます。



また、羽アリです。今度の翅脈はIVe型です。翅がこんな色なのでクロヤマアリかなと思ったのですが、クロヤマアリはIIId型です。クロオオアリはIVe型なので、そちらの方かな。よく分かりませんが・・・。





鬚の長い虫です。これについては以前も翅脈を調べたことがありました。その時はヒゲナガトビケラ科のクサツミトビケラ属 Oecetisだというところまで達しました。今回も採集はしなかったので、写真から判断するしかないのですが、「日本水生昆虫第二版」と「原色川虫図鑑成虫編」という文献が手元にあるのでもう少し進めることができるかもしれません。それで、ちょっと翅脈を調べました。トビケラは基本的に♂交尾器を見なければいけないのですが、クサツミトビケラ属 Oecetisは翅の模様からでも少しは分かる数少ない属の一つです。



早速、翅脈に名称をつけてみました。Oecetisは普通のトビケラと翅脈が少し変わっていています。それで、先の二冊の本を見たのですが、一部、名称をつけてある絵はあるのですが、翅脈全体については載っていません。それで、論文を探してみました。

F. B. Quinteiro and A. R. Calor, "A Review of the Genus Oecetis (Trichoptera: Leptoceridae) in the Northeastern Region of Brazil with the Description of 5 New Species", PLOS ONE 10(6): e0127357 (2015). (ここからダウンロードできます)

そうしたらこんな論文を見つけました。ブラジルで最近博士号を撮った方の博士論文の内容を論文にしたものです。この論文はまさにOecetisについて書かれているので、論文の中の翅脈の名称を真似してつけてみました。なお、トビケラではR2+3、R4+5、M1+2、M3+4、Cu1の各翅脈が分岐する場合にI、II、III、IV、Vと名付ける習慣があります。それも真似してつけてあります。この翅脈で変わっている点はM脈が翅縁でM1+2の一本しかないところです。ところが、「日本水生昆虫」の中の検索表を見ると、M3+4という脈も登場します。

Oecetisについては昔から翅脈の名称の付け方にM脈を1本とするやり方と2本にするやり方の二つの流儀があったようです。それについては詳細が上の論文に書かれていました。それぞれの流儀で名称をつけてみると次のようになります。



Aは翅縁でM1+2の一本だけがある場合、BはM1+2とM3+4の二本がある場合です。Bについてはさらに、Cu1のあたりの名称の付け方で括弧内に書いた方式を採用する場合もあるようです。Bの代表は次の論文に載っています。

C. Betten, "The Caddis Flies or Trichoptera of New York State", New York State Museum Bulletin 292, 1 (1934). (ここからダウンロードできます)

要は、AでCu1aとCu1bに分岐している部分を、AのようにCu1の分岐と考えるか、M3+4とCu1aあるいはCu1がm-cu横脈で結ばれていると考えるかという点の違いです。そういえば、ユスリカでも似たようなことがありましたね。Bの場合はm-cu横脈を写真のように短い部分に適用するのですが、Aでは長い領域に適用します。QuinteiroらはAを採用したのですが、その根拠は上の写真の②で示した部分のm-cuの位置とCu1の分岐点の位置関係が種によって大きく変化することに依っています。つまり、Bの方式ではm-cuがほとんどなくなってしまったり、大きくなったりと変化するのが不自然だとしています。また、Bで括弧内の名称を使うとトビケラで一般的に存在するVという分岐がなくなり、そうでないとCu2脈がぜんぜん系統に異なるA脈と融合するという奇妙が現象がおきてしまうのが不自然だとしています。

私自身はQuinteiroらの意見を採用しようかなと思っているのですが、「日本産水生昆虫第二版」では属の検索表はBの方式を採用し、Oecetisの翅脈の説明の図ではAの方式を採用しているみたいです。また、Quinteiroらがfalse vein(擬脈)と書いた部分も他の文献とは異なっているのですが、これは実際に調べてみないと何とも言えないのでここでは省略です。

「原色川虫図鑑成虫編」によると、Oecetisは日本で14種が記録されています。この本にはいくつかの種の翅脈が載っているのですが、①と②で示した部分に違いがあります。この写真の個体のように、r-m横脈と①が離れているタイプとしてはハモチクサツミトビケラ O. hamochiensisとアジアクサツミトビケラO brachyuraの2種が候補に挙がるのですが、後者はr-mとm-cuがほぼ直線状になるのに対し、前者はこの個体のようにじぐざぐになります。従って、今のところ、ハモチクサツミトビケラ O. hamochiensisが近いかなと思っていますが、いずれにしても採集すれば♂交尾器から分かるのではと思っています。

クサツミトビケラが長くなってしまいましたが、次の虫に移ります。



次もトビケラですが、トビケラはたいていこんな感じなので、写真だけではほとんど分かりません。







ラクダムシがまたいました。いろいろな方向から撮っておきました。





このクモは何でしょう。「日本のクモ」を見ていったのですが、結局、分かりませんでした。



最後はたぶん、ヤマトシロアリの有翅型の翅が取れたもの。これで14日の分が終わりです。
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