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虫を調べる クストガリキジラミ?

今日はトガリキジラミを調べてみます。



対象とするのはこんな虫で、4月19日に家の近くの公園で見つけたものです。実は、昨年も見ていたのですが、あまりに小さいのでそのままになっていました。先日、「絵解きで調べる昆虫2」を手に入れたのですが、この中にキジラミ類の絵解き検索が入っていたので、採集して調べてみました。その結果、クストガリキジラミ Trioza Camphoraeになりました。今回はまったく予備知識なしに調べていったので、合っているかどうか分かりませんが・・・。とにかく、検索過程を写真で確かめていきたいと思います。



まずは横から写した写真です。体長は1.6mmだったのですが、キジラミ類では翅端までの長さで言うことが多いので、そちらを測ると2.5mmでした。全身が黄色で、翅が透明です。前翅の後縁の脈と脈の間にわずかに斑紋が見られます。



まずは科と属の検索です。実際に検索をしてみると、上の7項目でトガリキジラミ科のトガリキジラミ属になりました。それでは各項目を写真で見ていきたいと思います。



翅脈に関する項目が多いので、まず、翅脈を見てみます。翅脈の名称は「絵解きで調べる昆虫2」の中の「キジラミ類の成虫の形態」を参考にしました。まず、①はR、M、Cu脈が1点で3分岐するとトガリキジラミ科だということで、この写真でも白矢印で示した部分でほぼ1点で3分岐しています。③と④は翅端に関する項目で、翅端部は狭く丸くなるという感じでしょうか。これに対抗する選択肢が「非常に広く丸い」なので、たぶん、大丈夫だと思います。④もM1+2脈が翅端に近くになっていますが、m1室が翅端部を含んでいます。⑤は斑紋に関してで、ほぼ透明で斑紋はないといってよいのではと思います。ということで、これらの項目はすべてOKです。なお、?で書いた線は翅脈のようにも見えますが、翅の折り目なのかもしれません。そういう意味ではCu2も折り目みたいですが、ここには翅脈が走っているのかもしれません。



次は触角ですが、糸状です。よく見ると、各節の先端に短い刺毛が出ています。ということで、②もOKです。



次はこの間キジラミでも出てきた額錐です。比較的によく発達しています。⑥は額錐の発達していないヒダカキジラミ属を除外する項目なので、これもOKだと思われます。



次は腹部末端です。こんな形をしているのは♂の方です。肛節後縁というのは矢印で示した部分ですが、ここが強く後方に張り出したヤナギトガリキジラミ属との比較です。この写真の個体はあまり張り出していないので、⑦もOKです。ということで、トガリキジラミ科のトガリキジラミ属になりました。



次は種の検索です。全部で10項目ありますが、このうち半分以上は翅に関するものです。これらを確かめていきます。なお、赤字は今回調べることができなかった項目です。



翅に関するものは全部で8項目ありました。順番に見ていきます。まず、⑧については翅の中央を黄色の破線で示しました。黄矢印の付近がもっとも幅広いので、翅の中央より先端寄りと言えます。これで⑧はOKです。⑨については雲状紋などはありません。また、m1室が平圧される(つぶされて小さくなること)こともありません。⑩と⑪については、Rs脈は弧状で、その終端は翅端からは遠く離れています。⑫は⑧のところですでに確かめました。⑬についてもほぼ大丈夫でしょう。⑮はやや微妙ですが、Rs脈は翅の半分より少しだけ短くなっています。⑰についてはcu1室が菱形かと言われると、むしろ平行四辺形だと言いたくなるのですが、対抗する選択肢が「体は黒色」という項目を含むので、まあ、よいのでしょう。



頭胸部の毛は特に気にならなかったので、⑭もOKだと思います。



⑯に大きさに関する項目があったので、もう一度、載せておきました。たぶん、乾燥標本だと腹部が縮むので、翅端までを測るのでしょう。とにかく範囲内に入っています。



⑯は把握器に関するものです。基部がもっとも広くなっているのは写真でも分かります。ちょっと後ろの方から撮ってみました。



こうやって見ると、把握器であることが何となく分かります。それで⑯はOKでしょう。この他に挿入器に関する項目があるのですが、本に載っている絵によると肛節と把握器の間に細長い形のものが描かれています。この写真では見られないので、ここではパスしました。これですべての項目を確認したので、たぶん、クストガリキジラミでよいのではと思っています。

ついでに撮った写真を出しておきます。



今回は体色が黄色なので、背景を白にするとコントラストが付かなくて困りました。触角も背景を白にすると各節にある毛がはほとんど見えません。



背景を暗くするとよく見えるようになりました。



次は腹部末端の構造ですが、背景が暗いとこんな感じです。



これは透過照明で、横からも照明しています。やはり背景が暗い方が見やすいかな。

なお、クストガリキジラミについては次の論文が記載論文になっています。

C. Sasaki, "On the Life History of Trioza Camphorae n. sp. of Camphor Tree and its Injuries", Journal of the College of Agriculture, Imperial University of Tokyo 2, 277 (1910). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

名前の通り、クスに寄生するみたいです。今回調べた個体を見つけたのはレンギョウの葉上だったのですが、そういえば公園の中には大きなクスノキがありました。この論文には絵も出ていて、翅脈、腹部末端の構造などはよく似ています。ただ、触角の先端の剛毛は2本になっていました。この写真では両方とも短い1本だけだったので、もう一方は折れてしまったのかな。たぶん、大丈夫だとは思うのですが、ちょっと気になります。

感想)今回、初めてトガリキジラミの検索をしてみました。絵解き検索の絵がうまく描かれているので、それほど疑問になる点もなくて検索できました。今回は前もってまったく種が分からなかったので、クストガリキジラミに到達したときに本当かどうか甚だ不安だったのですが、ネットで調べてみると成虫やら幼虫の写真がたくさんでてきました。これでたぶん大丈夫だろうと安心したのですが、折角、検索までしたのに、よく知られた種だと分かってちょっとがっかりです。
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