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虫を調べる ツヤアカヒメヒラタカメムシ?

4月21日にマンションの廊下でこんなカメムシを見つけました



実は、そのちょっと前に、ベランダに干してあった洗濯物にいっぱいついていたので少し捕まえておいたのが同一種だったみたいです。これはヒラタカメムシ科の仲間です。そこで、先日、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に載っている検索表を使って検索してみました。そうしたら、ヒメヒラタカメムシ亜科のツヤアカヒメヒラタカメムシになりました。今回は顕微鏡で各部の写真を撮って、その検索過程をまとめてみました。



まずは全体像です。体長は5.1mmでした。変わった形ですね。実はこの虫、横から見るとびっくりしますよ。



こんなにペラペラなのです。よくこれで生きてられますね。



まずは亜科の検索をしてみます。ここで図鑑の検索表に問題があります。最初の項目ですが、図鑑の亜科の検索(p.289)の1の行先が逆になっています(つまり、頭部側葉の先端は中葉を超えるの行先が3で、もう一方が2になります)。次に、上の①aと①bの文章をよく読むと、側葉が中葉の中央まで達しないなら①aを選ぶことができ、中葉を超えれば①bを選べばよいのですが、その中間はどうすればよいのかが分かりません。①aの中葉を超えるというのは以前調べたヒラタカメムシの例を出すと次の写真のような場合です。



これは頭部の拡大なのですが、中葉の方が長いので、先端に凹みができています。これに対して次の論文の検索表にはこの辺りがもう少し詳しく書かれています。

M.-C. Lariviere and A. Larochelle, "An overview of flat bug genera (Hemiptera, Aradidae) from New Zealand, with considerations on faunal diversification and affinities", Denisia 19, zugleich Kataloge der OÖ. Landesmuseen Neue Serie 50, 181 (2006).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文の検索表を当てはめたのが上の赤字の部分です。「ほとんど達するか」という文章が入り、また、その時の見方も書かれています。実は、今回のヒラタカメムシがまさにその場合に該当したのです。



これは背側から撮ったところですが、一見、側葉は中央を少し過ぎたあたりまでしか伸びていないようです。こうなると、①aと①bのどちらを選ぶべきか迷ってしまいます。そこで、少し斜めから撮ってみました。



すると、膜状の側葉が先端近くまで伸びていることが分かりました。これで、安心して①bを選ぶことができます。



これが口器の部分です。たぶん、矢印の部分が口吻第1節だと思うのですが、どれが頬縁板なのかがよく分かりません。これも以前調べたヒラタカメムシの場合と比較してみるとよく分かります。



この場合は頬縁板が両側から挟むように伸びてきていて、口吻の基部が見えていません。ということで、これとは明らかに違うので、②はOKだと思われます。これで亜科の検索を終わり、ヒメヒラタカメムシ亜科になりました。

亜科から属への検索表はないのですが、日本産ヒメヒラタカメムシ亜科は全部で4属なので、図鑑の説明を読んで区別するのに適当な特徴だけを選んでみました。



4属のうち、AneurillodesとAneurus属は日本産が1種なので、その種との比較で識別に役立つ思われる特徴だけを書きました。これを調べてみたいと思います。まず、Aneurillodesとの相違点は少ないのですが、触角の長さが違っていたのでそこを出しました。



今回の個体は第4節は第3節の2倍以上の長さを持ちますが、キタカガミヒメヒラタカメムシ A. glaberrimusは約1.5倍というのでそこで区別しました。



Aneurillus属の日本産は数種いるのですが、腹部第7背板が顕著な三角形状だということです。その部分を見ると、三角形に見える部分はありません。それで、これを除外しました。



最後は腹面から見た写真ですが、白矢印で示した示した部分が腹面にある気門です。黒矢印で示したものが側面にある気門です。この個体では第5節の気門が腹面にあるので、ヒメヒラタカメムシとは違っています。側面の気門をもう少し斜めから見てみました。



こんな感じです。さらに真横から見てみます。



こんな感じになりました。最初、腹板の番号の付け方を間違ってしまい、だいぶ混乱してしまいました。上の写真は先ほどの論文の図を参考にしてつけました。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」にも「カメムシの一般体制」としてサシガメ科の模式図が載っているのですが、腹板は第2節から始まっています。「原色日本カメムシ図鑑」によると、第1節は後胸腹板に隠されていて、第2節の一部からが外から見えるようです。

いずれにしても消去法でParaneurus属になりました。ここから先の種への検索表はこの図鑑に載っています。それを使って調べてみました。



その結果、ツヤアカヒメヒラタカメムシになったのですが、上の3項目を調べることで確かめることができます。



まず最初は③で、先ほども見たのですが、腹部第6節の気門は確かに腹面に位置しています。これでOKです。



次は小盾板のしわに関してです。確かに粗いしわがあります。



これは頭部を背側から撮ったものですが、④と⑤で書かれている部分を矢印で示してみました。見る限りその通りでしょう。



⑤の2番目の項目は触角に関するもので、確かに第2節は第3節より短くなっています。



最後は小盾板に関するものです。いろいろな方向から光を当ててみたのですが、「縦長の光沢部」というのがよく分かりませんでした。でも、顕微鏡で見ると、中央部にしわがより粗くなっている部分があります。たぶん、これのことを指すのではないかと思いました。というわけで、一応、すべての項目を調べたので、ツヤアカヒメヒラタカメムシで大丈夫なのではと思いました。

カメムシはこれまで何度か調べたことがあるのですが、ヒラタカメムシは独特な恰好をしているので、少し難しかったです。でも、今回は詳しく調べてみたので、いい勉強になりました。
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