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虫を調べる キクイムシ再挑戦

今回は3月27日に採集したキクイムシを調べてみました。



こんな形のキクイムシです。実は、よく似た種を以前も調べていました。その時はかなり苦戦をしてXyleborus属かもというところまで達していました。それで、今回は再挑戦になります。結論から先に言うと、再び苦戦を強いられてしまいました。それも以前よりさらに迷路に・・・。

とりあえず前回と同じように次の論文の検索表で調べてみました。

A. Nobuchi, "Studies of Scolytidae IX (Coleoptera) Key to the Subfamilies, Tribes and Genera of Japan", Bull. Gov. For. Exp. Sta. 238, 149 (1971). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

まず、亜科の検索です。



実際に、上の論文に載っている亜科の検索表を用いるとIpinae亜科になりました。その過程を写真で見ていきたいと思います。調べるのは上の3項目です。



まず全体像を兼ねて背側からの写真です。体長を測ってみると3.1mmになりました。この写真では前胸背板(半円形の部分)の基部が凹んでいないことを見ます。



次は横からです。②はどちらでもいいのですが、見る限り、側縁には異常はありません。③からは頭部が下を向いていて上からは見えないことが分かります。



これは前胸背板と上翅の基縁を写したものです。前胸背板の前半部は凸凹していることが分かります。また、上翅基縁は滑らかなようです。これで③はOKです。



①の顎葉というのがよく分からなかったのですが、論文の図と比較して上の矢印の部分を指すようです。この内縁というのは中側に入っている部分で、たぶん、これを解体しないと分からないのではと思います。



最後は前脛節の写真です。①はたぶんOKでしょう。②はこの写真の通りで背面に歯状突起が何本もあります。これで顎葉を除き、すべての項目を確かめたので、Ipinae亜科で大丈夫だと思います。次は族と属の検索です。




族はXyleborini族になり、その先の属はXyleborus属になりました。これは以前の結果と同じです。後からいろいろと問題が出てくるのですが、とりあえず、これらの項目を確かめていきます。(追記2018/04/03:触角の棍棒部はclubの訳として書いたのですが、球桿部として訳した方がよさそうです。同様に鞭状部はfunicleを訳したのですが、これも中間節と以後訳すことにします。今度統一しておきます)(追記2018/04/04:触角の各部の名称を直しました



これは先ほどの写真と同じですが、⑨は大丈夫ですね。



次は頭部の拡大写真です。複眼は触角の付け根で少し凹んでいますが、二分はしていません。また、触角の先端部分(これを球桿部という)はやや丸くなっていて、刺毛列があります。これで④はOKです。




次は触角の拡大です。触角の柄節と球桿部の間の節を中間節といいますが、その部分の節数を数えてみました。あまり確かではないのですが、5節だと言われると5節みたいです。球桿部の形が変わっています。この辺りはまたいずれ論じることになります。



この⑤~⑦はこの写真から書いてある通りだと思われます。



前胸背板の頂上あたりを拡大してみました。向かって右が前方になりますが、前方には細かい瓦状の突起が同心円状に並んでいますが、後方には点刻だけがあります。



次は腹面の写真です。ここでは後胸前側板と前基節を調べなければいけないのですが、小さいのでちょっと分かりにくい感じです。それで、もう少し拡大した写真を撮ってみました。



これは後胸前側板を写したものですが、全体が見えています。それで⑥はOKです。



これは前基節を写したものですが、基部で左右の基節が接触していることが分かります。それで⑩もOKです。





最後は中・後脛節を写したものです。共に中央部分が太くなり弓状になっていることが分かります。その背面にはいくつかの歯状突起が生えています。これですべての項目を確かめたことになり、Xyleborini族のXyleborus属になりました。

ところで、最近、「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」というサイトができて重宝しているのですが、ここを見ると、Xyleborini族はScolytidae(キクイムシ)科Ipinae亜科ではなく、Curculionidae(ゾウムシ)科Scolytinae(キクイムシ)亜科になっていて、Xyleborini族には17属も載っています。これに対して、上の論文ではわずかに3属です。これはもう少し調べないといけないと思って文献を調べてみました。その結果、次の論文を見つけました。

S. L. Wood, "A reclassification of the genera of Scolytidae (Coleoptera)", Great Basin Naturalist Memoirs 10, 1 (1986). (ここからダウンロードできます)

この論文には24属が載っていて、全種目録との共通点も多いことが分かりました。さらに、この論文には検索表も載っています。それで、今度はこの論文の検索表で調べてみようと思ったのが、本当の苦戦の始まりでした。検索表はもちろん英語なのですが、一つ一つの項目がえらく長く、また、内容が複雑怪奇です。翻訳だけでも2日もかかってしまいました。とりあえず、検索をする前にそれぞれの論文や本で扱われている属の間の関係を調べてみました。



一番左はWoodの論文、その右が全種目録です。右からNobuchiの論文、「原色日本甲虫図鑑IV」の順です。この図を見ると、右二つと左二つとの差が大きくて、Nobuchiの論文に載っている検索表を使ってXyleborus属だと分かってもほとんど役には立たないという感じがします。全種目録で赤字の属はWoodの論文に載っていない属なのですが、とりあえずWoodの論文の検索表で調べないといけないみたいです。あ~ぁ、大変。
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