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虫を調べる ダイコンナガスネトビハムシ?

3月15日にマンションの廊下で採集したハムシがいるのですが、どうやら昨年の12月8日のブログにナトビハムシかもとして出した種とよく似ています。この時は若干の疑問があったのですが、ナトビハムシ Psylliodes punctifronsだとしました。今回、採集した個体でもう一度調べ直したのですが、ナトビハムシではなくてダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaではないかと思うようになりました。それで、もう一度、出すことにしました。



今回は生態写真がないので、こんな写真があるだけなのですが・・・。体長は2.4mmでした。まず、亜科と属の検索を行います。検索にはいつもの図鑑を用いました。

木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).

属までは比較的簡単でノミハムシ亜科のPsylliodes属になりました。その過程をいつものように写真で見ていきたいと思います。



この5項目を調べればよいだけです。今回は検索の順に見ていきます。



まず、頭部は見たところ正常です。それで①はOKとしました。



この写真では触角挿入部が顔の前半部にあって左右の挿入部が近くに位置するということですが、これについては以前も書いたことがあります。前半部は良いのですが、近くかどうかははっきりしません。そのときは、Mike's insect keysというサイトに書いてあったように、「触角第1節の長さ程度あるいはそれ以下に接近していると、触角基部が接近していると判断してもよい」というルールで考えると、この写真の場合は近くに位置するとしてよいでしょう。



③は後脚腿節が肥大していることですが、写真を見るとすぐに分かります。モーリック器官は腿節の内部にある器官です。



これは腹側から見た写真ですが、前胸腹板突起の幅が広いので前肢基節窩は左右に離れています。



最後は触角の節数です。写真で見るように10節です。これが決定的で、このことからPsylliodes属であることがすぐに分かります。

次は種の検索です。種の検索には以前も用いた、次の論文に載っている検索表を用いました。

H. Takizawa, "A Revision of the Genus Psylliodes Latreille in Japan (Chrysomelidae: Alticinae)", Insecta Matsumurana 62, 175 (2005). (こちらからダウンロードできます)

今回の検索ではナトビハムシ P. punctifronsではなくて、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになったのですが、その近傍も含めて訳してみました。



前回はⒸのところで迷ってしまいました。つまり上翅側片が粒状か、平滑かという点です。今回はこの辺りを詳しく調べてみました。ただ、写真は以前に撮った方がうまく撮れていました。どうしてなのかな。subrugosaに至るにはⒶ→Ⓑb→Ⓒb→Ⓓb→Ⓔb→Ⓕaの順に調べていきます。項目が多いので今回は部位別に見ていきます。



先ほども出た写真ですが、前胸背板が丸くなくて平坦であることを見ます。この辺りは相対的なので何とも言えないのでしょうけど。



Ⓐの上唇の形についてはその通りみたいです。Ⓑは前頭隆起と写真に示した部分についてですが、この後方(黄矢印で示した部分)に深い溝があるかどうかです。この場合は溝がないのでⒷbの方を選びます。Ⓔは頭頂に点刻があるかという項目ですが、浅いですが明瞭な点刻があります。それでⒺbを選びました。



前胸背板の側縁は矢印で示した部分だと思います。ほぼ直線的になっている感じがします。それでⒹbを選びました。



これは前胸背板ですが、細かい点刻についてはよく見えますが、点刻と点刻の間の顆粒状というのやや見えにくいのでもう少し拡大しました。



皺のような鱗のような構造が見えますが、これを顆粒状というのではと思いました。これは以前写した写真の方がよく見えました。たぶん、ⒻbはOKだと思います。



そして、問題の上翅側片です。上が翅の基部近く、下は末端近くです。木元氏の本に載っている検索表ではナトビハムシに対抗する選択肢が「上翅側片は平滑、やや隆起し、剛毛を欠く」となっていました。見ると、平滑なのですが、剛毛が疎らに生えています。もう一方の選択肢が「剛毛を欠く」となっているので、やむを得ずナトビハムシにしたのですが、疑問が残りました。Takizawa氏の検索表ではもう一方の選択肢が「平滑」とだけなっていました。この写真を見ると、どうみても顆粒状ではなくて平滑なので、Ⓒbを選ぶことにしました。



次は後脚脛節の写真です。第1跗節の取り付け部が先端側となっていますが、これも比較の問題です。この場合は対抗する選択肢が中ほどになっているので、この写真のようなときは先端側になります。



これは腹部末端です。黄矢印で示したように末端節の中央部付近が大きく凹んでいます。これは♂の性質なので、たぶん、この個体は♂なのでしょう。これで、すべての項目をクリアしたので、一応、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになりました。

Takizawa氏の論文にはダイコンナガスネトビハムシの特徴も載っていたのでそれも訳してみました。



㋐から㋚までの項目なのですが、ほとんどは今まで見た写真で確かめることができます。㋖については次の写真で確かめられます。



ご覧に様に跗節第1節は膨らんでいます。ということで、たぶん、ナトビハムシではなく、ダイコンナガスネトビハムシでよいのではと思っています。おそらく、前回見たのが♀、今回は♂ではないかと思われます。合っているとよいのですが・・・。
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