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虫を調べる キクイムシ(続き)

先日からキクイムシを調べています。冷凍庫に2種類の大きさの異なるキクイムシが入っていたので、まず、大きな方から調べてみました。



調べたのは2月26日にマンションの廊下で見つけたこのキクイムシです。昨日は属の検索をして、Helesininae亜科Hylurgini族のTomicus属になりました。今日はその先の種の検索をしてみようと思います。まず、キクイムシ科の最近の種リストを調べてみました。次の論文に載っていました。

後藤秀章、「日本産キクイムシ類分類学研究の歴史と種のリスト」、日林誌 91, 479 (2009). (ここからダウンロードできます)

キクイムシは害虫なので、いろいろと調べられているようです。この中で、Tomicus属には3種載っていました。

minor マツノコキクイムシ
piniperda マツノキクイムシ
puellus キタマツノキクイムシ

この3種です。この3種の検索表については次の論文に載っていました。

野淵輝、「マツ類を加害するキクイムシについて」、林業試験場研究報告 第185号 (1966). (ここからダウンロードできます)

これを使って上の種を調べてみたいと思います。関係する部分を抜き出すと次のようになります。



この論文で扱っているのは「マツ類に寄生するキクイムシ類の検索表」なので、最初のⒶ~Ⓓは昨日の検索ともダブってしまうのですが、とりあえず調べていきます。今回は検索順に見ていきます。



まず、Ⓐは上から頭部が見えるかどうかで、昨日も見ましたが、ちゃんと上から頭が見えています。



Ⓑは複眼と触角についてです。この写真のように複眼は二分していません。また、触角の先端部(球桿部)には4節ほど見えています。ということで、Ⓑも大丈夫そうです。



Ⓒは上翅(鞘翅)の前縁部分についてです。この写真からは白矢印で示したように前縁が湾曲していることが分かります。



この写真では上翅前縁に小顆粒突起列があることが分かります。これでⒸもOKです。



次はⒹです。上翅に光沢があるというのは何となく分かります。列間部の剛毛は次の写真の方がよく分かると思います。最後の前胸背板は縦長か横長かという点ですが、一見、縦長のように見えるのですが、測ってみると3割ほど幅が広いことが分かりました。ということで、ⒹもOKそうです。次からは種の検索です。



Ⓔは上翅斜面部(上翅の末端部近くで翅が曲がっている部分)についてですが、まず、列間部にある小顆粒状突起と毛というのを上翅平面部で見てみました。これは前から上翅を写したものですが、毛は列状に生えていて、これが列間部だろうということが分かるのですが、小顆粒状突起というのがどれだか分かりません。



それで、後ろからも撮ってみました。毛の根元が皆少し膨れています。たぶん、これが小顆粒状突起だろうなと思いました。



もう少し広い部分で写してみました。確かに毛と小顆粒状突起が列状に並んでいます。これが列間部なのでしょう。上翅の前半部分を見る限り、第2列間部にも毛が生えています。斜面部はこの写真ではどの列も毛が見えません。



それで、斜めに撮った方が分かりやすいのかなと思って撮ってみました。そうすると、確かに各毛列はよく見えるようになりました。その中で第2列間部の毛列だけがありません。



さらに拡大してみました。見事に第2列間部には毛がなく、心持ち凹んでいるようにも見えます。また、毛は規則正しく列状に並んでいるようなので、検索表ではⒺb→Ⓕaと進み、マツノキクイムシ Tomicus piniperdaになりました。大きさも書かれている体長の範囲に入っています。合っているかどうか分からないのですが、何となく合っていそうな気がします。

ついでに昨日の検索で迷ったところを少し考えてみました。



昨日の検索表⑦で「前胸腹板の両側は上がらない」という項目があり、論文には絵も載っていました。でも、写真を見る限り、前胸腹板と背板を分ける溝みたいなものが見当たりません。それで、昨日はよく分からなかったのですが、写真をよく見てみると、前胸腹板には光沢があって毛が生えていません。これを手掛かりに腹板らしい部分を黄色の点線で囲ってみるとこの写真のようになります。たぶん、「上がらない」というのは黄矢印の部分まで伸びていないことを言っているのかなと思いました。



ついでのついでで、前脚と中脚脛節が並んでいる写真も撮っていたので載せておきます。形の違いがよく分かると思います。

ということで、キクイムシの検索で初めて種までたどり着きました。合っているかどうかは甚だ不安なのですが、上翅の毛列が書かれていることと合っているので、たぶん、大丈夫かなと思っています。上の論文によれば、マツノキクイムシはアカマツ、チョウセンゴヨウマツ、ゴヨウマツ、クロマツに寄生すると書かれていました。松の大害虫なのでしょうね。そういえば、私のマンションの近くにも松はたくさん生えているのですが、マツノキクイムシのほか、松と名の付く虫がいっぱいやってきます。マツヘリカメムシ、マツアトキハマキ、マツアワフキ、マツヒラタナガカメムシ、マツキボシゾウムシ、マツキリガ、マツコヒラタカメムシ、マツノゴマダラノメイガ、マツノヒゲボソカスミカメ、マツノマダラカミキリ、マツノシンマダラメイガ、マツノシラホシゾウムシ、マツトビカスミカメ、マツトビゾウムシ・・・。皆が皆、害虫とはいえないかもしれませんが、とにかく多いですね。
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