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虫を調べる エリユスリカ属

昨日に引き続いて、ユスリカを調べてみました。今度は1月9日に採集したものですが、写真と採集した個体との対応がついていません。



たぶん、このユスリカかなと思うのですが・・・。採集した個体の体長は4.3mmでした。昨日と同様、「絵解きで調べる昆虫2」に載っている亜科と属の検索表で調べてみました。



まずは亜科の検索です。検索結果はエリユスリカ亜科になりました。いつものように写真で見ていきたいと思うのですが、毒瓶に入れたままにしていおいたら、ちょっと乾燥してしまいました。それで、撮影は楽だったのですが、特に交尾器のあたりがうまく写らなくて、種の同定がうまくできません。それでも、顕微鏡写真を何枚か撮ったので記録のために出しておきます。



まずは翅脈で、①も②も昨日見たものと同じで共にOKです。



②もOKです。この写真を撮った時にあれっと思ったのは盾板の刺毛列(背中刺毛)の基部が淡色になっている点です。昨日の個体はこんな感じではなかったので、たぶん、別種かなと思いました。



これも昨日と同様で、把握器が底節と関節でつながっています。



③もOKです。これでエリユスリカ亜科になりました。

次は属の検索です。



属の検索では、⑰の生殖中突起が写真でははっきりしなかったので、可能性のある属を列記しています。エリユスリカ属でなければPsilometriosnemus属になるのですが、「日本昆虫目録第8巻」によるとこの属は日本では記録されていないようなので、たぶん、エリユスリカ属でよいのではと思っています。これも写真で見ていきたいと思います。



まずは翅脈です。昨日も同じ説明をしたので、今回は説明を省略です。



複眼には毛はなさそうです。



⑦と⑧はOKでしょう。⑯の中刺毛は黒矢印の部分にあるはずの刺毛ですが、この写真では認められません。



これもたぶんOKです。



この⑧にはいつも悩まされます。今回はMND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)の図に載っている名称を以前のルールに従って訳してみました。中胸に関する部分は一か所しかなかったのですが、これでよいのだろうか。いずれにしても刺毛はありそうにありません。



⑬もこの写真でOKでしょう。



これは端刺ですが、基部から中央付近までが黒くなっています。この部分が棘列だろうと思います。いずれにしても密着している感じです。



これは尾針を示した写真で、⑩と⑮はOKであるのがすぐに分かります。昨日と異なる点は尾針の形で、ほぼ同じ太さで伸びていて先端が丸くなっているところです。



これは爪の写真です。褥板は爪の基部付近にある座布団みたなものです。これにはないので⑫はOKだと思います。これで⑰aを除いてすべて確かめられました。生殖中突起は交尾器を裏側から見れば見えるはずなのですが、



底節が閉じてしまい、基部がよく分かりませんでした。でも、たぶん、エリユスリカ属で大丈夫なのではと思っています。

ここから先は種の検索ですが、何か手掛かりがないかと思って次の本を購入しました。

M. Sasa and M. Kikuchi, "Chironomidae [Diptera] of Japan", Univ. Tokyo Press (1995).

この中にエリユスリカ属 Orthocladiusの亜属と種への検索表が載っていました。ただ、「日本昆虫目録第8巻」(2014)には6亜属あることになっているのですが、上の本では2亜属。種数もだいぶ違うので、どこまで使えるか分かりません。



検索表を翻訳して、必要な部分を抜粋すると上のようになります。まず、尾針の形からEuorthocladius亜属の可能性があります。



さらに、小盾板の刺毛の数を数えると左右合わせて16本が2列程度にかなりランダムに並んでいます。こんなところからEuorthocladius亜属にしました。その先はⒷもⒸもOKで、最後のⒹの把握器は次の写真のようにはっきりとは分からないので、ここでストップになりました。



拡大してみました。うーむ、写真がやはりはっきりしませんね。さらに、次の論文を読むと、Orthoclaius亜属に含まれる glabripennis(ヒロバネエリユスリカ)もglabripennis complexとして、尾針の形や小盾板の刺毛の配列に違いのあるいくつかのタイプが含まれていました。この中には尾針が平行なものもありました。

M. Sasa, "Studies on Chironomid Midges of Some Lakes in Japan", Res. Rep. Nat. Inst. Environ. Studies No. 83 (1985).(ここからダウンロードできます)

この後の研究の進展をもう少し調べないとなんとも言えないですね。いずれにしても、もう少し採集して調べてみようかな。
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