FC2ブログ

虫を調べる ノミハムシ亜科(挫折)

この2,3日、先日捕まえたノミハムシを調べていました。最近、ハムシも少し分かってきたので、ハムシがいたらすべて調べてみようなんて意気込んでやっていたのですが、今回は見事に失敗してしまいました。本当は、昨日、検索結果を出す予定だったのですが、寸前になって間違っていることに気が付き、慌てて見直したのですが、結局、よく分からず、迷宮入りになってしまいました。



対象は12月14日にマンションの廊下で見つけたものです。小さなハムシで、体長は2.1mmしかありません。後腿節が太いのでノミハムシ亜科は確かそうです。いつもこんなハムシを見たら、ツブノミハムシかもと書いていたのですが、一度、ちゃんと調べてみようと思って採集してきました。ノミハムシ亜科は確かだろうとは思ったのですが、一応、勉強のために亜科から検索をしてみることにしました。亜科の検索はいつもの通り、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている検索表を用いました。



ノミハムシ亜科であることを確かめるにはこの3項目を見ればよいので、これをいつものように写真で見ていきます。



まずは頭部の写真です。①は問題ないのですが、いつも問題になるのは②で、左右の触角の基部が近い
かどうかです。これまで何度か書いたように、その基準を触角第1節の長さにして、それと同じかそれよりも近かったら近い、遠かったら離れているという判断にすれば、これは近い方になります。頭部の前半に位置していることは触角基部が複眼の前縁に近いのでOKでしょう。



これは後脚を撮ったものですが、腿節がかなり大きく膨れています。これでノミハムシ亜科は確かなのですが、一応、写真を撮りました。実はこの写真に写っている脛節が後から問題になってきました。



次はいつも見ている前胸腹板突起です。これは幅が広いので、前肢基節窩という基節が入っている穴が左右に離れています。これで3項目すべてを確かめたので、ノミハムシ亜科は確かでしょう。

次は問題の属の検索です。これには、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っている検索表を用いました。実はこの本は手に入らないので、図書館で一部コピーをしてきたのですが、それにたまたまノミハムシ亜科の属の検索表が載っていました。最近、木元新作、滝沢春雄、「台湾産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1997)という図鑑を古本で安く手に入れたので見てみたら、検索表の内容はほとんど変わりがありませんでした。これから、この本が使えるかもしれません。



とにかく、この④から検索をしていき、㉑まで達したので、予定通りツブノミハムシ属になり、その後、種の検索もしていました。ところがところが、⑰をちゃんと見るのを忘れていました。でも、このことは後で書くことにします。折角だから、④から㉑までを見ていくことにします。



最初の④と⑤が触角についてなので、触角を見ることにします。間違いなく11節です。これで④も⑤もOKです。



次の⑥は前肢基節窩は後ろに開くということですが、白矢印の部分で後ろの中胸腹板との間に隙間が空いています。これで基節窩は後ろに開くということになります。ついでに⑲の前胸腹板突起が幅広いことを見ます。幅広いかどうかも相対的なのですが、もっと狭く針のような場合もあるので、それに比べると広いといってよいのだと思います。



⑦、⑧、⑱はこの写真からすぐに分かります。⑰については、この写真を見て脛節背面には溝なんてないだろうと勝手に思っていました。これは後で写真をお見せます。



⑩、⑭、⑮もこの写真から判断できます。実は、試料を冷凍庫に入れておいてから出したら、こんな風に腹部末端から何やら出てきていました。また、上翅も何となく開いてしまって・・・。さらに、顕微鏡で撮影するのであちこち触っていたら、上翅は2枚とも外れてしまいました。そんな写真も後から出てきます。



この写真で見る限り、前胸背板には横溝も縦溝もなさそうです。側縁の後縁近くに毛が1本ずつ生えていますね。以前も別のハムシでこんな毛を見ました。その時は猫のひげみたいに穴の幅を見るセンサーになっているのかなぁなって書いていました。



⑬に「跗節第3節は前縁から2裂する」という項目があるのですが、これを写真に撮るのにかなり時間を費やしました。というのはこれは裏側から見たものですが、ふさふさしたのが第3節です。どこにも2裂している気配は見られません。それで、「跗節第3節は完全」という方を選ぶと、外観が全く違う属になってしまいます。



それで背側から撮ってみました。そうしたら、跗節第3節は筒状になっているみたいで、その背面側が2裂し、その筒の中に爪が入っているようでした。これでたぶん、⑬はOKでしょう。



触角間室は左右の触角基部の間の空間を指すのだと思うのですが、そこが狭いというのが⑯、触角基部の上に瘤のようになっているのが前頭突起で、たぶん、卵形といってもよいでしょう。ということで、⑰を除けば、予定通りにツブノミハムシ属になるはずでした。まとめているときに、後腿節の載っている写真を見ると、どうも脛節背面に溝があるような気がしてきました。それで、もう一度、綿に挟んでおいたハムシを取り出して写真を撮りました。



上翅が取れてしまっているので、こんな姿になっていますが、後脚脛節背面にはかなり深い溝があります。末端から基部の1/4どころか1/2近くまで行っています。これはやはり溝があるというべきでしょう。(追記2017/12/23:後脚脛節背面をもう一度撮り直しました。



脛節末端から基部にかけて全体の2/3ほどの間、かなり深い溝があります。やはり間違いなさそうです。何か見方を誤っているのかなぁ


そこで、⑰bを採用しないといけないなと思って、ミゾアシノミハムシ属 Hemipyxisを「原色日本甲虫図鑑IV」で調べてみました。でも、ほとんどの種が黄色っぽくて、黒っぽい翅を持つ種はヒゲナガルリマルノミハムシしかいません。ただ、この種は3.8-5.0mmとかなり大きいです。さらに、触角もかなり長くてどうやら今回の個体とは違いそうでです。ただ、図鑑には琉球・台湾に生息するヒメマルノミハムシ H. changiについて載っていました。これの体長は2.0-2.8mmなので、範囲に入っています。

ヒメマルノミハムシについては先ほどの台湾の図鑑にも載っていました。図版を見ると、前胸背板のあたりがあまり似ていないのですが、一応、調べてみることにしました。ミゾアシノミハムシ属の種への検索表を見ると、上翅は全体黒青色→体長は.2.0-2.8mmで一意的にヒメマルノミハムシになります。この種の記載論文は以下の通りです。

S. Kimoto, "Notes on the Chrysomelidae from Taiwan IV". Kontyu 38, 205 (1970). (ここからダウンロードできます)

詳細は見ていないのですが、台湾の図鑑には、「頭頂には一対の大型点刻を装う」とか、「複眼の横幅は複眼間室に比して狭い」とか、どうも違和感のある表現が載っています。



念のため、頭頂の真上からの写真も撮ってみました。記載論文には、「頭頂には皺がより、ほとんど点刻はなく、複眼の内縁近くには大きな穴があき、その近傍には数個の点刻が囲む・・・。」とあり、どれが穴なのかよく分かりません。触角は長く、体長の2/3というのも合わない感じです。どうやらこの種ではなさそうだということまでは分かったのですが、今のところ、迷宮入り状態になっています。



ついでに腹部末端から出ている構造も写しましたが、これは何でしょうね。あ~ぁ、分からないことだらけだ。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

No title

家に現れた黒くて跳ねる甲虫。
名前が知りたくてこのページにたどり着きました。持ってる図鑑にも載ってなく、
知りたかったのでとてもすっきり致しました。
後脚がマッチョでルーペで見たらかわいいです。

No title

カケスさん、こんばんは
後腿節が太いということはノミハムシの仲間であることは確かそうですね。この手の小さなハムシは名前がなかなか分からず、いつも苦労しています。ぼちぼち調べていきますので、これからもよろしくお願いします。
プロフィール

廊下のむし

Author:廊下のむし

カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
カウンター
月別アーカイブ