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虫を調べる コガネコバチ科?

12月11日に、マンションの廊下でこんなコバチを見つけました。



前胸背板が角ばっているので、先日検索したときはカタビロコバチ科にしてしまいました。その後、気になるところが出てきたのでもう一度検討してみることにしました。



「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で必要なところだけ書き出したものがこの表です。⑫まではとりあえずOKとします。次の⑬aで「前胸背板は大きく背面から見て前方が角張る」という方を採用して、カタビロコバチ科にしたのですが、後半の「金属光沢を持たない」というところが引っかかりました。また、カタビココバチ科で画像検索してみると、前胸背板がもっと幅広い種ばかりが出てきます(違和感のあるところを赤字で書いてあります)。それで、最近は、⑬bの方が合っているのではと思うようになりました。こちらで問題になるのは、「前胸背板は小さく背面から見て前方は角張らない」というところです。これに対して、後半の金属光沢についてはよさそうです。それで、とりあえず、⑬bの道を進むことにして検索を進めていくことにしました。すると、⑭から⑱まで進み、特に問題になることなしに、コガネコバチ科になりました。こちらの方を写真で見ていくことにします。



これは全体像ですが、腹部は明らかに金属光沢を持っています。⑬bについては、「角張らない」というところが引っかかるのですが、幅が小さいという方を採用すると何とかクリアできそうです(追記2017/12/18:後で出てくる「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表の方では、㋐bの表現で特に問題になるところなく、カタビロコバチ科以外を選ぶことができます)。⑱は特に問題ありません。



翅脈も特に問題ないのではと思いました。前縁脈の長さは相対的な表現なのでよく分かりませんが・・・。



これは前脚の跗節と脛節距を撮ったものです。距は強く湾曲しているといっても良いでしょう。



⑰は中胸背板と前伸腹節に大きな段差のあるマルハラコバチ科を除外する項目なので、特に問題ないと思います。



⑯も写真の通りで、中胸側板は前と後ろに分かれ、その間が溝のようになっています。また、全体的にやや凹んでいる感じです(追記2017/12/18:この凹みが次の検索表の㋖に出てくる腿節受溝なのかなと思いました)。ということで、⑬bを選択すれば、問題なくコガネコバチ科になりました。

念のために、同じことを「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表でもやってみました。



これもカタビロコバチ科が出てきたところから書いてみました。赤字はやはり違和感のあった表現のところです。㋐aのカタビロコバチ科ではいくつか合わないところが出てきます。㋐bを選んでも、後でいくつか合わないところが出てくるのですが、㋓はトビコバチ科、㋔はナガコバチ科を除外する項目で、たぶん、大丈夫ではと思っています(追記2017/12/18:以前、「コバチ 各部の名称」で示したように、このコバチの触角では環状節は2節、繋節は6節あります。一方、トビコバチ科では環状節はなく、ナガコバチ科では常に環状節は1節、繋節は7節とのことです)。したがって、こちらもコガネコバチ科になりました。検索に必要な写真でこれまでになかった写真を次に載せておきます。



parapsidal grooveについては以前、セイボウで調べたことがありました。grooveは溝のことですが、この溝は蛹の時に背腹筋と呼ばれる背側と腹側を結ぶ間接飛翔筋の背側の取り付け部分になっているということでした。この個体では矢印のところに凹みがあるので、これのことかなと思うのですが、いずれにしてもあまり明瞭ではありません。



これは中脛節距を撮ったものですが、㋔では小さいと書かれていますが、それほど小さいというわけでもありません。ということで、あまりはっきりしないのですが、カタビロコバチ科でないとしたら、コガネコバチ科だろうということになりました。この先の属も調べたいのですが、コガネコバチ科はどちらかというとその他大勢を突っ込んだ科なので、属の検索は大変でまだ試していません。

ついでなので、カタビロコバチ科での属の検索もしてみました。

B. D. Burks, "A Synopsis of the Genera of the Family Eurytomidae (Hymenoptera: Chalcidoidea)", Trans. Am. Entomol. Soc. 97, 1 (1971). (JSTORに登録すると読むことができます)

検索表はこの論文に載っているものを用いました。



日本産に限って検索表を書き直してみると、このようになります。ただし、検索表に載っていない属も2つありました。検索をしてみると、Gahaniola属になるのですが、これに加えてDecatoma属、Tetramesa属が候補になります。検索に必要な写真を載せると以下のようになります。



stigmaは縁紋のことですが、小さいときは縁紋と呼ばないのではと思って、Ⓐbを選びました。



Ⓑbも特に問題はなさそうです。

ということで、もし、カタビロコバチ科だとすると、Gahaniola属、Decatoma属、Tetramesa属あたりになり、そうでなければ、コガネコバチ科だろうという結論です。でも、今はコガネコバチ科の方にだいぶ傾いています。
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