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「絵解きで調べる昆虫2」サトオオトガリキジラミ

先日、六本脚から広告メールが来て、日本環境動物昆虫学会編、「絵解きで調べる昆虫2」(文教出版、2017)が出版されたことを知りました。これまでの環境アセスメント動物調査手法講演会で使われたテキストのうち、絵解き検索の部分をまとめてものです。「絵解きで調べる昆虫1」にはさんざんお世話になったので、こちらもすぐに注文しました。この中にはキジラミ類、カスミカメムシ類、ヒロバカゲロウ科、ベニボタル科、ユスリカ科の絵解き検索が載っているのですが、どれも大変充実した内容です。

すぐにでもいろいろと調べてみたくなったのですが、とりあえず、以前調べた虫をもう一度調べてみようと思って、オオトガリキジラミの検索をしてみました。



オオトガリキジラミというのはこんなセミのような虫で、この写真は2015年2月21日にマンションの廊下で採集したものです。その時は次の論文を見て、雰囲気的にオオトガリキジラミ属のサトオオトガリキジラミだろうという推測をしていました。

Y. Miyatake, 「日本産オオトガリキジラミ属について(英文)」, 大阪市立自然史博物館研究報告 31, 93 (1978). (ここからダウンロードできます)

上の本にこの属、種が載っていたので、早速、確かめてみました。その結果、予想通りオオトガリキジラミ属のサトオオトガリキジラミになったのですが、その検索の過程を書くと次のようになります。



これはキジラミ上科の科、属、種の検索表で、必要な部分のみを抜き出したものです。この6項目を調べることで種まで到達することになります。これらを写真で調べていくのですが、実に、翅脈と触角を見るだけで確かめることができます。



これは以前撮影した写真ですが、翅脈の名称は今回の「絵解きで調べる昆虫2」に載っているものを採用しました。Cu脈付近が以前とは違っていました。まず、トガリキジラミ科は①→で示したところでR、M、Cuの3つに分岐するというところで見分けられます。これをCrawford氏はtriozineと名付けたのでしたね。もっともここはCuではなくて、Cu1と書くべきではと思ったのですが、本に合わせてCuとしておきました。②は後で見ることにして、③は翅端が少し尖っているところを見ます。④はm1室に翅端が含まれないこと、⑤はM1+2脈が前半で強く屈曲し、後縁付近では翅脈がみな平行になっていることを見ます。最後の⑥はCu脈とCu1bの長さ比べとCu1b脈が弧状に湾曲していることを見ます。長さは実際に測ってみると1:0.99となり、ほとんど完璧に一致しました。



触角はこんな格好なのですが、②に載っている各節に1~数本の刺毛というのは写ってはいません。ただ、対抗する項目「触角は太く先端に向かって細まり、多数の刺毛を持つ」とはかなり違うので、やはりこれでよいようです。これですべて確認することができ、やはりサトオオトガリキジラミでよさそうです。

日本産オオトガリキジラミ属にはヤマオオトガリキジラミ、オオトガリキジラミ、サトオオトガリキジラミの3種がいるのですが、前翅後縁の色、Rs脈の終点の位置、Cu1b脈の屈曲、Cu1bとCu脈の長さの比較で見分けることができるようです。この本のお陰でキジラミも少しは分かるようになるかもしれません。何となく嬉しいですね。
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