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虫を調べる イシダアワフキ?

先日、家の近くにある川の土手の物置小屋でアワフキムシを見つけました。



見つけたのはこんな虫です。頭から胸にかけての白い筋が目立ちます。また、翅には白っぽい点が一つあります。この間、アワフキムシの検索表を見つけたので、一度、調べてみようと思って採集してきました。

T. Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 3", Jpn. J. Ent. 65, 502 (1997). (ここからダウンロードできます)

検索表はこの論文に載っています。Part 1~Part 3からなる3論文の最後に載っていました。ただ、アワフキムシの同定は基本的に♂交尾器を見ることが定石のようです。一応、外見による検索表も載っていたので試してみますが、大きさや色、模様などの形質が基になっているのでどこまで使えるのかよく分かりません。



検索表の最初の部分を訳したものです。この検索表で調べていくと、ishidai(イシダアワフキ)になりそうなのですが、これを写真で見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は腹部末端で測ってみると9.9mmになったのですが、後で述べるように、検索表に載っている体長はひょっとしたらこの写真で頭のてっぺんから翅の先端までの距離を言っているのかも知れないなと思うようになりました。その場合は10.3mmになります。さらに、腹部末端の構造からこれは♀のようです。その場合、いずれにしても、①bと⑤bの条件は満足されます。④aは色の話なのでこんなもんかなというところです。⑥bの竜骨線は白っぽくよく目立ちます。翅脈が目立つ、目立たないは何を意味するのかよく分かりません。



次は翅脈です。これは以前にもお見せしました。②bはたぶんその通りでしょう。③bのM室はMとCu1脈で囲まれた部分、Cu室についてはよく分かりませんが、たぶん、Cu1脈とCu2脈で囲まれた部分かなと思っています。いずれにしても淡色点はありません。④aについては白矢印で示すようにM脈上に淡色点があります。黄色かどうかは分かりませんが・・・。



これは頭部と前胸を拡大したものですが、密に点刻があることは確かです。ということで、イシダアワフキになったのですが、major(モンキアワフキ)と区別するところが大きさだけというところも気になります。そこで、可能性のあるishidae、major、rugosa(ヒメモンキアワフキ)の3種について特徴を比べてみました。交尾器がだいぶ違うようですが、外見的には色はあまり変わりません。論文の解説には各部の大きさについて書かれているので、今回の個体でも測ってみました。



黄色の線は頭幅、体幅、体長の比を測ったものです。ここで、体長として腹部末端までの距離を測ると、論文とは比がかなり異なります。それで、体長として翅先端までの体長と腹部末端までの体長の二つを書いておくことにしました。白線は前胸背の幅と長さの比を測ったものです。



これは後脚の腿節、脛節、跗節の比を測ったものです。ついでに、次の論文を参考にして各部の名称を入れてみました。顔の部分が下に折れ曲がったような構造をしているのですね。

J. W. Evans, "The Leafhoppers and Froghoppers of Australia and New Zealand (Homoptera: Cicadelloidea and Cercopoidea)", The Australian Museum Memoir XII (1966). (ここからダウンロードできます)



これは頭頂角、および頭幅と長さの比を測ったものです。頭頂角の測り方は上の論文のPart 1に載っていました。

T. Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 1", Jpn. J. Ent. 65, 81 (1997). (ここからダウンロードできます)



こうして測ったものがこの表の最右欄です。論文に載っていた数字も載せてみました。測定した値はほぼ3種の範囲内に入りました。赤字で書いたものはイシダアワフキの範囲外になったものですが、この比から何かものをいうのは難しそうです。( )内に書いた数字は前翅先端までを測った体長です。これらの数字の中では、やはり、体長の違いが一番大きいので、モンキアワフキではなく、イシダアワフキでよいのかなと思っています。

さて、最近、「日本昆虫目録第4巻」(2016)を購入したので、今回の論文に出てくる種との比較をしてみました。



真ん中に九大のデータベースを載せたらかなりややこしくなってしまいました。だいぶ、分類の変遷があったようです。ただ、左右の欄を比較すると、赤字で書いた2種を除いてほぼ1:1で対応しています。たぶん、上の検索表でほぼ良いのでしょう。



ところで、「日本昆虫目録第4巻」に載っている種をCatalogue of Life(2017)で調べてみました。前者ではすべてAphrophora属だったのですが、ほとんどの種で属名が違います。青字は属名が異っていたもの、赤字は載っていなかったものです。さらに、1属1種のような状況になっています。この辺の事情は上の論文(Komatsu (1997))に載っていました。Catalogue of Lifeに載っている属はすべて松村松年氏が1942年ごろに出した論文で提案されたものです。彼が外見的に異なる種に対して異なる属を当てていたのですが、交尾器を調べてみるとほとんど同属であることが分かったということみたいです。Catalogue of Lifeにはこの辺の事情がまだ入っていないものと思われます。いずれにしてもかなり簡単になったということみたいです。実際に、交尾器も調べて見たくなりました。

雑談)昨日、奈良に行ったついでに、近くをジョギングしてみようと思って走り始めました。途中、お寺の中も走ったのですが、門のところにある段差を踏みはずしてしまい、右足を骨折してしまいました。折れた部分は小さかったのですが、全治2か月というので、しばらく、虫の撮影には行けそうにありません。ちょっとした不注意からこんなことになって残念で仕方ありません。
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