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廊下のむし探検 ヒメカゲロウ、アザミウマ、毛虫など

廊下のむし探検 第949弾

最近は雨続きで外に出かける気がしません。それで、雨の止んだ10月17日に久しぶりにマンションの廊下を歩いてみました。蛾やハエがいろいろいたのですが、今日はマイナーな虫から。





この日はこんなヒメカゲロウが2種いました。上は以前、キバネヒメカゲロウかなと思った個体に似ていて、下はホソバヒメカゲロウだと思われる個体です。今回もちょっと調べてみました。

W. Nakahara, "On the Hemerobiinae of Japan", 日本動物学彙報 9, 11 (1915). (ここからダウンロードできます)

以前と同じ、この論文に載っている検索表を使ってみました。



検索表を見ると、とりあえず、翅脈を見れば何とか属まで達することができます。



まず、これは上の個体。この個体にはrecurrent veinという基部に戻る翅脈があるのが特徴です。検索表では、①b→②b→③b→④bと進んで、Hemerobius属に達します。これは以前と同じです。九大の昆虫学データベースによると、Hemerobius属で本州に生息するのは10種。ここでストップなのですが、翅脈に点々と暗色の点がついています。これを論文の写真と比較して、以前はHemerobius harmandinusかなというところで止まっていました。今回もここまででした。この種は千葉大のサイトを見ると、キバネヒメカゲロウという和名がついています。



下のヒメカゲロウはrecurrent veinがないので、①aを選ぶことになります。Catalogue of Lifeによると、EumicromusはMicromusのシノニムだというので、この種はMicromusということになります。九大の昆虫学データベースによると、Micromus属で本州産は3種、Eumicromus属は1種記録されています。こちらもここまでなのですが、以前、ホソバヒメカゲロウだと教わったことがあるので、その辺りを調べてみました。九大の昆虫学データベースによると、学名はMicromus multipunctatusということになっていますが、Catalogue of Lifeによると、現在はMicromus linearisのシノニムということになっています。これについては次の論文に事情が載っていました。

V. J. Monserrat, "New Data on some Species of the Genus Micromus Rambur, 1842 (Insecta: Neuroptera: Hemerobiidae)", Annali del Museo civico di storia naturale Giacomo Doria 89, 477 (1993). (ここからダウンロードできます)

それによると、M. linearisはもともとスリランカで記録されていたものですが、日本で記録されていたM. multipunctatus♀の交尾器を調べたら同じだったということです。この種の前翅ではM3+4脈とCuA脈が途中で合流するという特徴があるのですが、この個体で調べるとまさにそうなっていました。やはり、ホソバヒメカゲロウ M. linearisでよいのかなと思いました。(追記2017/10/22:「前翅ではM3+4脈とCuA脈が途中で合流する」というのはMicromusの共通の特徴でした。ということで、まだ名前は確定されていません





その他の虫です。腹の先端が尖っていて、腹部の上側に腹柄がくっついているので、たぶん、ハリブトシリアゲアリだろうと思いました。



こちらはいつもいるヒゲナガカワトビケラです。



アザミウマがひっくり返って死んでいました。折角だから採集して、先ほど検索をしてみました。クダアザミウマ亜科Ponticulothrips属になったのですが、詳細はまた今度お見せします。(追記2017/10/22:検索が間違っていました。たぶん、オオアザミウマ亜科ではないかと思います。体長は3.1mm。もう一度、検討してみます



大きなジョロウグモがいました。近寄ると急に動いたので、びっくりしました。やはりクモは怖いです。



こんな小さな毛虫もいました。模様から、たぶん、ヨツボシホソバという蛾の幼虫だと思います。



もう少し大きめの毛虫です。ヨトウガの仲間っぽいのですが、こうなるとよく分かりません。まったく手が出せないのも癪なので、少し調べてみました。「原色日本蛾類幼虫図鑑」の後ろに蛾類の幼虫について詳しい説明が載っているのですが、まったく理解していませんでした。この毛虫を材料に少し調べてみようかと無謀なことを思いつきました。



まずは全体像からです。体の横に黒い点が並んでいます。胸部第1節と腹部1-8節にある気門です。これより上を背域と呼び、それから下にかけて側背域、亜基節域、基節域、腹域の5つの部分に分けます。この辺りはいろいろな流儀があるようですが、これはこの文を書かれた六浦晃氏の説を採用しています。背域は模様から便宜上、背域と亜背域とに分けられます。従来まで表面の模様から分けられていたのを、六浦氏は筋肉の配置からこのように分けたそうです。



頭部、胸部、腹部第1節あたりを拡大してみました。まず、眼は個眼が6つ並ぶのが普通だということなのですが、どういうわけか3つしか写っていません。今度、正面から写してみます。次は刺毛についてです。これも六浦氏の方式に従うと、背域にある刺毛にTという記号を付け、長さの順に1、2、・・・と番号をつけていきます。亜背域はST、側背域はPN、亜基節域はSC、基節域はC、腹域はSという記号で書いていきます。このようにして各体節ごとに名前を付けていきます。この写真では背域と亜背域がよく見えていて、側域が少し、それに基節域も一部見えているので分かるところだけ記号を付けてみました。なんせ写真が不鮮明なので、毛の位置や長さまではほとんど分かりません。今度撮るときにはこんなところに気をつけながら撮ったらいいなと思いました。それにしても、毛むくじゃらのヒトリガの幼虫の時はどうやって毛に名前を付けていくのだろう。

追記2017/10/22:幼虫の体の区分けで、側背域 paranotal areaがよく分かりません。

A. Mutuura, "On the Homology of the Body Areas in the Thorax and Abdomen and New System of the Setae on the Lepidopterou s Larvae", Bull. Univ. Osaka Pref. B6, 93 (1956). (ここからダウンロードできます)

この論文には一応説明が載っていますが・・・。要は、
背域と側域の間にあって、胸部については将来、翅になる器官を含む部分のことを指しています。終齢幼虫だと翅の基になるものが実際にでき、この領域の境界には溝ができるそうで、その溝は成虫になってからは胸部側板を分ける溝に該当するとのことです。腹部については胸部と相同な部分があるとされています。ただ、この写真の幼虫だとそんな溝は見えないので、なんだか分かりません。たぶん、気管に沿って走る線上に刺毛が2本ずつあるように見えるのですが、これが側背域の刺毛なのかもしれません
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