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家の近くのむし探検 チュウレンジバチ類幼虫とヤドリバエ

家の近くのむし探検 第341弾

10月10日に家の近くにある国道沿いの茂みを歩いていたら、面白い光景に出会えました。



以前にもノバラにこんな幼虫がいっぱいついていたのは見たことがありました。チュウレンジバチの仲間の幼虫です。このときは、「大阪府のハバチ・キバチ類」を見て、バラ科を食草とするのは、アカスジチュウレンジ、シリグロチュウレンジ、ニホンチュウレンジ、チュウレンジバチの4種だったので、そのうちのどれかかなと思っていました。



この日はそこにヤドリバエが来ていました。幼虫に産卵しようと狙っているのです。



あちこち飛び回って獲物を探しているようです。



こんなところから顔を出したりしています。



そのうち、獲物を定めたようです。しばらく、こんな格好でじっとしていました。



やがて、腹部を曲げて産卵の態勢に入っていきます。実は、ヤドリバエがルリチュレンジの幼虫に産卵するところは以前にも見たことがありました。ただ、その時は後ろ向けだったので、うまく撮れませんでした。今回は横からなので好都合です。



そして、産卵態勢になりました。こんな格好で意外にじっとしています。



どうやら産卵が終わったようです。でも、幼虫を見てもどこにも卵はついていません。失敗だったのかな。

ところで、このハエ、以前、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で議論されているのを見つけました。そこでは、ヤドリバエ科のDrinomyia bicoloripesかもということで、次の論文が紹介されていました。

(1) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera, Tachinidae) : III. Descriptions of a New Genus and Two New Species from Japan, Korea and Nepal, with Notes on Drinomyia bicoloripes (MESNIL)", 昆蟲 48, 259 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、このハエはルリチュウレンジとアカスジチュウレンジでは飼育例があるとのことで、今回も大いに可能性があります。ただ、チュウレンジバチにもいろいろいるので、ひょっとしたら別のヤドリバエかもしれません。それで、ちょっと調べてみました。まず、「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Drinomyia bicoloripesはD. hokkaidensisのシノニムで、和名はキアシハリバエになっていました。Drinomyia属はこの1種だけなので、属を調べればよいかもしれません。ついでだから、次の論文と上の論文に載っている属の検索表で調べてみることにしました。

(2) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera Tachinidae) I", 昆蟲 47, 126 (1979).(ここからダウンロードできます)

Drinomyia属に至る検索の項目を和訳してみると次のようになります。



これはヤドリバエ亜科Blondeliini族の属への検索表でDrinomyia属に至る部分のみを抜粋したものです。赤字がいっぱいあって見にくいのですが、赤字は上の写真からでも何とか調べられそうな項目で、脚の剛毛、胸部側板の剛毛、翅の毛などは分かりそうにないので、黒字にしています。まず、8月8日にルリチュウレンジに産卵していたヤドリバエについて調べてみました。というのは、こちらの方がキアシハリバエである可能性が高いので・・・。





その時に写した写真です。この写真から、各部を拡大して調べてみます。



論文(1)によると、Drinomyia属を定義したのはMesnilで、その時は肩剛毛3本が三角形状に並ぶと書かれていたのですが、調べてみると、Oswaldia属ほどは明確ではなく、むしろ、中間の剛毛がやや前寄りになっている程度だったそうです。それで、論文(2)に載せた検索表を論文(1)では修正したとのことでした。従って、この肩剛毛の配置が一つのキーアイテムになっているみたいです。そう思って上の写真を見てみると、3本の肩剛毛はほぼ直線状で、真ん中の剛毛がやや前寄りになっているので、まさに書かれている通りです。そのほかにも、⑩の後頭部上部に黒毛がないとか、①の背側剛毛は横線前に3本、横線後に3本なので、dc3+3になることなど書いてあることとよく合っています。⑤の「3番目の翅背剛毛」が矢印のものかどうかよく分からないのですが、もしそうなら、強い剛毛になっています。



これは小盾板剛毛を示したもので、⑨に書かれている通り、側剛毛と亜端剛毛はほぼ同じ長さみたいです。



次は、⑤に関してです。検索表にはM3と書かれていますが、「原色昆虫大図鑑III」に従うと、M3+4と書いた方がよいと思って直しました。写真で示した部分がほぼ等長だというので、これも合っているようです。ということで、調べてない項目もたくさんあるのですが、肩剛毛の配列をはじめとして検索表に載っている項目に合っている項目も多いので、Drinomyia属である可能性はかなり高そうです。

そこで、今回の個体も調べてみました。



実は、写真が不鮮明で肝心の肩剛毛がはっきりしません。でも、そのほかの特徴は合っていそうです。



小盾板剛毛はその通りのようです。背側剛毛は一見、dc1+3のように見えるのですが、小さい剛毛をどこまで数えるかによるのではっきりはしません。



最後は翅脈でこれはOKです。ということで、写真がはっきりしないので何とも言えないのですが、Drinomyia属が1属1種なので、今度のも同じかなと思っています。

まだ、検索項目が何を指しているのかよく分からないところもあるのですが、採集したら何とかなるかもしれません。今まで、ヤドリバエに対してはお手上げ状態だと思っていたのですが、小さな糸口ができたかなと思っています。もっとも、ヤドリバエ亜科Blondeliini族だけですけど・・・。
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