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虫を調べる オオズアリ

この間から、マンションの前の石垣に小さなアリが群がっていました。



触角や脚が長いので、アシナガアリの仲間かなと思っていたら、



こんな頭の大きなアリも出入りしていました。これはオオズアリだと思って少し採集しました。折角、採集したから一度検索してみようと、顕微鏡撮影もして検索してみたら、やはりオオズアリになりました。それで、いざまとめようとしたら、実は、昨年の9月7日にも同じような検索をしていました。結果もまったく同じで、完全にダブってしまうのでどうしようかなと思ったのですが、折角だからもう一度出すことにしました。

検索には以前と同じ「日本産アリ類図鑑」の検索表を用いました。



最初は亜科の検索です。検索するとフタフシアリ亜科になったのですが、いつものように写真で確かめていきます。写真がない項目は赤字にしておきましたが、たぶん、大丈夫でしょう。



まず、これは働きアリです。体が折れ曲がっているので、体長が正確には分からないのですが、大顎を除いた体長は折れ線近似で2.9mmになりました。この写真では腹節が2節であることと、前伸腹節刺があることを確認します。



次は顔面の写真です。触角の挿入部が額葉に一部が覆われ、また、額葉が互いに離れていることを見ます。



最後は脚の爪で、見た通り単純です。これで亜科の検索項目がすべて確かめられ、無事にフタフシアリ亜科になりました。



次は属の検索です。全部で13項目もあって大変なのですが、これも写真で見ていきます。赤字はやはり写真にない項目です。



まずは全体像です。⑤はたぶん大丈夫でしょう。⑭もこの写真から確かめられます。



次は顔面の写真です。だいたいはほかの属を除外する項目なので、すぐに確かめられます。⑨の額隆起線というのは矢印で示した部分だと思います。



これは頭盾前縁中央に剛毛が1対あることを示した写真です。これらの写真は深度合成ソフトで合成しているのですが、細い剛毛は写真の一部にしか現れないので、合成すると消えてしまうことがよくあります。上の写真でもほとんど見えなくなっています。それで、剛毛が写っている近傍の写真だけで合成したものがこの写真です。1対あることが辛うじて分かります。



次は触角です。全部で12節、棍棒部が3節あることが分かります。第1節は長い柄節なのですが、画面に直角になっているので、先端だけが写っています。



これは胸部を側面から写したものです。前中胸が明瞭に隆起するとは見えないのですが、前伸腹節を基準にすると盛り上がっているようにも見えます。このことなのかなと思っています。



前伸腹節と腹柄節に関する項目ですが、たぶん、書いてある通りだと思います。



⑬は腹柄節の後縁が直線的であること、⑭は前伸腹節刺のことを指しているのだと思います。ということで、一応、ほとんどの項目を確かめたので、オオズアリ属ということになりました。



最後は種の検索です。ここでは兵アリが登場するので、両方の写真をお見せます。



これは先ほどの働きアリです。⑱は種を特定するときに特に重要だと思います。写真のように、後腹柄節の方が腹柄節よりずっと大きいことが分かります。



これは顔面ですが、⑰もOKでしょう。



次は兵アリです。頭がびっくりするくらい大きいですね。体が曲がっているので、体長が測りにくいのですが、折れ線近似で測ると、大顎を除いて4.2mmになりました。働きアリが2.9mmだったので、かなり大きいですね。これも後腹柄節の方が腹柄節よりかなり大きいところは同じです。



これが顔面です。⑰は頭盾前縁の波打った構造のことを指しているのかなと思ったら、よく読んだら腹面から見なければならなかったようです。それで、よくは分かりません。でも、突起がないという項目なのでたぶん大丈夫でしょう。写真がないところもいくつかあったのですが、これでオオズアリになりました。働きアリは以前の結果と同じだったのですが、兵アリが増えたところがプラスかな。

ついでに、検索に用いなかった写真です。



これは働きアリの頭部です。



こちらは兵アリの頭部です。かなり形が違いますね。



これはそれを拡大したもの。



これは兵アリの腹柄の写真です。前伸腹節気門の位置などは働きアリと同じでした。



最後も兵アリです。

ということで、以前とダブってしまったのですが、オオズアリの検索をしました。図鑑によると、「働きアリ階級は兵アリと働きアリの顕著な2型を示し・・・」ということだそうです。兵アリも働きアリ階級なのですね。Wikipediaによると、兵アリといっても、攻撃・防衛をするわけでなく、大型の獲物を捕らえた場合に出動して、運びやすいように大きな顎で裁断する役目を担っているようです。むしろ、強力な敵が来たときはいち早く巣の中に逃げて、やられないように温存されるようです。これは兵アリを作るためにも、維持するためにも多大のエネルギーが必要だからだそうです。
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非公開コメント

No title

昔はそこら中に居たのに、久しく見てません。
それにしても兵アリが実は裁断係だったとは…

No title

私もこんなに身近なところにいるとは知りませんでした。やはり、調べてみるものです。でも、アリはみな似ているので、調べないと分からないというところがネックです。

考えてみると、こんな頭でっかちな形をしていてはバランスが悪くてとても戦えませんね。働きアリの役割分担をしているのですね。そう思ってネットで探していたら、働かない働きアリの役割を調べた論文が見つかりました。面白そうなので読んでみます。アリも面白いですね。
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