家の近くのむし探検 オオアブラムシ、ジュンサイハムシなど
家の近くのむし探検 第316弾
9月2日に家の近くの公園で見た虫です。秋になってもうすっかり虫の姿が減ってしまいました。そんな中でも変わった虫もいました。今日は虫が少ないので、時系列で書いていきます。
まず、公園に着く前、マンションの廊下を通っているときに見つけた虫です。また、ヒメシャクです。どうもこの手の蛾は苦手です。外横線がはっきりしていて線状につながっています。また、前縁に近いところで少し曲がっています。こんなところからウスキヒメシャクかなと思ったのですが、どうだか分かりません。
続いてアカヒゲドクガです。
ヒトリガの仲間です。これにはキハラゴマダラヒトリとアカハラゴマダラヒトリという似た種がいて、腹部の色を見るとすぐに分かるのですが、こうやって止まっていると違いがなかなか分かりません。以前教えていただいたのですが、こうやって止まっているときには、翅の色と前腿節の色を見るとよいそうです。この写真の個体は翅が黄色味を帯び、前腿節が黄色いのでキハラゴマダラヒトリだと思われます。(追記2017/09/21:通りすがりさんから、「キハラゴマダラヒトリのオスですねえ。ヒトリガ亜科は、灯りに飛んできたオスばかり見てるんで、フィールドでメスを見付けると「おっ」と思ったり。この仲間は翅を平らにして腹部を曲げて腹背を見せる姿勢で擬死するんで、腹部の色も簡単に確認できますよ。」というコメントをいただきました)
やっと公園に着きました。最初に目についたのはこのハムシです。ニレハムシなどとは近い仲間で、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版と比べると、ジュンサイハムシが似ているようです。ハムシは詳しく調べてみようと思っていたので採集しました。図鑑の説明を読むと、イチゴハムシに似ているようです。この2種はともにGalerucella属に属していて、この属については次の論文に検索表が載っています。
S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. VI", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 287 (1964). (ここからダウンロードできます)
この論文にはGalerucella属として、grisescens(イチゴハムシ)とnipponensis(ジュンサイハムシ)の2種だけが載っていました。その検索表を訳すと次のようになります。
①bでアンダーラインの部分の訳はたぶん大丈夫だろうと思うのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」の説明とは違っています。もし、今回の個体がジュンサイハムシなら、図鑑の方が合っていそうなので、その部分を括弧内に書いておきました。いずれ、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(1994)で確かめることにしたいと思っています。
さて、この検索表に書かれている項目を使って上の個体を調べてみると、次のようになります。
もっとも重要な区別点は上翅会合部末端角で、この写真で見る限り、ほぼ直角になっています。イチゴの方は鈍角で丸まるということなので、たぶん、ジュンサイで合っているのではと思いました。色に関する部分は見えない腹部を除いてほぼ完ぺきに合っていました。ただ、触角の節の長さに関してははっきりしないので、今度、採集した個体で調べてみます。
ツツジの葉には相変わらずイトカメムシがいます。この日は幼虫を見つけたので、撮ってみました。
ツツジの葉を調べていたら、そのうち、異様なものを見つけました。最初、クモかなと思ったのですが、脚は6本です。体長は3.6mm。いったい何だろうと思ったのですが、腹部の両側に出ている突起が何となくアブラムシを連想させます。そこで、家に戻ってから、「アブラムシ入門図鑑」をぱらぱら見ていたら、それらしい種に出会えました。クリオオアブラムシです。クリやクヌギで周年見られるとのことです。「日本原色アブラムシ図鑑」には体長3.5-4mm、腹部は球状に膨れると書かれているので、たぶん、そうじゃないかと思いました。
ヒトリガ科のこの手の蛾はさっぱり分かりません。
そして、
最後は帰る途中で見たナガハマツトガです。
ついでに、9月1日に見た蛾も出しておきます。
この日は撮影に行かなかったのですが、マンションの廊下で見たシロシタケンモンです。初めて見ました。
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