廊下のむし探検 オオクサカゲロウ、トゲナシケバエほか
廊下のむし探検 第937弾
公園に行ったり、ちょっと遠くまで行ったりするのですが、結局のところ、マンションの廊下で虫を探すのが一番効率的ですね。ともかく見つけやすい!写真も撮りやすい!そんなわけで、8月25日もマンションの廊下を歩いてみました。一時と比べると虫の数は少ないのですが、それでも面白い虫がいました。
何の変哲もないクサカゲロウなのですが、ともかく大きいのです。体長を測ってみると20.6mmもありました。前翅長は23.9mm。普通よく見るスズキクサカゲロウの記録を見てみると、前翅長14mmと書いてあるので、その大きさが分かるかもしれません。
いつものように顔を拡大してみました。およそ黒紋は見当たりません。とりあえず、いろいろと撮影してから、家で調べてみました。検索にはいつもお世話になっている次の本の検索表を用いました。
S. Tsukaguchi, "Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)", private publishing (1995).
顔に紋がない、大型という特徴ははっきりしているので、意外に簡単に検索ができ、オオクサカゲロウ属Ninetaになりました。検索表でそこまでの部分を抜き出すと次のようになります。
原文は英語で、私が適当に訳しているので、話半分くらいで見ていただければ幸いです。検索は1b→3a→4aと進みます。その過程を写真で見ていきます。まず、1のfile-like structureがどんなものなのかよく知らないのですが、とにかく、写真では腹板側方に変なものは見えないので、1bを選びました。次の3は頭部に紋がないので、3aを選ぶと4に到達します。
4では前翅長が23.9mmなので、まず、4aを選んで調べていきます。次の触角柄節は上の写真のように長さの方が長いことが分かります。さらに、Psm脈とPsc脈を結ぶ横脈の数は9本でした。ということで、すべての条件を満足しているので、オオクサカゲロウ属Ninetaになります。塚口氏の本によると、この属にはヒメオオクサカゲロウ vittata、キタオオクサカゲロウ alpicola、オオクサカゲロウ itoiの3種が記録されています。その検索表を書くと次のようになります。
これも適当に訳したので、間違っているところがあるかもしれません。1では前胸背板の刺毛の色を見るのですが、上の写真でも分かりますが、ほとんど透明です。また、写真では分かりにくいのですが、段横脈の色は緑の脈と黒っぽい脈が混じっています。ということで、1bを選びます。2では小顎肢はほとんど色づいていないので、2bを選ぶと、オオクサカゲロウ N. itoiになることが分かります。たぶん、合っているのではと思っています。
次はこの虫です。この間から、ちょくちょく見かけるようになりました。前脚脛節に棘がないので、トゲナシケバエの仲間で、左右の複眼がくっついているので♂です。このままでは名前が分からないので、採集して交尾器を調べてみました。
これは腹側から写したものですが、見覚えのある形をしています。以前も調べたことがあるPlecia membranifera♂によく似ています。たぶん、これでしょう。例年8月終わりか9月初めにかけて発生しています。記録によると、5月、10月というのもありましたが・・・。
次は甲虫です。これは以前、
ウバタマムシがひっくり返っていたので、起こしてやりました。だいぶ弱っているのかほとんど動きません。
これはオオゾウムシです。
今頃、イナゴがよくやってきます。手すりに止まっていて、撮ろうとすると裏側にいくので、手でこちらに追いやって撮りました。たぶん、ハネナガイナゴ♂だと思うのですが、一度、ちゃんと調べてみたいなと思っています。
こちらはたぶん、
アオマツムシ。
それから、この間から出ているウスグモスズ♀です。後は蛾なのですが、それは次回に回します。
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