虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ(再)
(追記2017/10/06:これはサクラサルハムシであることが分かりました。それに従って、タイトルを「虫を調べる ハムシ科Pagria属(再)」を「虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ(再)」に変更をしました。詳細はこちらをご覧ください)
先日、ハムシ科の検索を初めて試みたのですが、忘れないうちにもう一度試してみようと思ってやってみたら、翅の色がだいぶ違うのですが、そのほかの部分は前回と非常によく似ていることが分かりました。ひょっとしたら同一種かもと思いながら、一応、まとめておくことにしました。
対象にしたのは翅の両側に橙色の帯が入ったこんな個体です。前回が真っ黒だったので、見た感じはだいぶ違います。でも、検索してみると、Pagria属になり、前回と同じになりました。翅の色は変異の範囲内なのか、それとも近縁種なのかはよく分かりません。とりあえず、各部の写真を撮り、それらを検索表の各項目と比べてみました。
まず、背側から撮った写真です。この状態で体長を測ると2.9mmになったのですが、どこからどこまで測ればよいのか分からないので、スケールバーを載せておきます。
前回と同様、Kimoto(1964)に載っている検索表を用いると、Pagria属になることを確かめるにはこの10項目を調べればよいことになります。そのうち、①から⑥までは亜科の検索です。(追記2017/09/03:上の検索表の中で属名が間違っていたので訂正しました。Colposcelis→Colposce。Colposcelisはゴミムシダマシ科の属みたいです)
いつものように検索表の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。これは腹側からの写真ですが、触角収容溝らしきものは見られません。また、腹部の節はほぼ平行で中央部分で圧縮されて狭まるということはありません。
次は頭部で、頭頂は突出していなくて、口器は下を向いています。また、触角の挿入口は互いに離れています。さらに、頭部が前胸に埋もれているというのもよく分かります。複眼の上で何か圧縮されるというのも見えません。
これは顔の頭部の拡大です。前額と頭盾の間に溝はなさそうです。また、複眼の上には明瞭な溝があります。
前胸背板の側縁は縁取られています。また、前胸腹板側縁は凹型になっています。こんなところも、以前に調べた個体とよく似ています。
こんな撮影をしていたら、後脚が取れてしまいました。それで、ついでに脛節の写真を撮っておきました。脛節末端はこの写真のように少しえぐられたようになっています。
これは脚の爪の部分です。検索で問題になるのは、爪が二つに割れているのを、付属物があると解釈するか、二裂しているとみるかという点です。何となく二裂を選びたくなるのですが、そうするとドウガネサルハムシの属するScelodontaか、モモブトサルハムシの属するRhyparidaが残るのですが、検索表上ではどちらも該当しませんし、また、見た感じも違うので、やはり、付属体と解釈するのでしょうね。
最後は脚の跗節で、跗節第3節が深く二裂しているのがよく分かります。
これで一応、Pagria属になりました。前回も書いたのですが、Pagria属については最近の研究があります。
今坂正一、南雅之、「日本産Pagria(キバネサルハムシ属)について―付.東南アジア産数種の研究」、佐賀の昆虫 44, 253 (2008). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
論文の内容は、Moseyko(2005)の論文で、日本にはPagria属3種を産するとあったのですが、調べてみたらもう一種見つかり、計4種いたというものです。検索表も載っているのですが、色に関する項目が多くて、今回の個体とは比較できません。ちょっと気になったのは、「頭頂の側縁は複眼の内側で弱く波曲する」というマルキバネサルハムシ P. ussuriensisの項目です。頭部の拡大写真を見ると、確かにそのような波曲が見られます。だとすると、これになるのですが、なんせ色が全く異なるので、何とも言えません。
先日、ハムシ科の検索を初めて試みたのですが、忘れないうちにもう一度試してみようと思ってやってみたら、翅の色がだいぶ違うのですが、そのほかの部分は前回と非常によく似ていることが分かりました。ひょっとしたら同一種かもと思いながら、一応、まとめておくことにしました。
対象にしたのは翅の両側に橙色の帯が入ったこんな個体です。前回が真っ黒だったので、見た感じはだいぶ違います。でも、検索してみると、Pagria属になり、前回と同じになりました。翅の色は変異の範囲内なのか、それとも近縁種なのかはよく分かりません。とりあえず、各部の写真を撮り、それらを検索表の各項目と比べてみました。
まず、背側から撮った写真です。この状態で体長を測ると2.9mmになったのですが、どこからどこまで測ればよいのか分からないので、スケールバーを載せておきます。
前回と同様、Kimoto(1964)に載っている検索表を用いると、Pagria属になることを確かめるにはこの10項目を調べればよいことになります。そのうち、①から⑥までは亜科の検索です。(追記2017/09/03:上の検索表の中で属名が間違っていたので訂正しました。Colposcelis→Colposce。Colposcelisはゴミムシダマシ科の属みたいです)
いつものように検索表の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。これは腹側からの写真ですが、触角収容溝らしきものは見られません。また、腹部の節はほぼ平行で中央部分で圧縮されて狭まるということはありません。
次は頭部で、頭頂は突出していなくて、口器は下を向いています。また、触角の挿入口は互いに離れています。さらに、頭部が前胸に埋もれているというのもよく分かります。複眼の上で何か圧縮されるというのも見えません。
これは顔の頭部の拡大です。前額と頭盾の間に溝はなさそうです。また、複眼の上には明瞭な溝があります。
前胸背板の側縁は縁取られています。また、前胸腹板側縁は凹型になっています。こんなところも、以前に調べた個体とよく似ています。
こんな撮影をしていたら、後脚が取れてしまいました。それで、ついでに脛節の写真を撮っておきました。脛節末端はこの写真のように少しえぐられたようになっています。
これは脚の爪の部分です。検索で問題になるのは、爪が二つに割れているのを、付属物があると解釈するか、二裂しているとみるかという点です。何となく二裂を選びたくなるのですが、そうするとドウガネサルハムシの属するScelodontaか、モモブトサルハムシの属するRhyparidaが残るのですが、検索表上ではどちらも該当しませんし、また、見た感じも違うので、やはり、付属体と解釈するのでしょうね。
最後は脚の跗節で、跗節第3節が深く二裂しているのがよく分かります。
これで一応、Pagria属になりました。前回も書いたのですが、Pagria属については最近の研究があります。
今坂正一、南雅之、「日本産Pagria(キバネサルハムシ属)について―付.東南アジア産数種の研究」、佐賀の昆虫 44, 253 (2008). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
論文の内容は、Moseyko(2005)の論文で、日本にはPagria属3種を産するとあったのですが、調べてみたらもう一種見つかり、計4種いたというものです。検索表も載っているのですが、色に関する項目が多くて、今回の個体とは比較できません。ちょっと気になったのは、「頭頂の側縁は複眼の内側で弱く波曲する」というマルキバネサルハムシ P. ussuriensisの項目です。頭部の拡大写真を見ると、確かにそのような波曲が見られます。だとすると、これになるのですが、なんせ色が全く異なるので、何とも言えません。
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