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虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ

追記2017/10/06:これはサクラサルハムシであることが分かりました。それに従って、タイトルを「虫を調べる ハムシ科Pagria属」を「虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ」に変更をしました。詳細はこちらをご覧ください

7月終わりに家の近くの公園でハムシを見つけました。





この写真は7月21日に撮ったもので、この時は脚が黄色いのでキアシチビツツハムシだと思っていると書いていました。たぶん、この時に採集したハムシだと思うのですが、冷凍庫に入れておいた個体があったので、先日、検索をしてみました。ただ、分からないところがだいぶあって、今まで時間がかかってしまったのですが、あまり遅くなるのもいけないなと思って、今日、まとめてみることにしました。



この図から測った体長は3.0mmでしたが、どこからどこまで測ればよいのか分からないので、スケールバーを入れておくことにしました。

ハムシ科の亜科の検索には以前紹介した次の論文を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. I", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 99 (1964). (ここからダウンロードできます)

検索をしてみた結果、サルハムシ亜科になったのですが、それに関連する部分だけを抜き出すと以下のようになります。



これにはキアシチビツツハムシの属するツツハムシ亜科など、関連する亜科も加えています。検索をしていくと、Ⓐ→Ⓑ→Ⓒ→Ⓓ→Ⓔb→Ⓕaと進んでサルハムシ亜科に行き着くのですが、その過程を顕微鏡写真で見ていきたいと思います。



これは頭部で、頭頂が突出していないこと、触角の挿入口が左右離れていること、頭部が前胸に埋め込まれるような形をしていることなどがこの写真から見て取れます。



次はその頭部を拡大したもので、前額と頭盾の境目には溝がないことが分かります。これにより、ハムシ亜科と区別することができます。



これは前胸背板を写したものですが、側面が縁取られていることが分かります(矢印)。



これは前胸腹板を斜めから見たところです。触角収容溝のようなものは見えません。



次は脚の跗節を見たものですが、第3節が深く二裂していることが分かります(黄矢印)。



最後は腹面を見たものですが、腹部の各節はほぼ平行に並んでいて、中心が圧縮されて狭くなっているようなことはありません。これでツツハムシ亜科とナガツツハムシ亜科を除外することができます。以上ですべての項目を確かめることができたので、このハムシはツツハムシ亜科ではなく、サルハムシ亜科であることが分かりました。

次は属の検索です。サルハムシ亜科の属の検索には次の論文に載っている検索表を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

実は、予想としてはアオバネサルハムシなどの属するBasilepta属だったのですが、この検索表を用いて検索すると、Pagria属になってしまいました。ちょっと意外だったので、間違っているかもしれないなと思って、検索表は関連するところをすべて訳しました。



検索していくと、①a→②a→③b→④aとなるのですが、②の脚の爪に関してはかなり怪しかったので、②bへの道も書いておきました。ただ、こちらを進むと、②b→⑥b→⑦aとなるのですが、⑧のところでつかえてしまいます。それで、とりあえず、最初の②aに進む道で説明していきたいと思います。なお、①b以下は省略しました。(追記2017/09/03:上の検索表の中で属名が間違っていたので訂正しました。Colposcelis→Colposce。Colposcelisはゴミムシダマシ科の属みたいです。どこで間違ったのかなぁ



実は、この写真、私にとっては衝撃的でした。複眼の上にこんな溝があり、頭頂の部分がまるで半島のように複眼から独立しているなんて思いも寄りませんでした。しかし、どう見てもこれは溝です。これでBasilepta属が除外されることになりました。次回は是非とも、Basilepta属を調べてみたいなと思っています。



次も先ほど出した写真ですが、前胸腹板の側縁が凹型に凹んでいることが分かります(黄矢印)。また、先端は反り返っていません(白矢印)。



これは脚の爪を写したものですが、爪が二つに割れたようになっています。検索表にあるappendiculateとbifidの意味がよく分からなかったのですが、ネットで調べると、どうやら二つに割れた爪の両方がほぼ同じくらいの大きさならばbifid(二裂)、片方が明らかに小さいとappendiculate(付属体)と呼んでいるようです(例えば、こちらのサイト)。そう解釈すると、これはappendiculateの方になり、②aに進むことになります。



最後は後脚脛節の写真で、末端部分の外側に黄矢印で示したような切れ込みを持っています。

これですべての項目を調べたので、どうやらPagria属で合っているような気がしてきました。なお、原論文ではColposce属になっていて、signataだけが記録されていました。この論文ではPagria signataはシノニムになっていたのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」にはPagria signata ヒメキバネサルハムシが載っていて、また、Catalogue of LifeにもこのPagria signataがaccepted nameとされていたので、ここではPagria属という属名を採用しました。ただ、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版ではPagria signataの鞘翅が黄褐色なのでだいぶ感じが違います。また、体長も1.8-2.4mmとなっていて、これも違います。果たしてこれでよいのかどうかずっと悩んでいました。ただし、図鑑によると、鞘翅の色は全体黒色のものもいるというのであるいは良いのかもしれません。何にしろ、複眼の上の溝が衝撃的でした。この辺り、もう少し調べてみたいと思います。

感想)ハムシを亜科から属の検索まで初めて試みてみました。複眼後ろの溝、前額や頭盾の位置、前胸腹板の形、前胸後側板の位置、腹節の形、爪の形状など、分からないところがいっぱいあり、いちいち、ネットや論文を調べていったので、ずいぶん時間がかかってしまいました。また、検索結果もだいぶ怪しいので、たぶん、間違っているのではと内心ハラハラドキドキしています。でも、たとえ間違っていても、いろいろと勉強にはなったなと思っています。もう少しハムシの検索をしてみようと、後2匹ほど捕まえていますので、今度調べてみます。
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