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家の近くのむし探検 ニホンチャイロヒメカミキリ?

家の近くのむし探検 第302弾

8月4日に家の近くの公園に行ったときに見つけた虫です。



名前調べに時間がかかったのは、公園に行く途中にマンションの廊下で見つけたこのカミキリです。同じような種はこれまで何度か見かけていたのですが、その都度、苦しんでいて、とりあえずチャイロヒメカミキリにしていました。今回はもう少し詳しく調べてみようと思って、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている属の検索表から調べてみました。



これはヒメカミキリ族の属の検索表で、ヒメカミキリ属 Ceresiumに至る過程を示したものです。①の前胸の幅と長さの関係ですが、後で表にしたように、たぶん、「前胸の長さは幅にほぼ等しいか、幅より長い」と直した方が適当だと思いました。



この個体では、ほぼ長さと幅は等しくなります。また、②は上の写真から、脛節はほぼ真っすぐというのが分かります。③はこの写真から前胸は側方が膨れていることが確認できます。それで、Ceresium属であることが分かりました。

九大の昆虫学データベースによると、Ceresium属は11種・亜種が載っていました。それをまとめたのが次の表です。



これらは、触角第1節、3節、4節の長さの関係、前胸の幅(W)と長さ(L)との関係、それに、前胸背板の隆起で区別することができます。それらをまとめたものがこの表です。一番右の欄はその他の特徴で、沖縄や対馬のように島に局在している種については×印を書き、まず、それらを除きました。名前の欄が橙色になっているものがそれ以外の種で、可能性のある種だと思っています。ただし、unicolorについては、「原色日本甲虫図鑑IV」の説明がよく分からなかったので、次の論文も参考にしました。

H. Waqa-Skiti, L. Winder, and S. W. Lingafelter, "Review of the genus Ceresium Newman, 1842 (Coleoptera, Cerambycidae) in Fiji", ZooKeys 532, 15 (2015). (ここからダウンロードできます)

ただ、この論文の記述もちょっとおかしいところがあったので、標本写真から判断して書き直したものが*を付けたものです。

上の写真でLとWがほぼ等しいことから、ヨコヤマ、ニホンチャイロ♀の2種に絞られます。さらに、触角第3節と第4節の長さの比較から、ニホンチャイロ♀の可能性が高くなりました。♀であることは、以前見た個体より今回の個体の触角の方が短いので、確かかもしれません。問題は触角第1節の長さです。上の写真では第1節が斜めに写っていて正確な長さが分かりません。それで、仮にそれが下の面に対して45度になっていると仮定して、√2=1.414を実測値にかけたものが図に書きいれた0.99という数字です。この見積もりが合っているとすると、第1節と第3節はほぼ等しくなり、ニホンチャイロ♀の記述と一致します。でも、かなり怪しいです。前胸背板の縦隆起線については中央にありそうなことは分かるのですが、これが明瞭というべきものか、幾分不規則というべきものなのかは判断できませんでした。でも、ここまでの情報では、ニホンチャイロヒメカミキリ♀の可能性がもっとも高いという結論になりました。合っているかなぁ。





そのほか、公園で見た甲虫はこのウスイロサルハムシ2匹だけでした。ちょっと長くなったので、ここで一旦やめておきます。(追記2017/10/06:これはサクラサルハムシかもしれません。詳細はこちらをご覧ください
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