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家の近くのむし探検 イトカメムシほか

家の近くのむし探検 第301弾

8月2日に公園に行ったときに見つけた虫です。



今日はまず、このイトカメムシからです。この日はアリを捕食しています。この間は小さなハチでした。どうも、イトカメムシはハチ目が好きみたいですね、と書こうと思って、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見ると、「植食性で、キリ、クサイチゴなどによく見られるが、ときにアブラムシなどを捕食することが知られる」と書かれていました。この公園ではそもそもツツジの葉上でばかり見つけるし、ハチの仲間ばかり捕まえているしと、疑問が湧いてきました。それで、少し調べてみました。たぶん、アブラムシというのは次の論文によっていると思われます。

K. Kohno and Y. Hirose, "The Stilt Bug Yemma exilis (Heteroptera: Berytidae) as a Predator of Aphis gossypii (Homoptera: Aphididae) and Thrips palmi (Thysanoptera: Thripidae) on Eggplant", Applied entomology and zoology 32, 406 (1997). (ここからダウンロードできます)

この論文では植食性として知られていたイトカメムシが、実はナスにくるアブラムシやアザミウマの天敵になっていたという内容ですが、その序文に、以前の論文を引用して、大豆、キリ、ゴマ、キイチゴ、クズなどに寄生すると書かれていました。いずれにしても、ツツジもハチも出てきませんでした。この論文を引用している論文は全部で4件あるのですが、作物の害虫アザミウマに関するものがほとんどでした。イトカメムシの生態はあんがい知られていないのかもしれませんね。(追記2017/09/21:おちゃたてむしさんから、「こちらで観察されているツツジの種類は分かりませんが、モチツツジでは腺毛に捉えられて動けなくなったり死んだりした小昆虫をイトカメムシが吸汁しているのをよく見かけます。他のツツジでも多少葉が粘つくものがあるようなので、ここで紹介されたハチやアリを食べている場面も同様の状況ではないかと思います。」というコメントをいただきました。こちらのはモチツヅジではないと思うのですが、確かに、アリも変な恰好をしていますね。たぶん、仰る通りだと思います。対象はなんでもよいのかな。これからももう少し観察してみます)(追記2017/09/21:通りすがりさんから、「千葉でも長野でもモチツツジの分布外ですが、やはりベタつくオオムラサキに居ますね。こちらの写真のツツジもオオムラサキかも。」というコメントをいただきました。オオムラサキとは何なのか、この後調べてみました。詳細はそちら



ついでに、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に書かれている内容を読むと、小盾板にある突起と臭腺開口域についても書かれていました。それで、ちょっと写真で調べてみました。上の写真で示したのがそうかなと思ったのですが、特に、臭腺開口域に関する記述の載っている文献がまったく見つからず、本当かどうか分かりません。小盾板の突起については「原色昆虫大図鑑III」には「突起を欠き」と書かれ、上の図鑑では「ときに見られる」となっていました。位置が前胸背と小盾板の境にあるみたいなので、果たしてこの突起のことを指しているのかどうか分かりません。いずれにしても、一度、捕まえてちゃんと調べてみたくなりました。



これは交尾しているところです。最近はよく見かけます。



そのほかでは、桜の幹を見てみたらイダテンチャタテの幼虫が見つかりました。この間見たのが3月だったので、5か月ぶりですね。といっても、あまり幹を見ていなかったからかも。



後はいつもの虫たちです。真上から写さなかったので、よく分からないのですが、これはいつものアオバネサルハムシかな。



フチグロユスリカ♂。



フタスジツヤユスリカ♂。(追記2017/08/08:ナカオビツヤユスリカ♂の間違いでした



これもツヤユスリカ♀だと思うのですが、「図説日本のユスリカ」にはこの手の腹部パターンを持つものはは出ていません。それで、一つ調べてみようと思って、「日本昆虫目録」を見てみたのですが、ツヤユスリカ属Cricotopusで本州に分布するだけでも、Crocotopus亜属26種、Isocladius亜属7種、Nostococladius亜属1種、Pseudocricotopus4種と大変な数がいることが分かりました。ちょっと挫折です。



ニクバエの仲間。



アミメアリ



ベニモンアオリンガ



イトカメムシを捕まえているネコハエトリ



それにアズチグモ♂でした。



残りはマンションの廊下ですが、これはカエデシャチホコというみたいです。初めて見ました。「日本産蛾類大図鑑」によると、6-7月と9月に出現、幼虫の食草は名前通りカエデ類だそうです。触角が櫛歯状なので♂みたいです。



後は名前の分からないコケガ。



ハガタベニコケガ



それにヒメナガカメムシでした。

雑談)土曜日と日曜日に地域のコミュニティーの施設を借りて、自然展というのを開きました。今回は一人でなく、四人だったので気分的には楽で、内容も鳥、花、カニとそれぞれが好きな分野で出したので、多岐にわたっていました。でも、果たして見に来てくれるかどうか心配でした。10時に開場して、最初は扉の外で呼びかけまでしたのですが、そんなことは全く必要がなかったです。次から次へと客足が途絶えることなく見に来ていただき、嬉しい悲鳴となりました。展示だけでなく、解説しますとポスターにも書いておいたので、私も朝から昼過ぎまで、ずっと説明をしていました。お陰で声がすっかり涸れてしまいました。翌日は暑かったのでさすがに人は来ないだろうと思っていたのですが、こちらも前日と同様に人が来られ、会場を貸していただいたコミュニティーの方にも喜んでいただけました。やはり四人ですると、それぞれの知り合いに声をかけるので、見に来られた方も多かったみたいです。いつもの虫展と違い、かなりやりがいがありました。
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おはようございます。こちらで観察されているツツジの種類は分かりませんが、モチツツジでは腺毛に捉えられて動けなくなったり死んだりした小昆虫をイトカメムシが吸汁しているのをよく見かけます。他のツツジでも多少葉が粘つくものがあるようなので、ここで紹介されたハチやアリを食べている場面も同様の状況ではないかと思います。

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おちゃたてむしさん、こんにちは
こちらのはモチツヅジではないと思うのですが、確かに、アリも変な恰好をしていますね。たぶん、仰る通りだと思います。なんでもよいのかな。これからももう少し観察してみます。コメント、どうも有難うございました。

No title

千葉でも長野でもモチツツジの分布外ですが、やはりベタつくオオムラサキに居ますね。
こちらの写真のツツジもオオムラサキかも。

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こんにちは。ツツジはどうやって調べればよいのかなぁ。ちょっと調べてみます。でも、ベタつくというのは本当かもしれませんね。
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