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廊下のむし探検 ツユムシ、クサカゲロウ、チャタテほか

廊下のむし探検 第931弾

7月23日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の紹介です。最近は公園によく出かけているのですが、実のところ、マンションの廊下を歩いた方がたくさんの虫に出会えます。でも、何となく外に出かけた方が面白い感じがして出かけているのですが・・・。この日も廊下で20数種の虫が見つかりました。そのうちの一部を紹介します。









まずはマンションの庭にある花壇で見つけたバッタです。こんな幼虫は以前はどうしようもなかったのですが、先日教えていただいた「虫の音World」というサイトにある「幼虫の部屋」というページには、幼虫の写真がたくさん出ています。それで、一種ずつ調べていったら、似たような種が見つかりました。ツユムシの1齢か2齢幼虫です。そのものずばりかどうかは分かりませんが、この近傍であることは確かそうです。





次はこれです。変わった姿ですが、以前も見たことがありました。マツムラクサカゲロウです。3年前の11月に見ていました。この時は採集して、詳しく調べていました。小さいくせになかなかごつい顔をしています。





こちらはこの間も見たフタモンクサカゲロウみたいです。



トビケラはなかなか調べるところまでいきません。





これは小さなチャタテです。上の写真の矢印のところに四角い縁紋があるのでウスイロチャタテ科です。色からたぶん、以前にも見たクリイロチャタテ周辺の種だと思います。これも詳しく調べたことがありました。ただし、調べていた途中で腹部を針で飛ばしてしまってはっきりはしなかったのですが、クリイロチャタテの可能性が高いという結論でした。今回は捕まえなかったので、それ以上はよく分かりません。





次はこのチャタテです。実は、名前調べに一番時間がかかったのがこれでした。まず、翅脈を見てみます。



前縁付近のR脈から縁紋の後縁に沿って色の濃い線が走っています。このチャタテの特徴はr1-rsという縁紋とRs脈を結ぶ横脈があること、後小室があって、これとM脈を結ぶm-cu横脈があることです。これだけでホソチャタテ科であることが分かります。なお、翅脈の名称はいつもお世話になっている次の論文によっています。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)



ついでに後翅も見えていたので、そちらも名前を入れておきました。そこで、いつもの富田氏の論文の検索表を使って調べてみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

ただし、ホソチャタテ科の種の検索表には吉澤氏による"Checklist of Japanese Psocoptera"には載っていない種が複数あったので、それらは除いています。また、和名は九大の昆虫学データベースを参考にして書きました。



この検索表で調べると、①b→②bと進み、Stenopsocus aphidiformisか、Stenopsocus pygmaeusのどちらかとなります。この両者はCu2(上の写真ではCuP)上に毛があるかどうかなのですが、写真ではそこまでの解像度がありません。そこで、翅脈から調べてみようと思って、この両者が載っている論文を探してみました。

G. Enderline, "Die Copeognathen-Fauna Japans", Zoologische Jahrbücher. Abteilung für Systematik, Geographie und Biologie der Tiere 23, 243 (1906). (ここからダウンロードできます)

まずは記載論文です。この中に、Stenopsocus niger, Stenopsocus aphidiformis, Stenopsocus pygmaeusの3種が載っていました。こんな1906年の論文が自由にダウンロードできるなんて感激です。ただし、ドイツ語なのですが・・・。

P. Soysouvanh, G. Cho, and K.-J. Hong, "Taxonomic Review of the Psocids (Psocoptera) in Korea", Korean J. Appl. Entomol. 56, 69 (2017). (ここからダウンロードできます)

次はこの論文です。これは今年の論文です。この中では、Stenopsocus immaculatus、Cubipilis aphidiformisの2種が載っていました。このCubipilis aphidiformisはStenopsocus aphidiformisのシノニムらしいことがこのサイトに載っていました。

これらの論文に載っている翅脈を見てみると、Stenopsocus aphidiformis, Stenopsocus pygmaeusの2種は翅脈上は区別がつかないみたいです。むしろ、今回の種はこれらの種より、Rs+M脈の長さが非常に短い(赤矢印)、三角形になった後小室の底辺が狭いという点に違いが見られました。Stenopsocus aphidiformisの縁紋後縁の濃色部分はElderlineの論文では淡色なのですが、Soysouvanの論文では今回と同様に濃色なので個体差があるのかもしれません。こんなところから、今回の種はこの両者か、あるいはそれらに近縁の別種なのかはっきりとは分からないというのが結論です。いずれにしても、CuP脈の毛だけは調べたかったですね。採集すればよかった・・・。(追記2017/08/03:Catalogue of Lifeを見ると、Stenopsocus aphidiformisはCubipilis aphidiformisのシノニムになっていて、後者がaccepted nameとなっているようです。一方、同じCatalogue of Lifeにはこんなページもあって、2000年にStenopsocus aphidiformisが新しく命名されたような記述もあります。訳が分かりませんね
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