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家の近くのむし探検 ヒトスジシマカ

家の近くのむし探検 第294弾

7月23日に公園に行って見つけた虫です。この日もいろいろと見られたのですが、その中で蚊を調べてみました。







今日の最初はこの蚊です。どうもいつものヤブカと違います。しかも、触角を見ても、膨れたおなかを見てもいかにも♀です。それで、こわごわ近寄って写したので、写真がどれもはっきりしませんでした。それでも、名前を調べてみようと、いつも利用させていただく農研機構動物衛生研究所の「蚊の情報」を見てみました。写真では詳細が分からないところが多くて検索表を追いかけることができません。でも、ぱらぱら見ていると、胸背に一本筋のあるのはヤブカ属のヒトスジシマカ周辺の種のようです。この辺だけの検索表を見てみると、ヒトスジシマカか、ヤマダシマカかということになるのですが、その区別がちょっとはっきりしません。

それで、ネットを探していたら次の論文を見つけました。

K. Tanaka, K. Mizusawa, and E. S. Saugstad, "A Revision of the Adult and Larval Mosquitoes of Japan (Including the Ryukyu Archipelago and the Ogasawara Islands) and Korea (Diptera: Culicidae)", Contrib. Amer. Ent. Inst. 16, 1 (1979). (ここからダウンロードできます)

これは900ページ以上にもなる大作です。蚊の形態についても詳細な説明があり、検索表もあり、すばらしい文献で、蚊はどんとこいという感じです。そこで、早速、使ってみることにしました。ヒトスジシマカはAedes属Stegomyia亜属に入っていたので、その亜属の種への検索表を見てみました。



その部分だけ訳したものがこれです。実は分からない表現が多くて結構翻訳には苦労しました。ここで出てくる種は、galloisi(ミスジシマカ)、riversi(リバースシマカ)、flavopictus(ヤマダシマカ)、albopictus(ヒトスジシマカ)の4種です。上の写真だけでは分からないところがかなりあったのですが、頑張って検索をしてみると、とりあえず、ヒトスジシマカには達しました。その過程を写真で見ていきたいと思います。


この写真では盾板中央に白い一本筋があることと、複眼が上部で離れていることを見ます。ついでに、触角がこんな感じなのは♀で、♂はもっとふさふさです。



この写真では分からなかったところが多かったのですが、?で書いているのが確かめられなかった部分です。中心に長く伸びているのが口吻、根元にあるのが口肢(小顎肢)です。口肢の節までは分からなかったので?です。また、fossal areaは肩後あたりなのですが、これもよく分からないので?です。ミスジシマカは両横に筋があるので三筋なのですが、これにはありません。



④bはここにある模様についてなのですが、動物衛生研究所では「胸背後方のW字斑」と書かれていました。確かにW字型に見えなくはありません。ここが白だとヒトスジシマカ、黄色だとヤマダシマカと書かれているのですが、ちょっとはっきりしません。でも、白い感じですね。



この写真を見ると、③bはともにOKみたいです。②bのpostspiracular areaは矢印の部分ではないかと思うのですが、はっきりしません。ちなみにpostspiracularは気門の後ろという意味です。もう少し鮮明な写真を撮ればよかったと後悔しています。



最後は後脚跗節第4節の白色部分の長さなのですが、実測は0.60-0.61になりました。ヤマダシマカはこれがもっと長いので、たぶん、ヒトスジシマカでよいのではと思いました。いろいろと分からないところが多かったのですが、一応、検索表は追いかけられたので、たぶん、大丈夫ではないかと思います。ヤマダシマカか、ヒトスジシマカの区別にはこの後跗節第4節を見るのが一番簡単みたいです。なお、「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、この属と亜属はStegomyia属Quasistegomyia亜属になっていました。また、ヤマダシマカはflavopictusの亜種flavopictaになっていました。

他の虫は次回に回します。
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