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虫を調べる キクイムシの検索で苦戦

この間から、マンションの廊下でキクイムシをよく見かけるので、一度検索をしてみようと思って採集してきました。でも、論文の英語で分からないところがあったり、検索の項目で迷うところが何か所かあったりで、散々迷いに迷っています。でも、いつまでも抱えていても仕方がないので、一度出そうと思って、まとめてみました。



調べたのはこのキクイムシです。検索表は次の論文のものを用いました。

A. Nobuchi, "Studies of Scolytidae IX (Coleoptera) Key to the Subfamilies, Tribes and Genera of Japan", Bull. Gov. For. Exp. Sta. 238, 149 (1971). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この中には亜科、族、属の検索表がそれぞれ載っていて、また、図も豊富に用意されているので、一見、検索は簡単そうなのですが、よく分からないところも多く、意外に苦戦しました。とりあえず、検索の結果、Ipinae亜科になり、次いで、Xyleborini族になったのですが、この族への検索が怪しいかもしれません。仮にこれが合っているとすると、ほぼ間違いなくXyleborus属にはなります。このように怪しいところが多いのですが、とりあえず、Xyleborus属に至る過程を写真で見ていきたいと思います。



まずは亜科への検索です。①から③までを確かめることにより、Ipinae亜科になります。いつものように、検索順でなく、部位別に調べていきたいと思います。



まずは背側から写したものです。体長をどうやって測ったらよいのか分からないので、寸法を入れておきました。ここでは前胸背板側縁が凹まないことと前胸背板中央部に穴のないことを見ます。それぞれ矢印で示した部分です。次に上翅の前縁が前胸背板側に伸びていないことを見ます。




次は横から見たものです。丸い頭部がこんな下側についています。これでは上から見えないはずです。



次は口の部分を見たものですが、顎葉というのがよく分かりません。たぶん、①で示した部分だと思うのですが・・・。この内側に毛が生えているので、①はそのことかなと思っています。



これはその部分を拡大したものです。毛が生えていることだけは確かです。体のわりに大顎がしっかりしています。さすが、キクイムシといわれるだけはあります。



これは前胸背板で、表面が凸凹していることが分かります。これが③です。後方に向いた刺(spines)は刺毛のことかなと思いました。



これは前脚脛節ですが、①の腹面の皺というがはっきりしないのですが、論文の絵から①→のところにある凹みのことを指しているのではと思いました。これにはないのでOKです。②は歯状の突起です。これで、すべての項目を確かめたので、たぶん、Ipinae亜科までは確かだと思います。



次は族と属への検索です。⑧についてはどうも自信がないので、⑧aとbの両方を書いています。また、英語が分からないところがあるので、元の単語と注釈を入れています。



これは複眼を写したものです。複眼は2分していないことは確かなのですが、内側が深くえぐれているようにも見えます。これは、たぶん、"not or"と書いてある英語の解釈が間違ったのかなと思っています。もう一方の項目では「複眼は2分する」なので、たぶん、大丈夫だと思いますが・・・。



④は触角のこん棒状部の形で、丸いというより、上が扁平な半球型みたいな感じがしますが、もう一方の項目が長細いというので、これでもOKでしょう。⑧aの額葉の放射状の棘というのがあるような気がしたので、⑧bも書いてみました。ただし、この後で出てくる中・後脛節の形は明らかに⑧aが正しいので、たぶん、大丈夫だと思うのですが、怪しいところです。



これは属の検索で出てくる項目で、鞭状節(たぶん、中間節のこと)は5節です。


ここは前胸背板と上翅に関するもので、項目がたくさんあります。たぶん、すべてOKでしょう。




これは腹側から見た写真です。後胸前側板は矢印で示した部分だと思いますが、明瞭に見えています。また、前脚基節の基部は互いに接するほど接近しています。



これは、たぶん、後脚脛節の写真ですが、途中で太くなって徐々に細くなっています。それで、⑧aで合っているのではと思っています。これで、Xyleborus属にはなったのですが、額葉のあたりがどうも不明確です。論文にはその部分の絵も載っているのですが、どうもこの個体とは違うようで、怪しいところです。解釈が違っているかもしれません。今度、別の種の検索をしてみると、あるいは分かるかもしれません。

ついでに撮った写真です。



前胸背板を拡大したものです。まるで鱗のようになっています。



さらに拡大してみました。まるでまつぼっくりですね。変わった構造です。



最後は額葉と触角を撮ったものです。

キクイムシの検索を初めてやってみました。検索表の英語の表現が分からなくて、翻訳に苦労しました。だいぶ癖のある英語でした。とりあえず、Xyleborus属にはなったのですが、次の論文によると、Xyleborus属には49種が記録されていて、たとえ、属の同定が合っていたとしても先はまだまだ長いです。

後藤秀章、「日本産キクイムシ類分類学研究の歴史と種のリスト」、日林誌 91, 479 (2009). (ここからダウンロードできます)
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