「廊下のむし探検」 コメツキの検索(雑談)
先日、家の近くにある林の入口の道でコメツキを見つけました。
いつもなら写真を撮るだけなのですが、一度検索をしてみようと思って採集してきました。コメツキの検索は「絵解きで調べる昆虫」という本の中に、大平仁夫氏の「コメツキムシの絵解き検索」という節があって、この中に詳しく載っています。実は、以前にもこの本を手がかりにコメツキの検索をしてみたことがあったのですが、分からないところが多々あって最後はもやもやで終わってしまいました。その原因は検索表に書かれている内容がよく分からなかったことと、本文中にある検索表と図で示された分岐図が違うことでした。。
昨日、上のコメツキの検索を始めたのですが、再び、同じようなところで躓いてしまいました。途中で諦めようかと思ったのですが、もう一度本の説明をじっくり読んでみようと思って、そこに引用されている文献を当たってみることにしました。
J. N. L. Stibick, "Classification of the Elateridae (Coleoptera) - Relationships and classification of the subfamilies and tribes", Pacific Insects 20, 145 (1979). (ここからpdfを直接ダウンロードできます)
この中に載っている図を見てはたっと気が付きました。その部分を日本語に訳して図示してみると、次のようになります。
これはコメツキの祖先からいろいろな形質を獲得して、現在の亜科になっていく様子を模式化したものです。例えば、最初に中・後腹板が合着しているか、離れているかで2つに分岐し、さらに、爪の基部の刺毛のあるなしでさらに分岐しという風に各亜科に分かれています。これは形質の変化を表しているだけなので、必ずしも検索表にはなっていません。例えば、一番上の分岐を進むと、一度、「爪の基部に刺毛」があると言いながら、その先には「爪の基部に刺毛を欠く」という形質があり、一見、矛盾しています。でも、これは「爪の基部に刺毛」にある状態から、形質が変化し、刺毛がなくなったものが出てきたと解釈すればよいようです。たぶん、大平仁夫氏の「コメツキムシの絵解き検索」の中の図もこれを模して描かれたものだと思われます。いずれにしても、この図を見ると、コメツキを分類する上で重要な形質がよく分かります。
ちょっと分かって喜んでいたのですが、ここで扱われた亜科の名称が大平氏の記事の中に出て来る亜科とはだいぶ違っています。ここで再び悩んでしまいました。いろいろと調べているうちに次の論文を見つけました。
P. Bouchard et al., "Family-group names in Coleoptera (Insecta)", Zookeys 88, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)
この論文は甲虫の各科の亜科、族で現在認められている名称とその変遷をリストアップしたもので、全972ページの膨大なデータです。この中にコメツキムシ科の亜科も載っていました。その対応を図示すると次の様になります。
左端がStibickの扱った亜科、右端は大平氏の記事に出てくる亜科です。中央はこの論文にあるリストで、赤字はこのリストに載っていない亜科名です。赤字の亜科については対応がやや怪しいのですが、破線で結んでみました。大平氏の扱った亜科はほぼ2011年のリストに対応していますが、Stibickが用いた亜科名はかなり変わっていました。
ということで、コメツキの検索が少しだけ分かってきたという感じがします。今回の個体で言えば、コメツキ亜科とカネコメツキ亜科のどちらかになったのですが、その区別に頭部の形状と口器の向きを使います。ここが分からず躓いていました。でも、上の模式図を見ながら考えてみると、ちょっと分かったような気がしました。その結果はまた今度載せることにします。
いつもなら写真を撮るだけなのですが、一度検索をしてみようと思って採集してきました。コメツキの検索は「絵解きで調べる昆虫」という本の中に、大平仁夫氏の「コメツキムシの絵解き検索」という節があって、この中に詳しく載っています。実は、以前にもこの本を手がかりにコメツキの検索をしてみたことがあったのですが、分からないところが多々あって最後はもやもやで終わってしまいました。その原因は検索表に書かれている内容がよく分からなかったことと、本文中にある検索表と図で示された分岐図が違うことでした。。
昨日、上のコメツキの検索を始めたのですが、再び、同じようなところで躓いてしまいました。途中で諦めようかと思ったのですが、もう一度本の説明をじっくり読んでみようと思って、そこに引用されている文献を当たってみることにしました。
J. N. L. Stibick, "Classification of the Elateridae (Coleoptera) - Relationships and classification of the subfamilies and tribes", Pacific Insects 20, 145 (1979). (ここからpdfを直接ダウンロードできます)
この中に載っている図を見てはたっと気が付きました。その部分を日本語に訳して図示してみると、次のようになります。
これはコメツキの祖先からいろいろな形質を獲得して、現在の亜科になっていく様子を模式化したものです。例えば、最初に中・後腹板が合着しているか、離れているかで2つに分岐し、さらに、爪の基部の刺毛のあるなしでさらに分岐しという風に各亜科に分かれています。これは形質の変化を表しているだけなので、必ずしも検索表にはなっていません。例えば、一番上の分岐を進むと、一度、「爪の基部に刺毛」があると言いながら、その先には「爪の基部に刺毛を欠く」という形質があり、一見、矛盾しています。でも、これは「爪の基部に刺毛」にある状態から、形質が変化し、刺毛がなくなったものが出てきたと解釈すればよいようです。たぶん、大平仁夫氏の「コメツキムシの絵解き検索」の中の図もこれを模して描かれたものだと思われます。いずれにしても、この図を見ると、コメツキを分類する上で重要な形質がよく分かります。
ちょっと分かって喜んでいたのですが、ここで扱われた亜科の名称が大平氏の記事の中に出て来る亜科とはだいぶ違っています。ここで再び悩んでしまいました。いろいろと調べているうちに次の論文を見つけました。
P. Bouchard et al., "Family-group names in Coleoptera (Insecta)", Zookeys 88, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)
この論文は甲虫の各科の亜科、族で現在認められている名称とその変遷をリストアップしたもので、全972ページの膨大なデータです。この中にコメツキムシ科の亜科も載っていました。その対応を図示すると次の様になります。
左端がStibickの扱った亜科、右端は大平氏の記事に出てくる亜科です。中央はこの論文にあるリストで、赤字はこのリストに載っていない亜科名です。赤字の亜科については対応がやや怪しいのですが、破線で結んでみました。大平氏の扱った亜科はほぼ2011年のリストに対応していますが、Stibickが用いた亜科名はかなり変わっていました。
ということで、コメツキの検索が少しだけ分かってきたという感じがします。今回の個体で言えば、コメツキ亜科とカネコメツキ亜科のどちらかになったのですが、その区別に頭部の形状と口器の向きを使います。ここが分からず躓いていました。でも、上の模式図を見ながら考えてみると、ちょっと分かったような気がしました。その結果はまた今度載せることにします。
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