家の近くのむし探検 アブラムシほか
家の近くのむし探検 第260弾
6月6日に家の近くを歩いて虫探しをしたときの続きです。もう1週間も前のことになってしまいました。この時の主要な目的は林の入り口に生えていたササにアブラムシがついていて、その中に兵隊アブラムシがいるかもという期待からです。
こんなアブラムシです。私は最初、カイガラムシかと思っていたのですが、通りすがりさんからササコナフキツノアブラムシだと教えてもらい、びっくりしました。「アブラムシ入門図鑑」には白い粉をふいたようなコナカイガラムシと今回のササコフキツノアブラムシの違いが書いてありました。それによると、コナカイガラムシは尾部に2本の尖った突起があり、脚の跗節が1節(アブラムシは2節)であることから見分けられるそうです。確かに尾部の突起はないみたいですが、カイガラムシを見てみないとはっきりとは分かりません。
このアブラムシに関しては次のような論文を見つけました。
M. Hattori and T. Itino, "Soldiers' Armature Changes Seasonally and Locally in an Eusocial Aphid (Homoptera: Aphididae)", Sociobiology 52, 429 (2008). (ここからダウンロードできます)
M. Hattori, O. Kishida, and T. Itino, "Buying time for colony mates: the anti-predatory function of soldiers in the eusocial aphid Ceratovacuna japonica (Homoptera, Hormaphidinae)", Insectes Sociaux 60, 15 (2013). (ここからダウンロードできます)
M. Hattori and T. Itino, "Eggs of a Eusial Aphid's Predator are Protected Against Attacks by Aphid Soldiers", Sociobiology 59, 1316 (2012). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
1番目の論文によると、アブラムシには産卵能力がなくて、攻撃に特化した兵隊アブラムシがいるそうです。兵隊アブラムシは1齢幼虫なのですが、前脚がカニ脚状に変化し、口の部分hornという1対の突起を持っています(論文の中にプレパラート写真が載っています)。これでアブラムシを食べにくる捕食者を攻撃するというのです。2番目の論文では特に、セグロベニトゲアシガという蛾の幼虫に対する防御について研究しています。この蛾は以前、家の近くの公園で見たことがありました(ここから写真が見られます)。この蛾の幼虫はササコナフキツノアブラムシを専門的に食するようですが、これを防ぐために兵隊アブラムシが前脚で幼虫をつかまえ、hornで突き刺すようです。幼虫は這う這うの体で逃げ出し、時には糸を出し巣を作ってその中に隠れるそうです。ただ、兵隊アブラムシは幼虫を殺すところまではせず、単に時間稼ぎをしているだけですが、この時間こそが生存のためには重要だということみたいです。
こんな話を読んだので、一度、その兵隊アブラムシを見てみようと思って出かけてきました。
前脚がカニ脚状になっているのを探してみると、結構、たくさんいます。
ササを左手に持って、右手一本で接写を撮るのですが、ピントが合わないこと合わないこと・・・。何枚撮ったか分かりません。その中でまぁまぁ見られる写真がこれです。周囲を警戒しているのか、結構、広い範囲で活発に動き回っています。しばらく見ていたのですが、捕食者は現れなかったので、撮影はそこで終わりました。
兵隊アブラムシは卵も攻撃するのですが、このセグロベニトゲアシガの卵はコロニーのすぐそばに産み付けられているにも関わらず、不思議に攻撃されないとのことです。これは3番目の論文に載っています。卵は動けないし、攻撃についてはまったく防御できないのですが、セグロベニトゲアシガの方が何らかの方法で兵隊アブラムシの攻撃を避けるような仕組みを作っているのだろうという話でした。(追記2017/06/24:通りすがりさんから、「兵隊アブラムシ、結構な数が居るんですね。このアブラムシはゴイシシジミを見てみたいので知ってはいたのですが、実物は見たことがありません。」というコメントをいただきました。兵隊アブラムシ、面白いですね。こんなのが見られるとは思いもよりませんでした。捕食者を攻撃している姿が見られるとよかったのですが、そうそう捕食者もいないですし・・・。時々、様子を見てみます)
アブラムシついでに。これはセイタカアワダチソウについているセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシです。やけに長い名前ですが、植物の名前が先につき、その後に虫の名前がつくので、2倍近い長さの名前になっています。
これが無翅の成虫と思われる個体です。
そして、これは有翅型。(追記2017/06/24:通りすがりさんから、「3日ほど前に畑でセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの有翅虫を見付けたんで、近くにコロニーがあると思って草地のセイタカアワダチソウを見てみると、居ましたよ。まだ小さな幼虫には、結構な割合でオレンジ色のダニが2~3匹付いてましたが、成虫にダニは見られず。成虫の長い脚は、ダニに対する防御でもあるのかも?」というコメントをいただきました。こちらでは若いセイタカアワダチソウのほとんどにアブラムシがくっついています。ダニには気が付かなったのですが、今度見てみます。先日読んだ本に寄生バチに対しては毒素を出す共生細菌を持って防いでいるということが書かれていました。寄生に対して防御する仕組みというのも面白いですね)
近くにはこんな黒いアブラムシもいたのですが、なんだか分かりません。
葉裏にはその黒いアブラムシとアワダチソウグンバイがいました。
後は残りの虫たちです。このカメムシにも似た種がいます。「原色日本カメムシ図鑑」には腹部末端を見ると違いが分かるというので写真が載っていました。
拡大してみると、ツマキヘリカメムシ♀に似ている感じですが、よくは分かりません。
いつも見るシマサシガメ。
これはヨツボシオオアリかな。
これはタイリクアリグモ?(追記2017/12/11:これはたぶん、アリグモ)
それにキシタグモの仲間です。いろいろと迷ったのですが、「クモ画像集」の写真を見ていると、いつものイオウイロハシリグモの幼体に似たような写真が載っていました。クモはよく分かりません。
兵隊アブラムシは卵も攻撃するのですが、このセグロベニトゲアシガの卵はコロニーのすぐそばに産み付けられているにも関わらず、不思議に攻撃されないとのことです。これは3番目の論文に載っています。卵は動けないし、攻撃についてはまったく防御できないのですが、セグロベニトゲアシガの方が何らかの方法で兵隊アブラムシの攻撃を避けるような仕組みを作っているのだろうという話でした。(追記2017/06/24:通りすがりさんから、「兵隊アブラムシ、結構な数が居るんですね。このアブラムシはゴイシシジミを見てみたいので知ってはいたのですが、実物は見たことがありません。」というコメントをいただきました。兵隊アブラムシ、面白いですね。こんなのが見られるとは思いもよりませんでした。捕食者を攻撃している姿が見られるとよかったのですが、そうそう捕食者もいないですし・・・。時々、様子を見てみます)
アブラムシついでに。これはセイタカアワダチソウについているセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシです。やけに長い名前ですが、植物の名前が先につき、その後に虫の名前がつくので、2倍近い長さの名前になっています。
これが無翅の成虫と思われる個体です。
そして、これは有翅型。(追記2017/06/24:通りすがりさんから、「3日ほど前に畑でセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの有翅虫を見付けたんで、近くにコロニーがあると思って草地のセイタカアワダチソウを見てみると、居ましたよ。まだ小さな幼虫には、結構な割合でオレンジ色のダニが2~3匹付いてましたが、成虫にダニは見られず。成虫の長い脚は、ダニに対する防御でもあるのかも?」というコメントをいただきました。こちらでは若いセイタカアワダチソウのほとんどにアブラムシがくっついています。ダニには気が付かなったのですが、今度見てみます。先日読んだ本に寄生バチに対しては毒素を出す共生細菌を持って防いでいるということが書かれていました。寄生に対して防御する仕組みというのも面白いですね)
近くにはこんな黒いアブラムシもいたのですが、なんだか分かりません。
葉裏にはその黒いアブラムシとアワダチソウグンバイがいました。
後は残りの虫たちです。このカメムシにも似た種がいます。「原色日本カメムシ図鑑」には腹部末端を見ると違いが分かるというので写真が載っていました。
拡大してみると、ツマキヘリカメムシ♀に似ている感じですが、よくは分かりません。
いつも見るシマサシガメ。
これはヨツボシオオアリかな。
これは
それにキシタグモの仲間です。いろいろと迷ったのですが、「クモ画像集」の写真を見ていると、いつものイオウイロハシリグモの幼体に似たような写真が載っていました。クモはよく分かりません。
スポンサーサイト