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家の近くのむし探検 アブ、蛾ほか

家の近くのむし探検 第258弾

6月6日分です。この日も家の近くにある林に入り口の道に行ってみました。この頃、毎日のように行っているのですが、行くたびに新しい虫に出会えるのでちょっと病みつきになっています。





行く途中、橋を渡った時にその欄干にアブが止まっていました。前からも撮っておこうと思って近づくと、何かちょっと身構えたような気がしたので、早々に写真を撮って引き揚げました。でも、後で見てみると、これはいつものアブではなさそうです。

アブといえば次の論文に絵解きの検索表が載っています。

早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 I. アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10, 35 (1990). (ここからダウンロードできます)

この検索表を使って調べてみました。検索表の最初の方を図示してみると次のようになります。



この経路で検索を進めると、実は、キノシタシロフアブ群に到達しました。それを次の写真で確かめていきます。


最初のシロフアブ群かどうかは、翅脈のR5とM1が翅端で離れているか、くっついているかです。くっついていればシロフアブ群、この写真のように離れているとそのほかの群ということになります。



次は頭部です。この写真のように両方の複眼が離れていると♀です。♀の場合は下額瘤と中額瘤という構造があります。この形が検索で重要になります。まず初めに、中額瘤が紡錘型で下額瘤と離れていると、キスジアブ群になります。この写真では紡錘型ではなくて、また、下額瘤と連結しています。次に、中額瘤がはっきりした構造を持たずに、下額瘤にくっついた線状の構造になっているか、下額瘤とは明瞭に区分できる構造を持っているかです。この写真の個体は明瞭に区分できるので、キノシタシロフアブ群になると考えられます。

この論文にはキノシタシロフアブ群について詳述されていないので、次の論文を見てみました。

H. Hayakawa, "A key to the females of Japanese tabanid flies with a checklist of all species and subspecies (Diptera, Tabanidae)", Jpn. J. Sanit. Zool. 46, 15 (1985). (ここからダウンロードできます)

こちらの論文には日本産アブ全種についての検索表が載っています。そこで、このうち、キノシタシロフアブ群あたりの検索表の項目だけを抜き出してみました。



ただし、最後の④は原文では内容が明確でなかったので、よりはっきり書いてある「大図鑑」の記述を書き写しました。これを順番に見ていきます。まず腹部背面中央の模様は三角状なので①bを選びます。次の②は、写真の個体は中額瘤は下額瘤に比べるとやや小さいので微妙です。一応、T. toshiokaiを可能性に残しておいて、次の③に進むことにします。腹部側面の模様は長楕円的なので③bを選ぶと、最後の④は額三角区についてです。上の写真を見ると、白く粉をふいているような感じなので④bを選んで、T. matsumotoensisになりました。今のところ、この2種が候補なのですが、このうち、matsumotoensisについては次の論文が記載論文になっています。

W. P. Murdoch and H. Takahasi, "Descriptions of a new genus and six new species of Tabanidae from Japan", Med. Entomol. Zool. 12, 111 (1961). (ここからダウンロードできます)

この論文には額瘤の絵が載っていますが、かなり似た感じがします。また、脚の色なども記述とよく合っているようです。したがって、ここではとりあえず、T. matsumotoensis マツモトアブが第1候補になりました。(追記2017/06/24:通りすがりさんから、「マツモトアブ、日本産アブ科雌成虫の分類 Iでは扱われてなくて、苦労した覚えがあります。Holotypeの標本画像もあったんですが、1956年のちょっと古い標本で、腹部の模様も見えなかったなあ。」というコメントをいただきました。私も「日本産アブ科雌成虫の分類 I」に載っていないので、初めは知らなかったのですが、「大図鑑」の説明に書いてあったので、おやっと思って文献を探して見つかりました。マツモトアブで合っているといいのですけど・・・



これはオドリバエ科ですが、前胸背の曲がり方から何となく、先日来見ているHybos属のような感じがしました。ただ、この間の個体のように後脚が捕獲脚にはなっていませんが・・・。





こんな格好でうろうろしているハエがいました。一応、採集して検索してみると、ヤドリバエ科みたいです。残念ながら、ここから先はどうやって調べたらよいのかよく分かりません。



最近、よく見るマガリケムシヒキ♀みたいです。



先日採集したミバエモドキイエバエがまたいました。目立つハエですね。





カザリバガの仲間です。この蛾は模様が綺麗で動作も面白いので、私の好きな蛾の一つです。「標準図鑑」で模様を調べてみると、どうやらカザリバのようです。



後はキオビベニヒメシャク



それにオオウスベニトガリメイガです。いつも真夏に見ている蛾なのですけど・・・。
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No title

マツモトアブ、日本産アブ科雌成虫の分類 Iでは扱われてなくて、苦労した覚えがあります。
Holotypeの標本画像もあったんですが、1956年のちょっと古い標本で、腹部の模様も見えなかったなあ。

No title

私も「日本産アブ科雌成虫の分類 I」に載っていないので、初めは知らなかったのですが、「大図鑑」の説明に書いてあったので、おやっと思って文献を探して見つかりました。マツモトアブで合っているといいのだけど・・・。
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